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「『古典』と『和菓子』だって?もう、いや!」と逃げ出さないでください。想像とおいしさとちょっぴり恋の世界を味わって頂きたいだけですから。百人一首の和歌を読んで私たちなりに解釈し、イメージを膨らませて作ったのがここにご紹介するお菓子です。和菓子の世界には、和歌や物語を元にして想像力を働かせ、作品に表現するという楽しさや遊びがあるのです。このページを通して、日本の良さを見直して頂けたらうれしく思います。 |
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歌の言葉だけで判断すると、季節はまだ寒い時期のようです。 でも、「春の野」という言葉を中心にイメージして、少し暖かさを表現しようと思い立ちました。 色彩に明るいものを選び、春っぽく仕上げてみました。
こなし生地を使った緑・白の部分 は 若菜 を 薯蕷練り切りを使った色とりどりのそぼろ は かわいらしい草花 を
あらわしています。
焼き印で蝶をあしらい、全体として、蝶が野原を飛びまわる風景をイメージして作っています。
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15 光孝天皇
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作者の光孝天皇(830〜887)は第58代天皇で、平安時代の人です。この歌は、親王(天皇になる前)時代に作られたものです。天皇の息子として生まれてはいても、出世とは縁がなく、不遇な人生でした。ところが、50歳半ばにして突如天皇になったのです。事情を話せば長くなるので省略しますが、人生なにがおこるか分かりません。 子どもは29人。天皇になられても、炊事を御手ずからされていたようです。御所の清涼殿にある「黒戸」は光孝天皇が炊事をされたときにすすがついたあとだと『徒然草』は記しています。平安時代の貴族社会では、女性でも台所仕事はしなかったようなのに、ずいぶん気さくというか庶民的というか親近感の持てる一面をお持ちなお人柄。今の世の中にこの天皇が生きていらしたら、「辻調理師専門学校ご見学」または「ご入学」になったかもしれませんね。
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歌の意味は、 「あなたのために……」と思って春まだ浅い野原に出て若菜を摘んでいると、衣の袖に春の雪がしきりに降りかかることです。
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「若菜摘み」は、邪気を払い無病息災を願うという春の行事で、その精神は現在、正月7日に「七草粥を食べる」という行事に引き継がれています。ただ、この歌が詠まれたころ、この「若菜摘み」の行事はまだ公のものではありませんでした。
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「君がため」の「君(あなた)」を恋をしている相手と考えるか、作者よりも目上の人と考えるかで、歌のおもむきがずいぶん変ってきます。恋をしている相手(女性)とするとかなり切実な恋の歌になるでしょうし、目上の人ととると、相手を思いやる心の深さをうったえる内容となるでしょう。
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