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今までは本校の先生方の思い出話とか料理にまつわる話、歳時記等の話が中心でしたが、今年は日常を振り返り、例えば「チャーハンをパラパラに上手に作りたい」とか「プリプリエビチリを作りたい」とか、より具体的、実践的な内容でお贈りします。つまり、ある料理にスポットを当てそれに関する疑問に答え、どのようにしたらより美味しくなるかを考えます。けっして難しいことはないのですが。 |
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厳しい暑さが続く今日この頃ですが、夏バテに困っている方も多いと思います。こんなときは、食べやすく、胃にもたれないで消化に良く、栄養のバランスも良い中華冷麺はどうでしょうか?辻調理師専門学校の夏の実習メニューの定番で生徒にも人気が高い料理です。この料理は日本で生まれたといわれています。元々中国人には野菜を生で食したり、料理を冷やして食べる習慣はなく、日本のラーメン店が夏の売り上げが落ちる時期に、ラーメンの替わりに作り出したといわれています。家庭で作る方は少ないように感じますが、実は意外と簡単で値段も割安だと思うのですが・・・。今回は「ひんやり冷麺を食べたいな」というテーマで、前回チャーハンで紹介しました竹爐四男坊こと小峰先生に色々聞いてみたいと思います。質問者は今回も上海の兄やんこと塘です。
塘:
中華冷麺の材料はどんなものを用意したら良いでしょう。
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例えば海鮮素材で 冷麺を仕立てるとこうなる |
小峰:
先ず麺ですが、中華生麺なら何でもOKです。麺の太さは好みにもよりますが、あまり細すぎないものが、腰があっていいと思います。次に具材の野菜ですが、定番は胡瓜ですね。胡瓜は体の熱を散らす効能があるといわれ、暑い季節にうってつけです。しかし、決まりはなく、サラダの材料にするようなものなら何でもよいと思います。例えば、カイワレ菜、水菜、レタス、紫タマネギ、トマトなど(材料例1)。彩りなどを考え、好きに組み合わせてください。野菜以外の具材としては、火を通した鶏肉、ロースハム、クラゲや、エビ、イカ、ホタテなどの魚介類など(材料例2)。ほかは刻んだピーナッツ、カシューナッツとか雲呑の皮を揚げたものとかを散らしたりしても風味が増します。
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材料例1 カイワレ菜、水菜、 レタス、紫タマネギ、トマト |
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材料例2 鶏肉、ロースハム、クラゲ、 エビ、イカ、ホタテ |
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タレ 手前左:芝麻醤、白葱、ラー油
手前右:マスタード、粒マスタード 奥:ラー油、花椒粉 |
塘:
タレはどんなものが良いですか。
小峰:
タレはマスタード風味のタレが一般的ですね。市販のタレでもいいのですが、家庭でも簡単に調合できます。大体、酢:砂糖:醤油が1:1:1.5の割合(体積比)で合わせると間違いがありません。これを基本として、柑橘系の爽やかさを加えるためにレモン汁を加えたり、パンチを与えるためにラー油、花椒粉(四川山椒の粉)とかマスタードを入れたり、コクのためにゴマ油、芝麻醤(あたりゴマでもOK)を加えたり、あとは好みで甘くしたり、すっぱくしたり。
塘:
他に「これはポイントだ」というようなところはありますか。
小峰:
麺の下処理が一番のポイントです。ラーメンなどの麺は「芯を残してゆでなさい」とよくいいます。いわゆるパスタにおけるアルデンテですね。これは余熱で火が通る事を計算しての話です。冷麺の場合は完全にゆでなければなりません。余熱で火が通る事がないからです。完全にゆでないと麺が粉っぽく感じます。ゆでたかどうかは麺を指で潰してみて白い芯が残っているかどうかで確認します。もちろん芯が残っていてはいけません。ゆでたあと流水に落とし、手で揉んでぬめりを取りますが、ある程度冷えてから揉まないと麺が匂いを吸収してしまう事があります。例えばニンニクを触った手で、まだ温かい麺を触ると麺にニンニクの香りが移ってしまいます。気をつけてください。ぬめりが取れたら氷水に落として麺をしめます。しまったら水気を切りますが。麺をふるだけでは水分をすっかり抜くことができませんので、麺をギュッと強く握り、搾り出すようにして水分を取ります。水分が残っているのは駄目です。
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麺を指でつぶして 芯が残っていないのを確認 左:芯が残っている状態 右:芯のない状態 |
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麺をギュッと握り、水分を搾り出す |
塘:
小峰先生の冷麺にまつわる思い出なんかあれば話してください。
小峰:
僕が以前に勤めていた店(東京 吉祥寺「知味 竹爐山房」)での話です。夏場は冷麺がランチだけでも一日に30皿位出ます。
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冷麺の時には器も十分冷やす |
当然フロアーから下げられた器は急いで洗い、すぐに冷やさないとならないんです。ある日、忙しさにかまけて器を冷やすのを忘れてしまい、先輩にひどく怒られたことがあります。至極あたりまえの話ですが、一流店では炒め物など熱い料理は熱く、前菜など冷たい料理は冷たく提供する事にこだわります。無論、器にも気を配ります。熱い料理を盛るときは器も保温器に入れ、十分熱くしておきます。冷たい料理のときには器を冷蔵庫に入れ、ガンガンに冷やします。基本的なことですが、これがとても重要なことです。料理人は細やかな気配りが必要だと学んだ一件でした。店の仕事は切り方ひとつとっても丁寧にやらないと叱られます。かといって、ゆっくり切っていたら仕事になりません。多くの作業に追われて少し仕事が雑になりかけたときに、寡黙な料理長(山本豊氏)からいつもにっこり一言「一刀一魂」と声をかけられます。一つ一つの仕事にそのつど気持ちを込めて材料を切る。辻調理師専門学校に移った現在でも心がけていることです。
塘:
なるほど自分にとっても大変勉強になる話でした。ところで小峰先生はカポエラの達人だとか。
小峰:
カポエラは趣味でやっています。もう3年ほどやっています。元々ダンスに興味があって、しかも格闘技にも興味があって、そんなこんなでカポエラにたどり着きました。大会を見るためにカナダまで行った事があります。・・・ってまたも冷麺と関係ねえ〜よ!
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カポエラカナダ大会で出会った人たち |
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