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代表 辻芳樹 WEBマガジン

辻調塾in代官山蔦屋書店:第1回トークイベント「今だから、辻静雄の話をしよう!《フランス料理の手帖》」

講演・シンポジウム・イベント

2013.08.22

辻静雄の生誕80周年を記念して復刊された辻静雄ライブラリーの第一弾「フランス料理の手帖」の発売記念のイベントとして
8月8日、代官山蔦屋書店にて、辻芳樹校長と湯山玲子さんによる公開トークショー
「今だから、辻静雄の話をしよう!」辻調塾in代官山蔦屋書店が開催されました。

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辻調塾とは、食の専門のメディアの方と、食に非常に関心がある方とのプラットフォームになることを目指し、

辻調グループが開催している勉強会です。

イベント当日、代官山蔦屋の1号館1Fの会場は70名余りの参加者でいっぱい。
食業界のメディア関連の方はもちろん、わざわざ関西からこのイベントのためにお見えになった方もいらっしゃいました。

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今回で57回を迎える辻調塾ですが、公開イベントとしては、はじめて。

著述家・ディレクターでもある湯山玲子さんの軽快なお話に、
校長だけが知る辻静雄の話も飛び出すなど、辻静雄を知る上でも貴重なトークショーとなりました。

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冒頭、「フランス料理の手帖」は、30年以上前に書かれた本ではあるけれど、その普遍的な内容は、20代、30代とこの本を読み返すたびに、得るもの、感じることがある。そして、各章の終わりには、必ず辻静雄のメッセージが書いてあり、息子として、教育者として心に沁みる。

という校長の話と、


現在、当たり前のように私たちが理解しているフランス料理は、実は辻静雄が当時、欧米に対して、日本としてフランス料理の文化というものにどう追いつくか、一人その重責を担い、成し遂げた業績がどれだけ大きく、そして今のようにフランス料理を身近にしたか。ということを忘れていけないのではないか。という湯山さんのお話にはじまり、日本のフランス料理における辻静雄の存在の大きさを、あらためて知る方も多かったのではないかと思います。

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お二人は、「語らう」ということに触れ、湯山さんは、辻静雄のように、研究者として知識を得て、現場を知り、言葉という表現をともなって、自分の体の血肉となったものを教育者として学生に語れる人は少なく、自らもそうなりたいと思っている。また、現在、大学で教鞭をとっていて、学生に対して、ロックやクラブミュージックといった音楽を学ぶ中にも、それがなぜできたのか、文献をあたり、その上でその音楽を聴き、自分においてどういう関係性があるかを考えないと、ただの情報になってしまう。そうならないためにも、語ることが大切であり、多角的に語らないと確認できないことがあると述べられました。

「語らう」という点で、校長の少年時代の食卓は、知の宝庫のような人たちとの貴重な体験の場であり、3時間に及ぶ食卓で料理について交わされる知の会話は、茶事のようでもあり、言葉を選び、時間をわきまえ語り合う、とても美しいものに感じられたそうです。また現在の辻調グループの技術研究所においても、2年次には必ず議論しあえる知識をつけさせることを校長として、教師である職員に対して課しており、学生とともに試食をしながら、一つの料理に対する問いかけをすると、そこでは活発な議論が始まることも紹介しました。

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校長は、現在のフランスにおける日本人シェフの成功例や漫画「美味しんぼ」による料理の大衆化についての話を投げかけられると

昔は、料理人はみえない調理場で働く存在だったが、今は料理人が前に出る時代になった。
辻静雄も、料理人は一企業人であると、常々言っていたことをあげ、
料理人は、内容も、お金もサーヴィスも歴史についても検証、研鑽しなければならない。
料理人のステイタスをあげるために、一生をつらぬいた辻静雄にとって、
今の時代は、望んでいたものに達してきたのかもしれないと感じる一方で
一瞬にして情報が世界をめぐるこの時代に、料理人が新しいものを作り出すことのみにとらわれて
本来の職人としてのあるべき姿を忘れてしまうことへの危惧を抱いていることを話しました。

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マクドナルドが日本にできたころは、辻家では、毎週末マクドナルドという時期もあったという
好奇心旺盛で新しいものが好きだった辻静雄のエピソードも披露され、
どんな味でも成功することが大事であると認識にたっていたが、
しかし、その一方ガストロノミーでやっている私たちは何をしなければいけないか。
いつも、そこに立ち戻り、常に研鑽が必要であるとの想いに至る、謙虚な人であったと語りました。

湯山さんが、職員をつれての海外での食べ歩きの豪遊の話について聞くと、
それは効率的な方法であり、食べたものを再現できる人ならば、海外で3カ月修行して一つの店の一つのやり方を覚えるよりも
例えば、4人を1カ月食べ歩きをさせた方が16品目×30日=480品目の料理を経験できる。
辻静雄は、豪放にみえて、実は経済人としての厳しい感覚を兼ね備えていたこと
また料理人は、食べる勉強の必要があるということについても言及しました。

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さらに、辻静雄の著書の中で、外国人にも日本料理についてわかるようにした
「JAPANESE COOKING A SIMPLE ART」は、15万部のベストセラーであったことを紹介。
この本が、海外の料理人にどういう影響を及ぼしたのかは未知数であると、校長が話すと、

今回の復刊プロジェクトを立ち上げた、代官山蔦屋書店コンシェルジュの勝屋さんからは
「辻静雄という人は、あの当時に欧米の外国人と対等にわたりあった白洲次郎のような真の国際人であった」と話していただきました。

最後に、辻芳樹校長は、参加者からの質問を受け、辻静雄は常に教育者であったこと、
だからこそ著書に込められた料理人としての姿勢について
これからの料理人を目指す若い人たちに、今読んで欲しいのです。と結び、

トークショーを終えました。

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