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人間は水を口にしないと数日しか生命を維持できません。何でも体の70%以上が水分だとか・・・・それはさておいても、おいしい料理には、おいしい飲み物をあわせたいものです。もちろん食事中だけではなく、寒い日には一杯のコーヒーで体を温め、夜の静寂にもの思う時はブランデーをチビリチビリ。はたまた友人との愉しい会話を盛り上げる生ビール。夫婦で想い出話をする時のダージリンティー・・・・さまざまな場面で皆さんの傍らに、さりげなく登場するのはどんな『飲みもの』でしょうか。このコラムではそんな『飲みもの』の素顔にスポットを当てていきます。決してミズ臭い話ではありません。 チャんと読んでください。 |
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少し前までは、お茶と言えば、各家庭で緑茶を急須でいれたり、麦茶や番茶を沸かして用意していたものです。そんな時に、それぞれのお茶の香りと共に四季を感じた気がします。しかし、最近はペットボトルや紙パックのお茶をスーパーやコンビニで買うことが日常になっています。
(「紅茶統計」日本紅茶協会
2005年11月)
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国名 |
消費量 |
アイルランド |
2960グラム |
イギリス |
2200グラム |
ニュージーランド |
960グラム |
オーストラリア |
690グラム |
日本 |
84グラム |
(1年間1人あたりの茶葉の使用量) |
近年、紅茶も日本茶と同じ傾向がみられます。もともと日本では、紅茶は主要な飲み物ではなく、日本茶や中国茶、コーヒーなど、バラエティー豊かな飲み物のうちの一つです。そのため、海外の国と比べると、日本での茶葉の消費量は表のように極端に少量です。しかし、ペットボトルのようなRTD 茶(下記)の普及により、急速に消費量が伸びている事は言うまでもありません。
<紅茶の種類>
紅茶は本来、茶葉を熱湯で抽出するものですが、現在では手軽に飲めるRTD茶をはじめ、さまざまな形態の製品が流通しています。
- 【ルースティー】
- 茶葉を缶やアルミ(紙)パックで梱包した製品で、自分で計量して使用します。使用する茶葉の量や抽出時間を変えることで、水色や渋みを自由に変えられます。
- 【ティーバッグ】
- 約2g〜3gの茶葉を布またはナイロンの生地で包んだ製品。短時間で抽出させる事や茶葉の始末を簡単にする事を目的にしています。
茶葉が計量されているので、お湯の量や抽出時間を一定にすることでいつでも同じ水色(紅茶の色)や渋みを得ることが出来ます。
- 【インスタントティー】
- 茶葉の成分を粉末にしたもので、お湯や水で溶かすと紅茶になります。製品の使用量とお湯や水の量を決めておけばいつも同じ味や香りを楽しめます。
- 【RTD茶】
- 缶や紙パック、ペットボトルなどにつめられた液体紅茶のことです。持ち運びに便利で、また簡単に冷やすことが出来ます。
どのタイプを選ぶかは目的によりますが、ティーバッグやインスタントティー、RTD茶は「常に一定の味と香りを得られる」製品です。一方ルースティーは、「紅茶」本来の香りや味を引き出せるだけではなく、使用する茶葉の量や抽出時間を変えることで、水色(抽出した茶の色)や味(渋み等)など自分で変化をつけることが出来ます。ルースティーは、1杯目は何も加えず、2杯目はミルクを入れて渋みを緩和するなどして楽しみたいものです。
<茶葉の種別>
茶葉を選ぶとき、ダージリンやアッサムといった産地による香りや渋みの違いのほかに、茶葉のサイズによって抽出時間が違うことも知っておきましょう。
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OP(オレンジ・ペコ)
一番大きな形状の茶葉です。抽出時間は一番長くかかります。
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BOP(ブロークン・オレンジ・ペコ)
OPをカットしてサイズを小さくした茶葉です。抽出時間はOPほどかかりません。
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CTC(シー・ティー・シー)
抽出時間を短くする為に、生の茶葉をつぶし、裂き、丸め、エキスが葉の表面に付着するようにしたものです。抽出時間は一番短くなります。
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同じ茶葉の量で抽出した場合、OPからCTCにいたるに従って渋みは強くなります。
<紅茶の抽出>
紅茶の抽出時間は、使用する茶葉の量ではなく、茶葉の種別により判断します。このとき、抽出に使用するポットをあたため、沸騰したお湯を常時使用する事がポイントです。抽出温度が一定でないと、同じ茶葉の量を使用しても一定の味や風味にはなりません。
また、茶葉は抽出時間がすすむに従い、ポットの底に沈みます。これにより、ポット内の紅茶は上部が味、水色、香りが弱く、底になるほど味、水色、香りが強くなります。ですから、カップに注ぐときは、均等な味、水色、香りになるよう、適量ずつ注ぎ分けます。
また、アイスティーを作成する場合、タンニン(渋み)が強い紅茶を使用するとクリームダウン(白濁)する可能性が強くなります。この場合、紅茶を氷で冷やす前に、ポット内の全ての紅茶を漉して渋みを確認する事がポイントとなります。
【実験】
抽出時間による水色とタンニン量
(使用茶葉:ダージリン・ファーストフラッシュ FOP)
抽出時間の経過による水色及びアイスティーにした場合のクリームダウンの状況を実験してみました。茶葉のサイズはオレンジ・ペコ(大きなサイズの茶葉)を使用したのでタンニン(渋み)が出難いと予想しましたが、意外にも2分30秒でクリームダウンしました。
抽出時間<1分30秒> |
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抽出時間<2分30秒> |
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抽出時間<3分30秒> |
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タンニン(渋み)がある一定より強くなるとクリームダウンしますが、茶葉の産地や大きさにより、渋みの出方は違うので、クリームダウンする抽出時間も違います。使用する茶葉によりどれ位の渋みでクリームダウンするかを知ることがポイントです。
どんな紅茶を選ぶかは、洋服を選ぶのと似ています。季節や目的、あるいはその時々の気分によって洋服の色や形を選ぶように、紅茶も朝、昼、夜とそのシーンによって水色や味(渋みの強弱)、香りを選ぶ事が出来ます。紅茶の変化のつけ方には、フルーツやジャムを加えるバリエーションもありますが、茶葉を選び、抽出時間を調整して自分の好みの紅茶をいれるという手間をかけるのが、“時間を楽しむ”こと、つまり紅茶本来のあり方であるように思います。
【豆知識】
◇ティーバッグで紅茶をいれる
ティーバッグで抽出するときは、カップを事前にあたためて沸騰したお湯を注ぎ、カップの受け皿をのせて保温性を高めると、茶葉のエキスを十分に引き出す事が出来ます。ただ、最近は比較的大きな茶葉を使用している製品もあり、この場合は十分に沸騰したお湯を使用しないと香りや味を引き出すことは出来ません。
◇ダージリン・ファーストフラッシュ
ダージリンは年間3回収穫され、それぞれ春摘み(ファーストフラッシュ)、夏摘み(セカンドフラッシュ)、秋摘み(オータムナルフラッシュ)と言います。
◇FOP
フラワリー・オレンジ・ペコの略称。オレンジ・ペコよりも上級の葉(枝の先端に近い葉)で選別が厳しく、芯芽を含むもの。
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