永作 |
アルザス地方のストラスブールというと、フォワ・グラが有名でしょう。前にその町の3つ星レストラン、クロコディルがフォワ・グラがうまいという評判で、まずそこに食べに行って、その翌日イローゼルンに行ったことがあるけれど、昨日のあれはなんやった、というくらいイローゼルンのフォワ・グラはうまかった。 |
肥田 |
クロコディルは行ったことがないけど、オーベルジュ・ド・リルのピカイチは、フォワ・グラのテリーヌ。まず仕入れられてくるフォワ・グラが違う。艶のある健康優良児のような肌色で、押さえたら、指がめり込むような感じで、フォワ・グラの筋を取るのがこんなに上手くできるものなのかとびっくりした。 |
西川 |
マリネしてから、壷形の器にトリュフといっしょに押し込むように詰めてあるんですよね。それを湯煎にして低温のオーブンで焼いて。 |
肥田 |
焼き上がりは、指を突き刺して見るんですよ。中心が人肌より少し温かいくらいでオーブンから出すという、原始的かつ、いいかげんな方法。 |
永作 |
それでも壷の表面にはほとんど脂が溶け出してない。それだけフォワ・グラの質もいいし、焼き方が絶妙。へたくそに焼いたらおいしい脂がみんな溶け出してまうから。 |
中山 |
まったく臭みがないでしょう。フォワ・グラ自体の味はあるけど臭くない。 |
永作 |
先代の校長がよく言われてましたが、もう一遍何が食べたいか3つあげるなら、必ずオーベルジュ・ド・リルのフォワ・グラが入るって。 |
西川 |
口の中の温度でフワーッと溶ける舌触り、えも言われぬフォワ・グラの脂肪の味、そこに色々なスパイスの風味とかすかなお酒の香りが広がる。僕も後にも先にもあんなにおいしいフォワ・グラのテリーヌを食べた記憶はないです。 |