辻調グループ

コラム&レシピTOP
西洋料理
日本料理
中国料理
世界の料理
洋菓子
和菓子
パンとドリンク
日欧食べ物だより
こだわりレシピ検索
辻調グループ 最新情報はこちらから
Column&Recipe
コラム&レシピTOP
西洋料理
日本料理
中国料理
世界の料理
洋菓子
和菓子
パンとドリンク
日欧食べ物だより
こだわりレシピ検索
西洋料理TOPへラ・ミーア・マンマ! イターリア!! コラム一覧へ
ラ・ミーア・マンマ! イターリア!!
「地方料理の集合体」などと形容されるイタリア料理。ちょっと堅苦し〜い表現ですが、つまりは「土地のマンマ(お母さん)の味」ということ。「イタリアの家庭で作られるおふくろの味を日本の食卓へ!」をテーマに、皆さんよ〜くご存知のこれぞイタリア料理から、日本では無名に近い地方料理まで、ただひたすら個人の趣味でご紹介。「イタリア料理はmammaのマンマ」の思いをタイトルに込め、辻調グループ校「イタリア大好き!!!」職員が、遠き恋しきイタリアを想いながら好き放題、いえ、自由に綴る偏重コラム。星付きレストランの料理も!と、時にはテーマを外れて大暴走なんてことにも!?
マンマ・ミーアなトスカーナのピリ辛煮込み
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のクーポラ
サンタ・マリア・デル・
フィオーレ大聖堂の
クーポラ
  トスカーナで研修した僕としては、イタリアで一番好きな町は?と聞かれたら、迷わずフィレンツェと答えます。イタリアの花の都と呼ばれるフィレンツェは、歴史的建造物や絵画が今でも見ることのできる美しい町でもあります。その中でなんと言ってもフィレンツェのシンボルであるサンタ・マリア・デル・フィオーレ(花の聖母)大聖堂は、約3万人を収容することができるそうです。近くで見上げるとそのスケールの大きさと美しさに驚かされます。この大聖堂の特徴は巨大なクーポラ(丸屋根)。内側にはフレスコ画で「最後の審判」が描かれ、建造物としてだけではなく芸術的にもすばらしいものとなっています。

クーポラの内側に描かれた「最後の審判」   フィリッポ・ブルネレスキ像
クーポラの内側に描かれた
「最後の審判」
  フィリッポ・
ブルネレスキ像

  実はこのクーポラ、14年の歳月を費やして作られた建築家フィリッポ・ブルネレスキの最高傑作と言われています。もともと彼は金銀細工、彫刻の芸術家として名声を受けていましたが、1401年の大聖堂横のサン・ジョバンニ礼拝堂の第2門扉の製作を誰に依頼するかというコンクールがフィレンツェで行われた際にライバルの彫刻家ギベルティに敗れてしまいます。(共同制作を辞退したとの話もありますが・・・)このコンクール以降、彼は建築家の道に進むこととなるのですが、もし優勝していたら彫刻家として生涯を全うしていたかもしれないですね。
  しかしそれから17年後、当時もっとも困難だとされていた大聖堂のクーポラの建設方法を競うコンクールで、彼の設計が唯一実現可能なものとして採用されることになります。ここでドーム架設工事を共同で指揮していたギベルティに変わり、ブルネレスキが現場の総指揮を任されることとなり、この因縁の対決に終止符を打つこととなったわけです。残念ながら彼はクーポラの完成を見届けることができませんでしたが、クーポラ建築の偉業により彼の名声は不動のものとなったのは言うまでもありません。
  そしてブルネルスキの手がけたこの大聖堂の建築はトスカーナ料理にも影響を与えました。その料理の名前はペポーゾPeposo。こしょうのペーペpepeからきています。当時、このクーポラ建設に使ったレンガの数は約400万個といわれ、フィレンツェの郊外、インプルネータという町で焼かれたものを運び込んでいたようです。この町は古代ローマ時代からテラコッタ(粘土から作る素焼きの焼き物)で有名で、職人たちは寝ずに朝から晩までレンガを焼きつづけたようです。その中で生まれた料理がこのピリ辛の煮込み料理。作業の途中に何時でも食べられるようにと当時の職人たちが考え、
トラットリア「アルマンド」
トラットリア「アルマンド」
建築現場でも好んで食べられたようです。当然、現場監督のブルネレスキも好んで食べたと言われています。
  ともかくこの職人たちに大人気だったペポーゾですが、フィレンツェでこの料理を提供しているトラットリアも多いです。その中でも日本で紹介されているのは「アルマンド」というトラットリア。近くにテアトロ(劇場)があり、その関係者たちが足しげく通う名店です。店内は鰻の寝床のようになっており、細い通路を抜けて客席に入ると俳優や音楽家たちの写真が壁一面に飾られています。当然のことながらトスカーナの伝統料理がスペシャリテになっていて、その中でもこのペポーゾは人気メニューの1つです。

「アルマンド」の店内。来店したテアトロ関係者の写真が所狭しと飾られている   アルマンドのペポーゾ
「アルマンド」の店内
来店したテアトロ関係者の写真が
所狭しと飾られている
  アルマンドのペポーゾ

  私が食べたときには洋ナシのコンポートが添えられており、初めて見る料理だったので思わず店主に「ペポーゾには必ず洋ナシが添えられるのですか?」と尋ねてしまいました。店主ははじめ、驚いていましたが、にっこりと笑って「私たちの店ではこしょうの利いたこの料理の辛さを和らげるために添えています。すべてのペポーゾに添えられているわけではありませんよ。」と答えてくれました。どうやら洋ナシを添えるのはこの店の特徴のようです。
  と言うことでフィレンツェの思い出に浸りながら今回はルネッサンス期に考え出されたこのピリ辛の煮込み料理を作ってみます。シンプルでありながら奥深い味。トスカーナの伝統の味を味わいながらトスカーナワインとともに約600年前のルネッサンス時代に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

Buon appetito !!




このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ ペポーゾ(牛肉の煮込み、こしょう風味)

国立のcurioso
人物 平形 清人
このページのTOPへ
 
辻調グループ校 Copyright(C) 2003 TSUJI Group