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人間は水を口にしないと数日しか生命を維持できません。何でも体の70%以上が水分だとか・・・・それはさておいても、おいしい料理には、おいしい飲み物をあわせたいものです。もちろん食事中だけではなく、寒い日には一杯のコーヒーで体を温め、夜の静寂にもの思う時はブランデーをチビリチビリ。はたまた友人との愉しい会話を盛り上げる生ビール。夫婦で想い出話をする時のダージリンティー・・・・さまざまな場面で皆さんの傍らに、さりげなく登場するのはどんな『飲みもの』でしょうか。このコラムではそんな『飲みもの』の素顔にスポットを当てていきます。決してミズ臭い話ではありません。 チャんと読んでください。 |
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今回から数回にわたって日本酒造りの1年をレポートしたいと思います。お世話になるのは大阪府交野市にある山野酒造さんです。大阪では数少ない酒蔵ですが、「片野桜」の名で酒造りをされており、全国新酒鑑評会において金賞を受賞したこともある蔵です(平成19年度も金賞を受賞されました)。
山野酒造さんは酒販店と協力して「富楼那実りの会」を設立し、造り手と消費者が一緒に所有している田んぼで日本酒造りに最適な米を作っています。私はこの数年、この田んぼでの田植えや稲刈り、収穫された米で作ったお酒の仕上げの搾りなどに参加しています。私たちが作業した田んぼ(山野酒造自社田)からは「富楼那」と名づけられた純米大吟醸酒が造られます。
日本酒の原料は「お米」ですから、まず田植えから始まります。植えるのは、酒造好適米の「山田錦」です。通常食卓に上る「コシヒカリ」や「あきたこまち」と違い、日本酒はその醸造に適した米を使用します。それらを酒造好適米と呼び、「山田錦」「五百万石」「雄町」「美山錦」などの品種があります。通常のタンパク質(美味しさ)の多い米では酒に仕立てときに雑味が多くなり、おいしいお酒にはならないそうです。
右の写真は左が「山田錦」、右が「コシヒカリ」です。「山田錦」は粒が大きいのがおわかりいただけるでしょう。
さて、ここまでお話したところで、「酒蔵は米作りをするのが普通でしょ?田んぼを所有していて当然じゃないの?」といった疑問が湧きませんか?実は日本酒造りは必ずしも酒蔵が田んぼを所有して米作りをし、その米でお酒を造っているわけではありません。農家と契約して米作りを委託する場合も多いようです。つまりは原料をよそから買っているのです。皆さんの持っているイメージとは違うと思いますが、これはワイン造りでもよくあることです。醸造所を持つことは小さなぶどう生産者にとっては大きな負担となるからです。ただ、日本酒と大きく違うのは「ぶどうは輸送に弱く、ぶどう産地でワイン醸造をしなくてはならない」という点です。それに対して米は輸送が可能です。自身の蔵の周りに田んぼがなくても出来の良い土地の米を買えば日本酒造りは可能なのです。
たとえば、酒造好適米のなかで特に優れているのが「山田錦」といわれ、最上の産地は兵庫県の丹波にある三木、東条、吉川のものとされています。これらの場所には「特A地区」と認定された田もあります。まるで格付けされたワインのぶどう畑のようですね。当然、酒造好適米は高価なわけで、お酒造りすべてに特Aの山田錦を使うと原材料費が非常に高くなります。「新酒鑑評会出品用のお酒」はこの手法で造り、一般商品の場合は「酒造りの基盤(酒母)を作るときには酒造好適米を使うが、それ以外は他の米を使う」などの方法をとることが多いようです。
今年の田植えが行われたのは6月22日。非常に遅いと思いませんか?山野社長によると、田植えを遅らせたほうが害虫の被害が少なくなるそうです。つまりは農薬に頼らない自然農法でしょうか?あぜからロープを張ってまっすぐ植えているはずですが…結果はごらんのとおり。
田植えが終わればバーベキューの開始です。山野酒造さんのお酒と一緒にお肉や焼きそば、おにぎりなどを頂きます。「おいしいお酒で疲れも吹っ飛ぶ!!」……わけがなく、帰りの電車では全員爆睡でした。明日の授業は大丈夫でしょうか??
山野社長には、以前は職員対象の勉強会を開いていただいたり、授業に来ていただいたり、私個人も辻調もいつもお世話になっております。非常にお話し上手な社長さんです。
今回は残念ながら雨天となり、ずぶぬれの中の田植えでした。まあ、「どうせ泥んこだから・・」とあきらめての作業でした。さあ、次回は収穫!10月の末ですからレポートはもっと後になると思います。手作業の稲刈りは重労働ですが、おいしいお酒のために次回もがんばります。
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