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中国料理TOPへ好吃(ハオチー)!中国料理! コラム一覧へ
連載コラム 好吃(ハオチー)!中国料理!
北京料理、上海料理、四川料理、広東料理、点心と5つのジャンルを、それぞれ担当の厨師(料理人)、点心師(点心専門家)が、中国での体験を交えながら料理の作り方とそれにまつわる話を紹介します。まずは、基本的な料理から始めましょう。
地鶏の紹興酒鍋


地鶏の紹興酒鍋

   
 今から20年ほど前、私が辻調の学生だった頃、中国野菜は今のようにスーパーで手軽に買えませんでした。買えるものといえば、青梗菜ぐらいでした。まるで中国野菜の代表選手みたいに扱われていたのを憶えています。そんな時代でしたので、講習や外来講師の授業で見た事もない野菜が出てくると、中国料理オタクだった国安青年はワクワクしていたものでした。
  スタッフとして学校で働くようになり、更に色々な食材に触れる機会が出来ましたが、フカヒレやアワビなんかよりも中国野菜を味わうのが楽しみでした 。

  外来講師のおひとり、木村政敏先生は、当時としては珍しい食材をふんだんに使い、分かりやすく楽しい授業をされていました。先生は千葉県柏の「知味斎」の総料理長で、お店の近くに畑を有していて、店のスタッフは調理の仕事はもちろんの事、菜園で色々な中国野菜を栽培し、収穫したものを早速料理してお客に提供されていたようで、当時すごく羨ましく感じていました。日本で中国野菜ブームが起こり、栽培農家が増えたのは、木村政敏先生のお力も大きいと思います。
 「知味斎」には東京に食べ歩きに行く度にお伺いして、野菜や料理について先生のお話を聞いていました。確かあれは15〜16年前、3度目にお訪ねしたある夏の暑い日だったと記憶しています。中国野菜の話になり、ふいに先生から「畑見に行く?」とお誘いいただき、念願だった菜園を見学させていただく事になりました。
 車で5分くらいの場所にあるというお話でしたので、店を出て歩き始めたところ、「コレで行こうヨ!暑いしさあ」。振り返るとお店の駐車場に停めてある小型車の横で、先生が笑顔で立っておいででした。その時一緒だった学校の後輩2人と私、そして木村先生が乗り込みましたが、店のスタッフと何やらコソコソと話を始め、なかなか発車しません。何を話しているのか聞き耳を立てていると「ブレーキがこっちで、アクセルがこっち…」とか、「スタートは…、バックは…」などと聞いている様子…。おいおい大丈夫なのか(汗)。そのうち説明を聞き終えたのか「まあ大丈夫だろ、うん」と先生。こっちは夏の暑さもどこへやら、クーラーもかけていませんでしたが、背中が少し寒くなりました。

 しかし、走り始めると距離的に近いし、通いなれた道という事もあったんでしょうが、何より先生が白衣や帽子、前掛けもそのままで車の運転をしている様子がすごくおかしく、危なげな運転もさほど気にならず、なんとか畑に到着しました。  
  そこは私にとっては、まさにパラダイスでした。摘み取られた物ではなく、夏の日差しを一杯に受け、実際に枝になっているササゲや、力強く大地から伸びている空心菜、生のトウガラシ、なんと専門書の写真でしか見た事がない栽培中の黄ニラもあり、驚きと感動の連続でした。また、ひとつひとつの野菜について色々な話をしていただきました。もちろん、そのままの格好で… 。
畑に謎の箱 開けると黄ニラが沢山 「これ、後で食べてみる?」
 例えば、空心菜は土から最初の葉が出ている所まで20cmに生長したあたりが収穫時期であるとか、ササゲは60cmくらい伸びたら収穫時期である事。中国では、黄ニラは直径10cmぐらいの土管を被せて日光を遮断して育てるが、効率を考えると木箱を被せて育てる方が良いとか。 葉ニンニクに使うニンニクは夏に台湾から輸入して株をばらし、冷蔵庫で秋まで保存してから土に植え、10月ごろに伸びた葉を収穫するとか。トウガラシは天に向かってなるなど多くの事を学び、益々中国野菜好きに拍車がかかったことは言うまでもありません。空心菜炒め
 先生の絶妙な(?)運転で店に戻り、畑で収穫した野菜を使って色々な料理を作っていただきました。四川泡菜(四川風漬物)・清炒空心菜(空心菜の塩味炒め)・酸辣海参(泡菜入りナマコの酸辣煮込み)・韮黄肉絲(黄ニラと豚肉の細切り炒め)・酸辣茄子(泡菜入りナスの酸辣炒め)などなど。お昼に食事してから間がなく、空腹ではなかったにも関わらず、自分達で収穫したという事もあったんでしょうか、出された料理はすんなりと胃袋におさまってしまいました。
 
 炒め物・煮込み、種類によっては生のままなど、中国野菜の調理法は沢山ありますが、なかでも今回紹介させていただく鍋料理に入れて食す野菜の美味しい事といったら、目からウロコ状態です。
  以前コラムでもふれましたが、「酔鶏鍋」という香港では冬場によく食べられる鍋料理は、そのあまりの美味しさに終電を忘れてしまうほどです。沢山の紹興酒を使っていますので、体の芯からポカポカになります。ぶつ切りにした鶏肉を食べ終えたら、サイドオーダーでヒユナとか芥蘭やタケノコハクサイなど野菜類を注文しますが、なかでも唐生菜(中国レタス)を我を忘れて食べていた事を今でも思い出します。
  随分と寒くなってきましたが、野菜たっぷり、お酒たっぷりの、この鶏鍋を是非お試し下さい。漢方薬も入っているので、身体が温まり、元気が出ること請け合いです。
 

このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ 地鶏の紹興酒鍋

肩こりの食神
人物 国安 英二
中文之星
人物 福冨 奈津子
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