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「『古典』と『和菓子』だって?もう、いや!」と逃げ出さないでください。想像とおいしさとちょっぴり恋の世界を味わって頂きたいだけですから。百人一首の和歌を読んで私たちなりに解釈し、イメージを膨らませて作ったのがここにご紹介するお菓子です。和菓子の世界には、和歌や物語を元にして想像力を働かせ、作品に表現するという楽しさや遊びがあるのです。このページを通して、日本の良さを見直して頂けたらうれしく思います。 |
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歌の中に出てくる「岩うつ波」をイメージして、激しい風にあおられた波が、岩にあたって砕け散っているところを表現しました。葛で「風にあおられた大波」を、みじん羹で「砕け散っている波しぶき」をそれぞれ表現しています。冷やして食べるとおいしく味わうことができます。
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48 源重之(みなもとのしげゆき)
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平安時代の歌人です。生まれた年も亡くなった年もはっきりしませんが、清和(せいわ)天皇の曾孫(ひまご)です。40番の歌の作者平兼盛(たいらのかねもり)や51番の歌の作者藤原実方(ふじわらのさねかた)などと交流がありました。三十六歌仙(さんじゅうろっかせん)という歌詠み名人に名を連ねています。父親は東北地方に住み着いたようで、重之は、京の都にいる父方の伯父の養子となりました。しかし、あまり出世はできず、地方官を歴任した後、藤原実方が陸奥守(むつのかみ)となったのに従って陸奥に下り、そこで生涯を終えたようです。地方官を歴任したということは、旅が多かったということで、諸国で作った歌が多いため旅の歌人といわれます。
さて、歌の方ですが、
風が激しく吹くので、岩を打つ波が自ら砕けるのと同じように、思う人はつれなくて、私の思いもくだけ散っている今日この頃です。
悲しい片思いの歌ですね。平安時代、和歌のセンスがあるかどうかというのは、恋愛経験をどれほど持っているかということに、ある程度比例します。和歌が詠めなければ、まずは恋する相手とコミュニケーションが取れないからです。この歌は、歌の内容から相手の女性がもうひとつイメージできないので、自分のことだけを考えて、あたって砕けろというような体育会系の恋だという人もいます。重之が実直な人柄だったのかもしれません。実はこの歌、本当に重之が作ったのかどうかはっきりしないところがあります。下の句が全く同じ歌が他にいくつか存在したり、また、よく似た歌が他の作者のものだといわれたり……。研究が進めばはっきりすることなのかもしれませんが、聞けるものならば重之本人に聞いてみたいものですね。この歌は、本当にあなたが作ったのですか?
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