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北京料理、上海料理、四川料理、広東料理、点心と5つのジャンルを、それぞれ担当の厨師(料理人)、点心師(点心専門家)が、中国での体験を交えながら料理の作り方とそれにまつわる話を紹介します。まずは、基本的な料理から始めましょう。 |
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蟹粉無黄蛋 |
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3回に渡って掲載してきた私の北京のレストラン紹介も今回が最後。締めくくりは新旧を代表するレストラン2軒である
一軒目は、国賓(VIP)の外交の場として知られる釣魚台国賓館で、ここで食事をし、宿泊するという貴重な体験をするチャンスを得た。最近は一般の人にも開放されるようになったとはいえ、とても個人の旅行では体験できないと思う。日中友好30周年記念晩餐会で小泉首相も食べたと言われている「養源斎」で、一人US$500(日本円で約60,000円)の豪華宴席料理をいただいた。
釣魚台の歴史は古く、金の章宗帝に始まり、清の乾隆皇帝が修築をして、迎賓館になったのは1949年、国賓館の名になったのは1959年とのこと。「養源斎」内部の天井の高い重厚な造りと歴史ある書や素晴らしい工芸品に圧倒されるのと同時に、テーブルに並ぶ絢爛豪華な絵皿やテーブルセッティングに目を見張った。また、サーヴィスの女性は全員身長が165cm(!)の美人揃いであった。料理は、迎賓冷頭盤(花の形に盛られた前菜)、四小菜(杏仁、棗、ニガウリ、魚のすり身の小皿盛り)、極品燕窩龍脆(ツバメの巣とチョウザメの軟骨の入ったスープ)、佛跳墻(山海珍味の壷蒸し)、蠔皇原汁紫鮑(南アフリカ産干しアワビのオイスターソース煮込み)、雀巣魚香鹿柳(鹿肉の細切り炒め)、紙包鵪鶉脯(ウズラの中国オブラート包み揚げ)、龍鬚麺(龍のヒゲのように細い麺)、什錦火鍋(寄せ鍋)、そしてデザートは豆捲(白インゲン餡のアズキ餡巻き)、八宝梨罐(梨の八宝飯詰め)、船点(南瓜とトウモロコシ形のしんこ細工)。
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花の形に盛られた前菜 |
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南アフリカ産干しアワビの オイスターソース煮込み |
どの料理、デザートも大変丁寧に作られていた。南アフリカ産の干しアワビは1個15,000円もするとの説明だったが、最高の料理であるかどうかは食べる人それぞれが感じることである。私には日本産の干しアワビに勝るものがないように思えた。また、佛跳墻は1970年頃から釣魚台のメニューに加えられるようになり、以前は鶏、豚、アヒル、羊肉、内臓などの肉類が中心であったが、現在は経済レベルも上がり海鮮に変わったと聞いた。食事を終えて料理長に釣魚台の料理について話を伺う。世界中の国賓、公賓が来られるので、1980年代から中国八大料理に西洋料理のメニューを加えて提供していて、昼のコースにはカタツムリの料理やデザートにチョコレートケーキが出た。カタツムリは北京で養殖しているそうだ。それにしても釣魚台の料理は作り方が繊細で、魚、鶏、アヒルの骨を丁寧に取り除いて仕上げ、味付けは三低一高(低塩、低糖、低脂肪、高蛋白)が基本になっているとのことである。また、中国全土から優秀な名料理人を集めて研究させている。料理人の数は200余人で、特級厨師が30人、勿論女性も加わっている。今晩の料理には10人の料理人が携わっていると説明された。
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カタツムリの料理 |
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フレンチとチャイニーズの合作、 カモのオレンジ詰め蒸し |
旅の最後は、北京の高級会員制の長安倶楽部の広東料理で締めくくることにした。長安倶楽部は北京飯店の前にあり、1996年にオープンした、1〜7階がオフィス、8階が中国料理のレストラン、9階が西洋料理と日本料理のレストラン、10階がテニスコート、そして地下1階がヘルスクラブ(フィットネス)になっている。
今回は取材が目的であったため、倶楽部で食事をしたが、本来は会員しか利用できないレストランであることは断わっておきたい。とにかく、北京で初めての広東料理である。料理長は香港から招聘した優秀な料理人であった。香港の広東料理との違いをみるために、料理は敢えてコースではなく定番メニューを頼んだ。前菜が南北六小碟の西醤鴨舌(アヒルの舌の滷水煮込み)、酸辣瓜条(キュウリの甘酢漬け)、醤牛(牛スネ肉の特殊タレ煮)、五香魚(魚の香辛料煮)、珍珠菜(珍珠菜の和え物)、千層耳(豚の耳を層にした前菜)に、XO醤螺片帯子(海螺とホタテ貝のXO醤炒め)、紅梅百花芦筍(アスパラの海老すり身巻き蟹肉ソースかけ)、滾湯魚翅(フカヒレの潮州風スープ)、清蒸極品斑(ガルーパの広東風蒸し物)、脆皮石岐乳鴿(ハトの広東風揚げ物)、脆皮炸鶏(鶏の広東風揚げ物)、碧緑日本関東参鮑片(日本産ナマコとアワビの煮込み)、咸魚鶏粒炒飯(塩魚入りチャーハン)、姜汁炖双皮奶(生姜プリン)、鮮果拼盤(フルーツの盛り合わせ)。ここは北京!北京の人が好む味付け、盛り付け(飾り付け)になっていると痛切に感じた。
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鶏の広東風揚げ物 |
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日本産ナマコとアワビの煮込み |
フカヒレのスープに濃湯を使用していたので、香港の味を彷彿するまでには至らなかった。でも、今後北京でもこのような高級広東料理は増えて行くだろう。鶏、ハトは北京郊外で養殖したものだが、魚介類においては今では簡単に空輸できるようになり、この日も福建省のアモイ、広東省の広州から入ってきたそうだ。ナマコにおいては日本産がブームを呼んでいて、値段は何倍にも上がっているとか。
香港から来た料理長が、「料理技術、サーヴィス、料理人の熱意も、まだまだ北京は良くなる」といっていたが、全く同感である。2008年のオリンピックに向けて、北京は料理においても発展することは間違いない。今回の旅で、その底力を確かに感じたから。
前回のサイバンシェに続いて卵料理を紹介しよう。卵なのに黄身がない!と言う気味(黄身)が悪い?不思議な料理。歴史は古く、清代の著名な料理書『随園食単』に「混套(ごまかし卵)」という名でのせられている。
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