|
輪切り |
|
半月切り |
|
銀杏切り |
|
短冊切り |
|
色紙切り |
|
せん切り |
|
千六本 |
|
賽の目切り |
|
霰切り |
|
みじん切り |
テレビのバラエティ番組で、タレントさんが料理を作っているところを時々見ます。ゴロンと横になって見ていても「うわっ、危ない」とか「あ、もったいない切り方!」と思うような場面があると、その番組は私にとってサスペンス劇場(?)に早変わり。居ずまいを正し、ハラハラドキドキしながら、手に汗握って見てしまいます。これは一種の職業病かもしれません。そんな経験から思い立ちました。今回は、包丁を使って野菜の切り方を勉強しましょう。
まずは、基本的な切り方です。写真を参考にしながらゆっくり読んでください。まず、大根や人参など小口(こぐち=材料の端)が円形の野菜を、小口から切ることを「輪切り」といいます。「輪切り」にした材料を半分に切ったり、筒状の材料を縦半分に切って小口から切ることなどを、「半月切り」といいます。これは切った形が半月に似ているところからついた名前です。また、「輪切り」を四つ割りにしてから切るのは銀杏(いちょう)の葉に似ているところから「銀杏切り」といいます。
そして、長方形に薄く切る切り方は、俳句や短歌を書く短冊(たんざく)に似ているので「短冊切り」、正方形に薄く切るのは、色紙に似ているので「色紙切り」といいます。
また、細長く切るのを「せん切り」といい、これよりやや太めでマッチ棒くらいの太さに切ったものを「千六本(せんろっぽん)」といいます。これは基本的には、材料を4〜5cm長さに切って縦に2mm厚さに切り、さらに繊維に沿って縦に2mm幅に切ったものを指します。「千六本」とは、あまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。これは、中国語で細切り大根の意味の「繊蘿蔔(せんろっぽ)」という言葉が変化したといわれます。日本料理のプロは和え物や浸し物などでよく使う切り方です。
さて、切り方の大きさで呼び方が違うものもあります。1cm角の立方体、すなわちさいころのような形に切ることを「賽(さい)の目切り」(賽=さいころのこと)といい、「賽の目切り」より小さく5mm角の立方体に切ることを「霰(あられ)切り」といい、さらに細かく1mm角ほどに切ったものを「みじん切り」といいます。日本料理でいう「みじん切り」とは、原則としてごく小さな立方体に切ることなのです。
何だかごちゃごちゃしてきましたね。まだ他にも切り方がありますが、一度に欲ばって解説してもパンクしてしまうでしょうから、切り方の種類についてはこの辺にして、また改めて説明することにしましょう。
皆さんもご存知の通り、野菜の形はさまざまです。ですから、火の通りや味の付き方を均一にするためには、料理の目的に合せて大きさや形を切りそろえなくてはなりません。また、基本的には野菜の繊維に沿って切ると、煮くずれを防ぐことができるし、食感を均一にできます。野菜には縦に繊維が通っています。ですから、かたい野菜は繊維を断ち切るように繊維に直角に切ると食べやすいし、やわらかい野菜は繊維に平行に切ると形くずれせず、歯ごたえもよくなります。また、同じ野菜でも、繊維に直角に切るのと平行に切るのでは歯ごたえが変わりますから、どのように料理したいかを考えながら切るということが大切です。たかが切る、されど切る。料理では「切る」ことはおいしさにつながるのです。料理のコツというと味つけの方に注意が行ってしまいがちですが、切るという、ごく初歩的で単純なところが、実はとても大切なのです。
では一度、冷蔵庫の野菜室で眠っている野菜を使って、練習してみましょう。詳しい切り方は、若林先生のお話をしっかり聞いてください。今回は千六本という切り方を使った「野菜だけの胡麻酢和え」をご紹介します。
|