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西洋料理TOPへラ・ミーア・マンマ! イターリア!! コラム一覧へ
ラ・ミーア・マンマ! イターリア!!
「地方料理の集合体」などと形容されるイタリア料理。ちょっと堅苦し〜い表現ですが、つまりは「土地のマンマ(お母さん)の味」ということ。「イタリアの家庭で作られるおふくろの味を日本の食卓へ!」をテーマに、皆さんよ〜くご存知のこれぞイタリア料理から、日本では無名に近い地方料理まで、ただひたすら個人の趣味でご紹介。「イタリア料理はmammaのマンマ」の思いをタイトルに込め、辻調グループ校「イタリア大好き!!!」職員が、遠き恋しきイタリアを想いながら好き放題、いえ、自由に綴る偏重コラム。星付きレストランの料理も!と、時にはテーマを外れて大暴走なんてことにも!?
マンマの味、トスカーナのスープ
  イタリア料理の面白さと言えばアンティパストからドルチェまで各州の伝統料理や菓子が根強く残っていることだと思います。情報や輸送手段が発達している現代においてもイタリアの人々は食の文化に関して頑なに自分たちのスタイルを守り続けている頑固な人種といってもよいぐらいです。その点、私たち日本人はスタイルを変えすぎる傾向にありますが、裏を返せば日本は食に関して世界でもトップレベルの料理を食べることのできる国なのかもしれません。
  さて、私が研修していたのはトスカーナ州の南、マレンマと呼ばれている地域ですが、グロッセートやポルト・サント・ステーファノといった海に面している地域と、山間部の地域ではっきり食文化が別れていて、
丘の上の街、モンテメラーノ
丘の上の街、モンテメラーノ
海から50kmほどしか離れていない山間部ではほとんど魚を食さないといった徹底ぶり! 私が研修した店は、山間部にあるモンテメラーノという小さな×2村の中にあるリストランテで、名前は「ダ・カイーノ」。ミシュランの星つきの店では珍しく、鮮魚を使ったメニューをおいていませんでした。スペシャリテは猪や野うさぎ、子羊、豚などで、魚料理はバッカラ(塩漬けの干鱈)を使ったもののみでした。
  「ダ・カイーノ」は日本では自家製ジャムなどで知られてはいますが、リストランテについてはあまり紹介されていないようなので簡単に紹介しますと、1971年、現オーナーのマウリーツィオ氏の両親がトラットリーアを開店したのが始まりで、店の名は父のカリージオ氏の名前にちなんでいます。1978年にはオステリーアに、1987年には本格的なリストランテにと少しずつ大きくなり、ついに1991年にミシュラン1つ星、1999年には2つ星にと上りつめたのです。現在ではその名を知らない人はいないほどで、トスカーナを代表するリストランテとなりました。

リストランテ「ダ・カイーノ」   リストランテの入り口
リストランテ「ダ・カイーノ」   リストランテの入り口

シェフのヴァレリア・ピッチーニ(右)
シェフのヴァレリア・ピッチーニ(右)
  そしてこの店の料理を仕切っているシェフ、ヴァレリア・ピッチーニ。彼女はこの地域で生まれ育ち、メニューを考えるときも常に地元の料理にこだわっていました。そのため肉料理に偏っていたのも理解できます。研修中、賄い料理を通してトスカーナの伝統料理を紹介してもらいましたが、中でも特徴的なのがスープでした。代表的なものはパッパやリボッリータ、そしてアックア・コッタなどのパンを使ったもので、スープのようなお粥のようなものでしょうか。
  もともとスープという言葉は「パンを液体に浸す」という言葉から派生してしたといわれます。イタリア語でスープ全般を指す言葉はミネストラですが、ミネストラのひとつに「浸す(ズッパーレ)」という言葉が語源のズッパがあり、ズッパと名がつく場合は必ずといっていいほどトーストしたパンが添えられています。
  イタリア料理の特徴ともいえるパスタやリゾットも、実はスープと密接な関係を持っています。イタリア料理ではこれらは全て同じカテゴリーに含まれ、このカテゴリーを指す言葉もミネストラといいます。現在でもソースで和えたパスタ料理は一般的にはミネストラ・アッシュッタやパスタシュッタ(またはパスタ・アッシュッタ)と呼ばれ、直訳すると「乾いた(汁気のない)ミネストラ」、「乾いたパスタ」という意味になります。スープそのものや、スープに使うパスタと区別して、「汁気がない」という表現をするのは、もともとパスタがスープの具としても普通に使われていたためでしょう。
  リストランテやトラットリーアなどでは地味なスープではなく、パスタ料理やリゾットに目がいってしまいますが、各地方に伝わるスープにスポットを当ててみるのも面白いかもしれません。

Buon appetito !!




このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ アックア・コッタ

国立のcurioso
人物 平形 清人
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