第15回 製菓衛生師養成施設技術コンクール全国大会 [洋菓子]1位 [和菓子]2位・3位受賞
2023年2月4日(土)・5日(日)におこなわれた「第15回 製菓衛生師養成施設技術コンクール全国大会」において、辻製菓専門学校の学生が優秀な成績をおさめましたので、ご報告します。本コンクールは全国の製菓衛生師養成施設の在校生を対象とするもので、決勝は「規定」と「自由」の2つの課題をもって製菓の技術を競います。学生の成績、および作品に関する解説と、受賞のコメントを紹介します。
●洋菓子部門●
《厚生労働大臣賞(1位)》
酒井 美月[サカイ ミヅキ]さん(辻製菓専門学校 製菓技術マネジメント学科2年生)
●和菓子部門●
《協会会長賞(2位)》
柴野 彰吾[シバノ ショウゴ]さん (辻製菓専門学校 製菓技術マネジメント学科2年生)
《関係団体長賞(3位)》
森下 晴菜[モリシタ ハルナ]さん (辻製菓専門学校 製菓技術マネジメント学科2年生)
●洋菓子部門●
●酒井 美月さん 受賞作品とコメント
作品名「茉莉花~jasmineに秘めた愛~」
上品な甘さを持つ洋梨と対照的なレモンを、ジャスミンのムースで包み込み、秘めた愛をイメージしました。ジャスミンは「香りの女王」といわれ、小さいながらも華やかで力強い香りを持つ花です。その無二の存在感を、厚みを持たせた生地を用いて、記憶に残るテクスチャーに仕上げることで最大限に表現しました。
酒井さんコメント
この度はすばらしい賞をいただき、ありがとうございます。コンクールには初めての挑戦でしたが、「人生で一度は自分の名前が世に大きく出る」ことを目標に日々研鑽を積んできたので、総合1位という結果は大変自信になりました。辻製菓の校舎入口には過去受賞者の懸垂幕が掲げられており、入学前からかっこいいなぁと思っていました。長く団体競技をやってきたので、個人の名が残ることに憧れがあったんですよね。
本格的にお菓子作りを始めたのは、辻製菓に入ってから。決して早いわけではありません。ただ、私は目標を決めたら「やるからにはやる」タイプ。やり遂げることを、自分の中でとても大切にしています。入学時から歩みを止めずにここまで来られたのも、その信念があったから。今回挑戦するにあたり、必ず優勝してくる! と公言していたのですが、別に自分を変に追い込むためではなく、他と比べても焦るばかりで足が止まるからです。自分を高める、世界に入り込む、結局は自分だと思います。
コンクールは時間制限があるので、練習するうちに他の場面でも段取りをパッと組めるようになりました。また、いい意味で遠慮がなくなったのも大きな収穫です。基本的に学校では、先生から学生へ、上から下へ一方向で教えてもらえますが、コンクールでは先生たちに自発的に質問したり意見を求めたりする場面が必ず出てきます。そうすると、先生たちも目線を合わせて真摯に応えてくれる。本当の意味で、人を頼っていいんだと思えました。教えてもらうばかりの学生の立場から、自分のスタンスが変わったと言えます。社会に出てもやっていけそうという自信にもなりました。
改めて、自分が納得いくまでサポートし続けてくださった先生方、そして集中できる環境を提供してくれた辻製菓に感謝申し上げます。就職先も、コンクールに理解がある憧れのお店なので、チャンスがきたらぜひ挑戦したいです。コンクールは大変ですが、自分が頑張ってきたことを評価してもらえる経験はとても楽しいので、後輩のみなさんも臆せず目標としてください。
●和菓子部門●
●柴野 彰吾さん・森下 晴菜さん 受賞作品とコメント
(左)柴野 彰吾さん (右)森下 晴菜さん
菓銘「庭の秋風」(柴野 彰吾さん作)
茶事の際、茶室という特別な空間へ向かうための結界として作用する「つくばい」が置かれた庭に、秋の風が吹く情景を表現しました。
柴野さんコメント
この度は栄えある賞をいただき、誠にありがとうございます。絶対に優勝してみせる! と言いながら挑んだコンクールでした。結果はその通りとはいきませんでしたが、今できる自分のベストを発揮できた気持ちがあり、自分の中では1位だと思います笑。要するに、それほどやり切ったと思えたので、良い意味で自信になりました。元々は料理をやるか洋菓子をやるかと悩んだぐらいでしたが、2年生進級時に和菓子の先生方からの熱いラブコールもあって、この道と決めました。コンクール出場を決めたのは、先輩方の挑戦を間近で見て、やってみたいと意欲を駆り立てられたから。高校まで14年間柔道に打ち込んできて、もちろんやり続けた強みはあるのですが、気持ちにネガティブな部分があったことが、心のどこかで引っかかっていました。今回の挑戦は、それを払拭できるリベンジのチャンスと捉え、最後までポジティブを徹底できたのが、達成感にもつながったのかなと思います。
実家が和菓子屋なので、30歳までには継ぐのを目標としています。名を背負う重みに正面から向き合い、必ずその年齢までに必要な知識や技術を身につけなければならない。辻製菓にいる2年間で、腹がくくれたような気がします。改めてこの度はありがとうございました。
菓銘「春の音」(森下 晴菜さん作)
春のおだやかな暖かい日差しに誘われるように芽吹く草花や、活動をはじめる動物たち。繊細ながらも力強い春を感じる音を表現するため、千筋を五線譜、いら粉を音符に見立てています。
森下さんコメント
この度は名誉ある賞を頂戴し大変光栄です、ありがとうございます。辻製菓に入学したからには、コンクールに必ず挑戦したいと思っていました。業界の方に評価していただき、自分の現在地がわかる腕試しの場は、他にありません。私は興味あることに関しては、黙々淡々と一途に頑張れるタイプだという自覚があります。心惹かれて、楽しいなと思えることを大事にしてやっていきたい。今回のコンクールも、自分でやろうと決めたことなので、最後までこだわって挑みました。それと同時に強く思っていたのは、先生や友達、応援してくれた人たちの気持ちに、結果で報いたいということ。任せてもらったからにはやり遂げなくては、と責任感もありました。とはいえ、当初は作品がなかなかまとまらず、一度泣きたくなるほど追い詰められたことも。決勝の最中でも悩む部分があったのですが、今振り返ってみると、できる限りの最善は尽くせたと思います。もちろん本当は、最高の結果を持って帰りたかったです。
将来は、和菓子職人として国家試験にも挑戦したいですし、もっと言えば、自分の選択肢を広げるための成長をしたい。人間なので、やりたいことはいつか変わるかもしれません。そんな出会いがあった時に、自信をもって楽しく踏み出せるような準備をしていきたいと思っています。
酒井さん、柴野さん、森下さん、おめでとうございます!