初めてベトナムを訪れたのは、1995年11月17日でした。関西国際空港を午後2時15分に飛び立ち、約5時間半のフライトでホーチミン市タンソンニャット空港に着きました。まず最初に感じたのは夕暮れ時だったかも知れませんが、空港全体がとにかく薄暗いという印象です。徹底した節電かも知れませんが、日本からベトナムに着いたばかりの私たちにはいくらかの戸惑いを隠しきれなかったように記憶しています。おまけに11月半ば午後5時45分(日本との時差は2時間:日本時間で午後7時45分)だというのに気温は約30℃、
この日の大阪は14〜15℃ぐらいだったように思います。
そして11月21日午前11時20分、ホーチミンを離陸しハノイに向かいました。日本から到着した日は夜になっていたのでよく見えなかったのですが、この空港はとてつもなく広く、その一部には軍事用ヘリコプターが待機し、今はほとんど空っぽの格納庫が以前の悲惨な戦争を静かに物語っているかのように思えました。 |
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午後1時40分、20分遅れでハノイ市ノイバイ空港に到着です。到着前に目にしたのは、広大な空港の敷地内に数多くの田畑があり、牛が農作業の中心になっているという、今の日本ではほとんどお目にかかれない光景でした。気温は15℃、また大阪と同じ気温に逆戻り。何しろ日本と同じで南北に長いお国柄、気温差が大きいのは当然ですよね。 |
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さて前置きはこれくらいにして、今回の料理について説明しましょう。お米の国ベトナムの代表的な料理の一つ、「春巻き」です。まず必要な材料としてライスペーパーの存在があります。これは昔、民族の紛争が絶えることの無かった時代に、兵士たちの携帯食および保存食として生まれた物で、お米の加工品です。
水に浸して柔らかくした米をすり潰し、沸騰させた湯の上に張った布に薄く流し、蒸して火を通したものを屋外で太陽にさらして完全に乾燥させたものです。干すときに、裂いた竹で編んだ格子模様の板にのせるため、独特の模様がついているのです。
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もう一つ、ベトナム料理に不可欠な調味料があります。日本の醤油と同じ、いやそれ以上に使われているヌクマムです。小魚を原料とし、大量の塩を混ぜ込んで樽や桶に仕込みます。これを半年から約1年発酵させることによって小魚がこなれ、旨味成分を持った液体が滲み出てきます。この液体を濾過し、精製した物がベトナムの魚醤ヌクマムになるのです。良し悪しの見分け方は日本の醤油と似ていて、味、香り、色ともにすっきりとして雑味のない物が上質とされています。 |
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