|
|
|
|
|
「『古典』と『和菓子』だって?もう、いや!」と逃げ出さないでください。想像とおいしさとちょっぴり恋の世界を味わって頂きたいだけですから。百人一首の和歌を読んで私たちなりに解釈し、イメージを膨らませて作ったのがここにご紹介するお菓子です。和菓子の世界には、和歌や物語を元にして想像力を働かせ、作品に表現するという楽しさや遊びがあるのです。このページを通して、日本の良さを見直して頂けたらうれしく思います。 |
|
|
|
|
|
|
高砂といえば謡曲で有名ですが、住吉と共に松の名所として親しまれて来ました。現在、高砂は兵庫県加古川の河口にある市で高砂神社があり、住吉は大阪市南部の区で住吉大社があります。昔はどちらも海岸に近く、松が生い茂って風光明媚な場所として有名だったようです。特に高砂は、住吉と高砂の松を夫婦とする、世阿弥の能で有名になりました。
このような歴史に思いを馳せ、こなし生地を絞り、高砂の松のイメージでお菓子を作りました。
|
|
34 藤原興風(ふじわらのおきかぜ)
|
生まれた年も亡くなった年もはっきりしません。藤原京家の出身です。官位はそれほど高くはなかったようですが、平安時代前期の代表的な歌人で、三十六歌仙(さんじゅうろっかせん)という歌詠み名人に名前を連ねており、琴の演奏にも秀でていたといわれます。古今集に入っている歌は20首ほどで、宇多天皇の時に重んじられていたようです。
歌の意味は、
長生きした私は一体誰を友達にしようか。長寿といわれる高砂の松も昔からの旧友ではないものを。
という内容です。平安時代のように平均寿命が短かった時代でも、長生きする人はいたようです。おそらく作者も長生きし、友人が次々と亡くなって行く中での孤独を感じた歌なのでしょう。平安時代とは、貴族文化が花開いた優雅な時代のように思われがちですが、政治世界では貴族達が骨肉の争いを繰り返していました。精神的に参ってしまう人も多くいたようです。このような中、旧友でもいたならば「もののあはれ」について語り合うこともできたでしょうが、長寿であることは、めでたいというよりむしろ、孤独を痛感させるものだったのかもしれません。
|
|
|
|
|
|