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中国料理TOPへ好吃(ハオチー)!中国料理! コラム一覧へ
連載コラム 好吃(ハオチー)!中国料理!
北京料理、上海料理、四川料理、広東料理、点心と5つのジャンルを、それぞれ担当の厨師(料理人)、点心師(点心専門家)が、中国での体験を交えながら料理の作り方とそれにまつわる話を紹介します。まずは、基本的な料理から始めましょう。
上海蟹と豆腐の煮込み
蟹粉豆腐


上海蟹と豆腐の煮込み

   
   杭州・上海研修旅行の最終章です。
   上海で若者に大人気の店、鷺鷺酒店(ルールーチュウティエン)に学生を引き連れていきました。バドワイザーガールもやってくるというお洒落な店です。当日は残念ながらいませんでしたが。
鷺鷺酒店
鷺鷺酒店
   調理場見学は職員だけはOKですが、写真撮影は禁止という条件でした。蔬菜色拉(野菜サラダ)、糖水藕餅(レンコンのもち米詰めシロップ煮)、糖醋排骨(スペアリブの甘酢あん)、清蒸大閘蟹(上海蟹の姿蒸し)、蟹粉豆腐(上海蟹と豆腐の煮込み)、蟹粉小籠(蟹肉入り小籠包)など上海料理を堪能しました。サービスも行き届いています。よく見るとインカムをつけた責任者が全体の流れをとらえ、調理場とホールに細かい指示をだしているのです。杭州とは様子が全く異なっています。これは都市の発達の違いでしょうか、或いは国営と民営の差なのでしょうか。
   「あれっ?」と感じたのは、昔と違って中国的な器がでてこないことです。景徳鎮ではない、白い器、しかも四角形や変形のものが多いのです。器や器具関係の店にも行きましたが、ほとんど白の器で占められているのです。英語で「china」といわれるほど世界に誇る陶磁器、中国的な器はどこに行ったのでしょう。

野菜サラダ   スペアリブの甘酢あん
野菜サラダ   スペアリブの甘酢あん

   上海料理は濃厚な味付け、油の使用量が多いのが特徴ですが、この店の料理はそれほど味が濃いわけでもなく、油っぽいとも感じられません。外国人の嗜好に合うように変化してきているのかも知れません。
   上海といえば、上海蟹。本名はチュウゴクモクズガニで、中国では「大閘蟹(タージャーシェ)」といわれます。淡水産の蟹で小さく、かつて上海人に日本の蟹はこんなに大きいとタラバ蟹のつもりで、両手で大きさを示したら、「ほら吹き」という冷たい目で見られたことがありました。蘇州にある陽澄湖産は品質がよいので有名で、値段も高く、ニセ物が出回っています。蟹のハサミにタグをつけたり、甲羅にレーザー光線でマークをつけたりして防御していますが、「上有政策、下有対策(お上が政策を出せば、庶民はその対策を考える)」というお国柄、ニセ物を排除するのはむつかしいようです。他で捕れた蟹を1日陽澄湖に浸けてブランド品、陽澄湖産として売られることもあるとか。

蟹とハサミと生姜酢とフィンガーボール   蟹粉豆腐(上海蟹と豆腐の煮込み)
蟹とハサミと生姜酢とフィンガーボール   蟹粉豆腐(上海蟹と豆腐の煮込み)

    「旧暦の九月の雌、十月の雄」といわれるように、まず卵をもった雌が好まれ、その後、寒風が吹くようになれば雄のミソがおいしいのです。蒸すかゆでるかして食べるのが、シンプルですが一番おいしい調理法のようです。生きたまま売られていて、脚が揃っていないと価値が半減するので、暴れて脚がもげないように必ず縛ったまま蒸し器に入れます。食べ方は様々で、「細い脚の肉なんか食べない」というわがままリッチな人はおいといて、一般に木槌やハサミなどを使って肉をとりだすのです。歯で噛んで肉をだして食べる上海男性もいましたが。綺麗に肉を取り出した後の甲羅や脚の殻を元の形に皿に飾るという「遊び」もありました。独特の香りが手につくので、レモンと白菊を浸したぬるま湯で手を洗いましたが、ウーロン茶やジャスミン茶などが出されたりします。
   そして、「医食同源」の考え方からか、「寒性」の蟹を食べるときには、「温性」の生姜入り酢をつけるのです。
   食事の後は少し散歩でも。外攤の景観が抜群の濱江大道を歩きます。振り向けば租界時代の建物がライトアップされてロマンチックな雰囲気、前方の浦東エリアの超高層ビルの眺めは圧巻、上海の夜景はとても素晴らしく、地元の若いカップルや観光客を魅了しています。先進国に追いつき追い越せと、中国だけでなく、世界を代表する大都会に発展しつつある上海。20年前に抱いた上海らしい素朴な温かみをいつまでも残して欲しいと願うのは私だけではないでしょう。

   今回の料理は上海蟹を使った蟹粉豆腐(上海蟹と豆腐の煮込み)。やわらかい口当たりの豆腐に蟹の肉、味噌、卵の旨味をからませます。上海蟹が手に入らなければ、少し風味は変わりますが、他の種類の蟹でもおいしくできます。

 

このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ 上海蟹と豆腐の煮込み

迷料理人 湖南(コナン)
人物 谷 康行
中文之星
人物 福冨奈津子
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