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「『古典』と『和菓子』だって?もう、いや!」と逃げ出さないでください。想像とおいしさとちょっぴり恋の世界を味わって頂きたいだけですから。百人一首の和歌を読んで私たちなりに解釈し、イメージを膨らませて作ったのがここにご紹介するお菓子です。和菓子の世界には、和歌や物語を元にして想像力を働かせ、作品に表現するという楽しさや遊びがあるのです。このページを通して、日本の良さを見直して頂けたらうれしく思います。 |
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この歌は、冬の山里の寂しさを歌ったものです。歌の意味は分かるのですが、抽象的な感情を、具体的にお菓子に表現するのは、少し難しいと思いました。そこで、歌を読み、目の前に思い浮かんだ寒々しい冬の山里の風景を、素直に、お菓子に表現することにしました。
小豆色と白のこなし生地を使い、冬の山と大地を表わしました。冬という季節から、少し表面を荒々しくしようと思い、小倉羊羹を上に乗せ、また、山間に降る雪を表面に散らして仕上げました。
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28 源宗于(みなもとのむねゆき)
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生まれた年ははっきりしていませんが、亡くなったのは天慶2(939)年。前に登場した、「君がため……」の歌の作者光孝天皇の孫にあたります。天皇の孫とはいえ、当時は一夫多妻制ですから、天皇の子どもも十数人はあたりまえ。孫となるとものすごい数です。当然、政治的に幸運でない人の方が多く、彼もこういったうちの1人だったようです。臣籍降下といって皇族から臣下に下るとき、「源」の姓をもらいました。歌人としてはかなり有名だったようで、紀貫之との贈答歌も残っています。
歌の方は、冬の山里の風景を詠んでいます。
山里というものは冬という季節にこそ寂しさがいっそう深く感じられるものだ。春や秋とは違って人足も離(か)れ、草も枯れてしまうと思うので。
「かれぬ」という言葉は「人目も」「草も」の両方を受けています。何気ない歌なのですが、枯れがれとした殺風景で物悲しい山里の様子がすうっと目の前に浮かんでくるようで、うまい詠みぶりです。 |
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