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西洋料理TOPへラ・ミーア・マンマ! イターリア!! コラム一覧へ
ラ・ミーア・マンマ! イターリア!!
「地方料理の集合体」などと形容されるイタリア料理。ちょっと堅苦し〜い表現ですが、つまりは「土地のマンマ(お母さん)の味」ということ。「イタリアの家庭で作られるおふくろの味を日本の食卓へ!」をテーマに、皆さんよ〜くご存知のこれぞイタリア料理から、日本では無名に近い地方料理まで、ただひたすら個人の趣味でご紹介。「イタリア料理はmammaのマンマ」の思いをタイトルに込め、辻調グループ校「イタリア大好き!!!」職員が、遠き恋しきイタリアを想いながら好き放題、いえ、自由に綴る偏重コラム。星付きレストランの料理も!と、時にはテーマを外れて大暴走なんてことにも!?
ヴェネツィアのオアシス「バーカロ」
  水の都ヴェネツィア。100以上の島が寄り添い、網目のように運河が流れるこの町には、自動車が入れないため、水上バスやゴンドラが交通手段。
バーカロ
バーカロ
  そして小さなエリアに細い路地がたくさんあり、まるで迷宮のようです。そんなヴェネツィアで地図を片手に歩いていると、たくさんのバーカロを目にすることができます。バーカロとは、気軽にお酒を楽しめるお店のことで、レストランやバール、カフェとも違うヴェネツィアならではの居酒屋さんのことをいいます。朝は仕事前にオンブラ(ワイン)を1杯ひっかけに、昼はランチに、そして夜はオンブラを飲みながらおしゃべりを楽しみ、店をはしごする。これがヴェネツィアのバーカロです。
  ヴェネツィアの人は、ワインをオンブラ(イタリア語で日陰という意味)と呼びます。昔、ワインを露天で売っていた頃、サン・マルコ広場の鐘楼の下で塔が作る日陰と一緒に屋台を動かしていたからとか、居酒屋の廂が作る日陰からきているとか……
  それにしても朝からお酒を飲むなんて、しかも仕事前に?! 日本では考えられないですよね。
チケッティ
チケッティ
  お店に入るとチケッティという一口サイズのおつまみが数種類、カウンターに並んでいます。イワシの酢漬け、サラミやチーズ、バッカラ(干だらのペースト)を載せたパン、魚介のフリット(フライ)などお店によって様々ですが、だいたい1〜2€くらいです。オンブラも1杯で同じくらいの値段でした。これなら何軒もはしごしたくなるのも納得です。
  そもそもバーカロと呼ぶようになったのは、1800年代のこと。イタリア語では酒の神バッカスをバッコといい、バッカス祭やワインを飲んでのバカ騒ぎのことをバッカナーレといいます。バーカロという言葉もこのバッカスに由来するとされ、一説には以下のようなエピソードも。
  ヴェネツィアがオーストリアと戦っていたころ、戦争が終わりヴェネツィアの傭兵としてプーリアのトラーニから来ていた男が、郷里のワインを輸入してヴェネツィアで居酒屋を開きました。ある夜、ゴンドラ乗りの男たちの一団が来てワインを一杯飲んだところ、とてもおいしかったので「これぞバーカロのワインだ」と叫んだそうです。バーカロと聞いた亭主が、次に「バーカロ・グランデ」という名で店を始めたので、いつの間にかヴェネツィアではこのような店をバーカロと呼ぶようになったとか。どうやら店の亭主は、バッカナーレとバーカロと聞き間違えたようです。
  ヴェネツィアには、本島だけで80を超すバーカロがあるそうですが、リアルト橋近くにあるサン・ジョヴァンニ・エレモジナリオ教会の前の路地を入ると、ヴェネツィアに現存する最も古いバーカロ「カンティーナ・ド・モーリ」があります。「ド・モーリ」とは、ヴェネツィア弁で「二人のムーア人」という意味で、かつてのこの店の経営者に由来しているそうです。文書に残る記録では創業が1462年で、バーカロという言葉は1800年代に生まれたので、それ以前はカンティーナ、つまり酒屋だったそうです。店内は天井からたくさんの鍋がぶら下がっており、昼も薄暗く、老舗バーカロの風格があり、まるで中世にタイムスリップしたかのような気分になります。

ド・モーリ店内   ワインの樽
ド・モーリ店内   ワインの樽

魚市場
魚市場
青物市場 ラディッキオ・ディ・トレヴィーゾ
青物市場
ラディッキオ・ディ・トレヴィーゾ
  「カンティーナ・ド・モーリ」のすぐ近くにヴェネツィアの台所、市場があります。市場はリアルトの大運河に面しており、魚市場、青物市場が隣り合わせにあります。イタリアではプロの料理人も家庭の主婦も同じ市場で買うそうで、ヴェネツィアのレストラン、バーカロで出される料理の材料のほとんどはこの市場で買えるそうです。
  魚市場には、近郊の魚村やアドリア海最大の水産市場があるキオッジャから毎朝届くたくさんの魚介がダイナミックに並んでいます。キオッジャでは、150種類以上の魚介が水曜日を除いて毎日水揚げされるそうです。
  青物市場には、さすがイタリア!!と思わせる色彩豊かな野菜がたくさん並んでいます。特に、アーティチョークやヴェネト州特産のラディッキオ・ディ・トレヴィーゾなど、日本ではほとんど見ることのない野菜もたくさんありました。
  ヴェネツィアに行ったら、ゴンドラに揺られながら水の都を堪能し、レストランでヴェネツィア料理を食するのもいいですが、是非、チケッティをつまみながらオンブラを飲み、バーカロを2〜3軒はしごしてみてください。
  今回はワインのつまみに合うようなフリットを紹介します。簡単なので、バーカロを思い浮かべながらワインと一緒にどうぞ!!


Buon appetito !!




このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ 桜海老、グリンピース、竹の子のフリット

国立のcurioso
人物 平形 清人
西洋料理担当
人物 飯田ゆうき
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