フランス東部に位置するブルゴーニュは古くから良質なワインの産地として知られ、その中でもディジョン(Dijon)からボーヌ(Beaune)にかけては、ブドウの収穫を終えた晩秋の頃にブドウ畑が黄金色に色付くことからコート・ドール(黄金の丘陵)と名が付けられています。ブルゴーニュの中心に位置するディジョンはパリから車で約3時間の場所にあり、かつてブルゴーニュ公国がオランダまで勢力を広げていた時代、外国とのいろいろな交流が盛んに行われ、芸術、科学、学問が発展しました。今もその当時の歴史的建造物が数多く残った街です。
さてディジョンの有名なものと言えばそう、マスタードですね。ディジョンマスタード(moutarde de Dijon)と呼ばれる伝統的なマスタードは強い風味を持ち、フランス料理には欠かせない調味料の一つです。なぜこのディジョンでマスタードの生産が盛んになったのか?ディジョンのあるブルゴーニュ地方はちょっと街を離れると広大なブドウ畑が広がっています。もちろんこの畑から収穫されたブドウからは良質のワインが生産されますが、もう一つお酢(ワインヴィネガー)も生産されるのです。このワインヴィネガーがマスタードを作る上で最も重要な材料の一つとなります。ディジョンマスタードといっても、現在ではほとんどがディジョン近郊に工場を持つ「マイユ」「ファロ」「レーヌ・ド・ディジョン」「テメレール」の4社などが知られています。