こだわりの有塩バターで菓子作り
無塩バターが基本と言われるお菓子作りにも、ものによっては、きめ細かい塩分をじっくりとなじませた有塩バターのほうが、風味も使い勝手もよい、と私に教えてくれたのはカンカルにある「グラン・ド・ヴァニーユGrain de Vanille」のシェフ、ヤニック・ゴティエ氏です。ここは2006年ミシュラン3つ星に輝いた「メゾン・ド・ブリクールMaison de Bricour」のオーナーシェフ、オリビエ・ロランジェ氏と共同経営するパティスリー&サロン・ド・テです。素材の質にこだわり、伝統的製法を重んじる両氏が推薦するのがこのバターです。実は私はこのお店で研修をし、このボルディエバターに出会いました。有塩バターがたっぷりと入ったブルターニュの地方菓子、ガレットやポメをはじめとする素朴な焼き菓子を最高級の素材でレベルアップして作っています。このお店のスペシャリテ、キャラメル・ブール・サレCaramel beurre saleやガレット・カンカレーズGalette Cancalaise作りには、その風味の決め手となるボルディエ氏のバターなしでは考えられないとゴティエ氏はいいます。他にもブリオッシュのような発酵生地を作る場合、塩の接触が間接的な有塩バターは、イースト菌の活動を妨げないそうです。