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今までは本校の先生方の思い出話とか料理にまつわる話、歳時記等の話が中心でしたが、今年は日常を振り返り、例えば「チャーハンをパラパラに上手に作りたい」とか「プリプリエビチリを作りたい」とか、より具体的、実践的な内容でお贈りします。つまり、ある料理にスポットを当てそれに関する疑問に答え、どのようにしたらより美味しくなるかを考えます。けっして難しいことはないのですが。 |
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何処のお店にも必ずと言っていいほどあり、多種多様になった担担麺。今や、誰もが知る代表的な四川料理になりましたね。汁有りの担担麺は極ありふれていますが、今回ご紹介するのは、担担麺の原点ともいえる汁無し担担麺!
作り方は出来るだけ簡単に、なおかつ店の味に負けない「えっ美味しい!」と驚きの声が上がるような、そんな汁無し担担麺を紹介したいと思います。
今回も、上海の兄やんこと塘先生と、四川の貴公子ことわたくし船渡で、わかりやすく解説したいと思います。
塘:
そもそも担担麺の「担担」っていったい何?
船渡:
本場の担担麺を説明しましょう!
1841年に陳包包と呼ばれる料理人が、四川省自貢市で始めたと伝えられています。かん水を使わない麺に、醤油、酢、ラー油や花椒、芝麻醤がベースの四川の辛いタレを和えた、極シンプルなものでした。
「担担麺」の「担担」は四川省の省都成都では「天秤棒とその両端にかけた荷物」を意味します。少し前までの成都では、天秤棒の両側の、桶の片方には麺や調味料や具などを入れ、もう片方には七輪と鍋を入れた簡易屋台で売り歩いていた人が多くいたそうです。お客からの注文が入ると、その場で麺をゆでて提供します。担担麺は四川全土に広がり、その土地よって入る具材が違ったり、微妙な変化を遂げて今に至っています。
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汁有り担担麺(日本の一般タイプ) |
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本場の汁無し担担麺(イメージ) |
塘:
本場の担担麺と日本の担担麺の違いは?
船渡:
四川の本来の担担麺と、日本の一般的な担担麺は違う点がいくつかあります。
その一つに、「汁が有るか無いか」が挙げられます。日本では麺がスープに浸っていますが、四川本来の担担麺にはスープがありません。四川では、日本でいう「汁無し担担麺」の方が普通なのです。皆さんが何気なく食べている日本の担担麺は、赤坂四川飯店の創業者で日本では「四川料理の父」といわれている故陳建民氏(ご子息は鉄人:陳建一氏)のアレンジだといわれています。陳建民氏は来日間もない頃、お客様にコースのしめに本場四川と同じように担担麺を和え麺で出したが評判がどうもよろしくない。考えた挙句、日本人の口に合うようにスープ有りの担担麺を考えました。それが大当たりしてスープ有りの担担麺が一般的に知られるようになりました。今では四川料理の理解も深まり四川料理を看板にする店なら両タイプの担担麺が味わえます。今回は、その原点とも言える中国の汁無し担担麺の紹介です。
塘:
本場の担担麺との違いは他にもありますか?
船渡:
まだあります。それは量です。日本ではどんぶり一杯。それを食べただけでもう十分にお腹が膨れるように出てきますよね。しかし、中国ではお茶碗ほどの大きさの碗に麺が入り提供されます。一食とは考えず、小腹が空いた時にさらっと食べる、軽食、スナックのような感覚になっているようです。
私も、四川に旅行に行った際、夕食を済ませてホテルに帰る途中、路地で一畳ほどのスペースの屋台の担担麺を食べたことを覚えています。あの香りがたまらなく、夕食直後にも関わらず食べてしまったのです…。次にもう一つ、皆さんが気になる「辛さ」。そこの屋台で食べた担担麺は、かなり辛かった。汁が無い分、ストレートに辛さがやってきて、口の中に広がります。その上、豆瓣醤などの”辣(ヒリヒリする辛さ)”だけではなく花椒の”麻(痺れるような辛さ)”も強く利いており、ホテルについても残っていました。
ただ、最近では、日本でも出来るだけ本場に近い辛さの担担麺を出しているお店もあり、事「辛さ」については驚くほどでもないかとも思いました。
塘:
担担麺を作る際のポイントは?
船渡:調味料にはやはりこだわりたいと思います。前回私がご紹介した「県豆瓣醤 (ピーシェン トウバンヂャン)」、そして胡麻をペーストにした「芝麻醤 (ヂーマーヂャン)」、四川の漬け物「芽菜 (ヤーツァイ)」や黒酢の「保寧醋 (パオニンツゥ)」を使えばかなり本場の味に近づきます。
「芽菜」は四川の漬け物で玉荷青菜という青菜の芽の部分だけを塩漬けにし、発酵させたものです。中国には冬菜(白菜やカラシ菜の塩漬け)、雪菜(セリホンの塩漬け)、搾菜(ザーサイ)など本当に様々な漬け物が存在します。四川ご当地の作物が料理に入るとぐんと風味が本場のものに近づくような気がします。本場四川の人に、「芽菜が入ってない担担麺は本物の担担麺ではない!」と言われるほど重要視されています。もし芽菜が手に入らない場合は他の漬け物で、例えば手に入りやすいザーサイなどで代用してみても十分美味しいですけどね。
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冬菜 |
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芽菜 |
「保寧醋」とは、中国四大名醋(山西省の老陳醋、江蘇省の鎮江香醋、福建省の永春老醋、四川の保寧醋)の一つに数えられ、350年を超える歴史が有ります。ふすま、糯米、「松華井(戸)」の上質の水で作られ、砂仁、黄蓮などの多種類の薬材が入り、褐色で複雑な味わいの黒酢です。残念ながら日本では簡単に手に入れることが出来ません。今回は替わりに比較的手に入れやすい「鎮江香醋 (チェンヂャンシャンツウ)」を使います。江蘇省鎮江で古くから愛されているお酢です。この鎮江香醋を少し入れることにより、味を引き締め、大変美味しい仕上がりになります。
塘先生は最近健康のために鎮江香醋を毎日飲んでいらっしゃるとか?効果はいかほどですか?
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保寧醋(四川省) |
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鎮江香醋(江蘇省鎮江) |
塘:
鎮江香醋は飲んでおりませんが、鹿児島のあるメーカーの黒酢は愛飲しています。黒酢は血圧を下げ、整腸作用もあり、食欲を増進する作用もあります。元気が出ないときは特によく飲みます。なんと言ってもほら身体がこんなに軟らかく・・・・・・。
船渡:
・・・少なくとも身体が軟らかくなる作用は無いみたい。
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