REPORT

代表 辻芳樹 WEBマガジン

「ぐるなび戦略共有会議」における基調講演

講演・シンポジウム・イベント

2013.10.09

9月18日 品川プリンスホテルで開かれた
「ぐるなび」主催の加盟店向け「ぐるなび戦略共有会議」というイベントにおいて

辻芳樹校長が基調講演を行いました。

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参加者は、ぐるなびに加盟されている店舗の経営者や料理長といった
第一線で働いている方々です。

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今回は、外食市場の今後の展開を考える上で、ビジネス環境の厳しい中、
時には大きな視点で考えること、本質に立ち返ることの必要性などに鑑み
「グローバルな視点からレストラン業の本質を考える」というテーマを
過去、現在、未来ということで3つの視点からお話しました。

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まず一つ目は、日本料理とは何か、その本質はどこにあるのかということについて。
2010年に、CIA(The Culinary Institute Of America)で講演した

「日本料理の伝統と革新 ~その多様性について~」のダイジェスト版で、

私たち日本料理の過去と歴史をたどりました。

古代より中国文化、16世紀の大航海時代、明治維新以降の西洋文化の影響など
中国と西洋、様々なジャンルを吸収しながら独自の文化を発展させてきた日本。

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懐石料理とは何か。その2つの要因に触れ、肉食が禁じられていた戒律から技術革新が重ねられ、宗教的な意味を踏まえながら美味しさを表現、みため、食感を追及する精進料理と、日本独自に発展した建築や陶芸などを含む総合芸術としての茶の湯の文化との融合によって形作られたことを説明しました。

室町時代までにある程度完成した日本料理が、鎖国によって独自の文化へと昇華した江戸時代、明治維新以降の開国、肉食の解禁とともに西洋料理が新たな局面をもらしましたが、日本は、西洋料理をものみこみ、洋食という新しいジャンルを作りました。このように、海外の影響にさらされながらも、日本は伝統と革新を繰り返しながら、独自のものを興して守ってきた歴史があるのです。

次に、現在を知る上で、ニューヨークでの2つのレストランの事例を紹介。

紹介したのは、辻調グループがデイビット・ブーレイ氏と共同経営する

懐石料理のブラッシュストロークと、ラーメンの一風堂。

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ブラッシュストロークでは、日本料理のフレームを崩さずに、海外で受けいれられる味覚にあわせていくことで成功していること、ブラッシュストロークで提供されている料理から5品をピックアップして、具体的な調理方法についても説明しました。ブラッシュストロークは産学共同プロジェクトとして、実際に学校教育の現場にその研究成果をフィードバックしています。

また一風堂では、ラーメンというコンテンツは変えずに、提供の方法を変え、西洋の食文化のスタイルにあわせたラーメンを食べるまでのストーリー作りによって、2人で100ドル、1人あたり50ドルという客単価を可能にし、日本の平均的な店の倍の売上をあげていることを紹介。

三つ目にレストランの未来を考えるという視点で、ニューヨーク郊外のBLUE HILL at STONE BARNSのレストランをあげ、新しい食材へのアプローチ方法について校長が実際に現地に赴き、見聞してきたことについてお話しました。

ダン・バーバー氏のこの農場レストラン『BLUE HILL at STONE BARNS』は、新しい時代のエコロジーを追求し、農薬、人為的な肥料を使わず、穀物や野菜を作っている実験的な農場『STONE BARNS』に、ダン・バーバー氏が招聘され開いたレストランです。『STONE BARNS』には、若手の農業従事者のための育成プログラムなどもあり、持続可能なシステムの構築、料理人と生産者がともに、料理と作物を進化させる食を中心とした社会のあるべき姿を教えてくれると、校長は話しました。

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情報過多な時代、グローバルな時代において
自分たちのやっていることの本質について、立ち返ること、掘り下げることは重要です。

グローバルに世の中を眺めるために、自分たちの立ち位置を客観的に知ること、

異文化に入るときの、料理の2つの変換作業の事例、

食、レストランの未来に、レストラン業、料理人が担うべき社会的責任について
今回は、ヒントとなるであろう事例を提示しました。

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しかし、お客様の満足を追及すればするほど、利益との矛盾が生じる。
業界での成功は、この矛盾をどう克服するかというレストラン業がかかえる課題についてもふれ、

最後にポール・ボキューズ氏の映像とともに

「レストランにおけるその価値を決められるのはお客様であり、

その本質は客の満足にこたえ、それを持続できることにつきる」

と話して、講演を終えました。

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講演終了後、参加者の方々と。