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連載コラム ビバ!!ベバレッジ
人間は水を口にしないと数日しか生命を維持できません。何でも体の70%以上が水分だとか・・・・それはさておいても、おいしい料理には、おいしい飲み物をあわせたいものです。もちろん食事中だけではなく、寒い日には一杯のコーヒーで体を温め、夜の静寂にもの思う時はブランデーをチビリチビリ。はたまた友人との愉しい会話を盛り上げる生ビール。夫婦で想い出話をする時のダージリンティー・・・・さまざまな場面で皆さんの傍らに、さりげなく登場するのはどんな『飲みもの』でしょうか。このコラムではそんな『飲みもの』の素顔にスポットを当てていきます。決してミズ臭い話ではありません。 チャんと読んでください。
2色!3色!!カラフルカクテル
    前回の「カクテルはどうやって作る??」ではカクテルの作り方を4種類紹介し、なぜシェークするのか?なぜステアするのか?がおわかりいただけたと思います。ポイントとしてはつまり「アルコールは比重が軽く、シロップは比重が重い」ということでした。ですからアルコール度の高いお酒同士は比重が軽いので混ざりやすく、逆に比重の軽いお酒と糖分を含んで比重が重いシロップやリキュールとは混ざりにくい、ということです。これが「比重の違い」ということで、それに合わせたカクテルの作成法があるということが、前回のお話でした。

   今回はそのお酒の比重の違いを利用し、わざと混ぜ合わせず、浮かべたり沈めたりするカクテルを紹介したいと思います。それらの代表ともいえるのが「プースカフェ」で、お酒やシロップなどをグラスの中に重ねたカクテルの総称です(プースカフェというカクテルも存在します)。作成法は、比重の重い材料から順にグラスに静かに注ぎ、重ねていきます。
   プースカフェのカクテルとしては、7種類のお酒を重ねたレインボーが有名で、下から順にクレーム・ド・バイオレット、クレーム・ド・カシス、マラスキーノ、クレーム・ド・ミント・グリーン、シャルトルーズ・イエロー、キュラソー、チェリー・ブランデーを注ぎます。この写真は手元にあったお酒を使い、積み重ねてみました。


作成中・・・バースプーンを伝わらせてそっと注ぎます   下からグレナデン・シロップ、ミント・リキュール、オレンジ・リキュール、ブルー・キュラソー、ブランデー。

作成中・・・バースプーンを
伝わらせてそっと注ぎます

 

下からグレナデン・シロップ、
ミント・リキュール、
オレンジ・リキュール、
ブルー・キュラソー、ブランデー。


   それでは、このテクニックを使ったカクテルを幾つか紹介しましょう。

●ハーヴェイ・ウォールバンガー
   簡単にいうとスクリュー・ドライバー(ウォッカのオレンジジュース割り)にガリアーノというアニスやバニラの香りのリキュールを浮かべたものです。残念ながら見た目はリキュールが浮かんでいることがわからないカクテルです。ですから色でなくバニラの香りを楽しみましょう。このカクテルの由来には諸説あります。 よく知られているのは、ハーヴェイという名のサーファーが、勝利の祝いか敗北を喫したのか、ともかくこのカクテルを飲みすぎて酔っ払い、壁に頭をガンガン打ち付けたところからこの名がついたという話。また別の説では、ハーヴェイはガリアーノのセールスマンで、色々なバーで「ガリアーノを浮かべたスクリュー・ドライバー」を注文し、このリキュールを紹介して回っていました。そしてとうとう酔っ払ったハーヴェイは、壁に頭を打ち付け、そこからこの名がついたとか。

 

●ウイスキー・フロート
   ミネラルウォーターをウイスキーグラスに注ぎ、その上にバースプーンを伝わらせて静かにウイスキーを浮かべ(フロート)ます。
   飲む時は上からウイスキーが、下からミネラルウォーターが追いかけるように入って来るため、口の中で水割りの状態になります。先にストレートのウイスキーを味わってから水割りになるので、私はいつもこの飲み方で楽しんでいます。ちょっと粋な飲み方だと思いませんか?ウイスキーの層の厚さ(量)を調整することで水割りの濃さが変わります。ミネラルウォーターもウイスキーも常温にして楽しんでみてください。

 

●エンゼル・キッス
   プースカフェの中では比較的有名なカクテルで、アメリカでは「エンゼル・ティップ」という名で呼ばれます。クレーム・ド・カカオ・ブラウンの上にクリームをのせ、カクテルピックに刺したマラスキーノチェリーを飾ります。


 

●テキーラサンライズ
   テキーラをオレンジジュースで割り、グレナデンシロップを沈めたものです。上の3つのカクテルとは逆に最後に重いシロップを注ぎます。ローリング・ストーンズのミック・ジャガーが好んで注文したり、イーグルスが曲名にしたり、メル・ギブソンとカート・ラッセルの映画のタイトルにもなった非常に有名なカクテルです。


 

   昨年から4回にわたってご紹介してきたカクテルシリーズも今回で最終回となりました。カクテルの魅力が少しでも皆さんに伝わったでしょうか?ですが、ここで紹介できたのは、星の数ほどあるカクテルのほんの一握り。次はみなさんがバーで、あるいは自宅の(誰かの家の?)キッチンで、好みの一杯を見つける番です。
   それでは、次はどこかのバーでお会いしましょう。




このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ ウイスキー・フロート
レシピ ハーヴェイ・ウォールバンガー
レシピ テキーラ・サンライズ
レシピ エンゼル・キッス

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人物
中谷聡博
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