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連載コラム Food風土エスパーニャ
ここ数年、世界のグルメたちが注目しているスペインの食事情。進化するヌエバ・コシーナ・エスパニョラ(新スペイン料理)、スペインワインのイメージを一新するボデガ(ワイナリー)、変容するタパス(ピンチョス)と、話題には事欠かない。先頭を切るのは若い世代のニューリーダーたち。しかし、器は変わってもそこにはいつもスペインのエスプリが潜んでいる。いまやフランスやイタリアにまで強い影響を及ぼし始めたスペイン料理、その今を取り上げる。レシピでは、筆者がおすすめするスペインの代表的な家庭料理を紹介。
ハモン・イベリコ
街の肉屋には必ず生ハムがスペインにはたくさんの魅力的な食材があります。鱈の喉仏、トマト、オリーブオイル、サフラン、ワイン・・・と挙げるときりがありません。その中でも特に忘れられないのが生ハム。生ハムはイタリアのプロシュートも有名ですが、スペインの生ハムは熟成期間が長いため、凝縮された味わいがあります。今回は、日本でも2003年から再び輸入が解禁になった、スペイン産生ハムを紹介します。原料となる豚の品種から生産地の気候、飼料、熟成方法まで、こだわりずくめの生ハムです。

スペイン産の生ハムといえば、「ハモン・イベリコ」や「ハモン・セラーノ」いう名前をよく耳にしますが、この2つはどんな違いがあるのでしょう?簡単に言うと、原料となる豚の品種が違います。一般に「ハモン・セラーノ」は交配種の白豚で作った生ハム、一方「ハモン・イベリコ」は、イベリア半島在来種のイベリコ種という黒豚で作った生ハムを指します。

セラーノが2.5ユーロ、イベリコが12ユーロハモン・セラーノのハモンは「ハム」、セラーノは「山の」という意味で、その名の通り、伝統的には山岳地帯で生産されてきたハムをこう呼んでいました。そして、かつてはそのほとんどがアンダルシア地方の古来の伝統種豚であるイベリコ種で作られていました。ところがイベリコ種は生長が遅いため、今日では、ほとんどの家畜用豚が中部ヨーロッパから入ってきた生産効率のよい白豚系がとって代わり、イベリコ種はスペインの家畜豚全体の約4%弱となってしまいました。 それで近年は「ハモン・セラーノ」は白豚を原料とする生ハムとして、イベリコ種を使った「ハモン・イベリコ」と区別するようになりました。現在、スペインで年間4千万本作られる生ハムのほとんどは「ハモン・セラーノ」で、「ハモン・イベリコ」の生産量は一割弱です。

溶けるような白い脂ハモン・イベリコは、さらに、与える飼料の違いから、次の3つのカテゴリーがあります。

1.ピエンソ(配合飼料だけで育て、放牧しない)
2.レセボ(ドングリと配合飼料で育て、放牧する)
3.ベジョータ(ドングリで育て、放牧する)
※ベジョータとはドングリのこと

もっとも評価が高いのは、自然の中で放牧されてしっかり運動し、ドングリをたっぷり食べて育ったベジョータです。「ハモン・イベリコ・デ・ベジョータ」といえば、ハモン・イベリコの中でも最高級品。総生産量の2%程度しか生産されていません。

脂が落ちるので脂受けがついているベジョータになる豚は、11月から1月にかけて、スペイン西部に自生する樫やコルク樫の森で放牧され、オレイン酸を多く含むドングリを食べて成長します。ドングリを食べつくして十分太ったら、多くは海抜1000メートル前後の山岳地帯で加工します。モモ肉だけにして、まず、10日〜15日くらい、低温で湿度の多い部屋で塩漬けにします。次に表面の塩を洗い落とし、15度前後、湿度50%の初期乾燥室に吊るします。その後別の乾燥室に移して6〜12ヶ月乾燥させ、さらに10度くらいの熟成室で9〜12ヶ月熟成します。出来上がるまでには何と、2〜3年もかかるのです。
こうして、筋肉組織間にきめ細やかな脂肪が入り込んだ霜降り状のハムが出来上がります。よく見ると、中に白い小さな粒が見えます。これは、熟成することでできる美味しさの元、アミノ酸の結晶です。

産地については、サマランカ、エストレマドゥーラ、アンダルシアなど、スペイン南西部に集中しており、ハモン・デ・ギフエロ、デヘサ・デ・エストレマドゥーラ、ハモン・デ・ウエルバの3つの原産地呼称が認められています。有名な「ハモン・ハブーゴ」は、このハモン・デ・ウエルバに含まれるハブーゴ村で産する最高級のハモン・イベリコ・デ・ベジョータです。
このように、飼育や熟成方法、産地などにも厳しい条件を設け、品質の高い「ハモン・イベリコ」を生産しています。

蹄(ひづめ)が黒いハモン・イベリコ■ セラーノとイベリコの見分け方 ■
両者の違いは蹄(ヒヅメ)の色で見分けます。その違いは取引上大変重要な為に、蹄は絶対に切り落とさずに市場に流通しています(ちなみにイタリアの生ハムには蹄がありません)。黒豚のイベリコ種は蹄まで黒く、セラーノの蹄は白色です。

肉屋に並ぶ生ハムの骨最後に、スペインの肉屋さんには面白いものが並んでいます。それは生ハムの骨です。これでスープを取ったり、豆を煮込んだりします。生ハム独特の旨みが出て、料理に欠かすことのできない材料のひとつです。

パリでベジョータを食べることができる

パリにベジョータの美味しいものを専門に食べさせてくれるバーがあります。軽い食事も出来て、独りでもグループでも、昼でも夜でも楽しむことができるお店です。
BYZANSが2002年08月にオープンしたスペイン・バールBELLOTA-BELLOTA(※1)。ワイン1杯でも、ハムだけでも自分のお腹の具合に合わせて食べることができる、今、パリで流行りのタパス・バーです。地下には10名程度の大きなテーブルがあります。デザートのひとつ《クレーマ・カタラン》は、クレーム・ブリュレの原型とも言われています。
この会社は他に、キャヴィア、スモークサーモン、生ハムを扱うBELLOTA BELLOTA(※2)や生ハム専門店JABUGO IBERICOを経営しています。

BELLOTA-BELLOTA(※1)
(18 rue Jean Nicot 75010 Paris) Tel:01 53 59 96 96
BELLOTA BELLOTA(※2)
(27 rue Yves Kermen 92100 BOULOGNE)
JABUGO IBERICO
(11 rue Clment Marot 75008 Paris)


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ 若鶏のソテ バスク風

辻調グループ校 西洋料理教授
人物 肥田 順
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