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辻調の日本料理の先生たちにも、調理師一年生の時代がありました。どんなに教え上手の先生も、一年生の時には分からないことだらけで、失敗もたくさんしたのです。そんな時代を振り返り、「日本料理一年生」のみなさんに、できるだけ分かりやすく、本物の日本料理について解説してみようと思い立ちました。「こんなにおいしいものが自分で作れるのか!」という新しい発見と喜びがきっとあるはずです。
もうすぐ夏休みです。この機会に、暑い中がんばってお仕事に励んでいるお父さん(私自身のことかもしれません……)のため、ビールのお供を作ってあげてはいかがでしょう?今回ご紹介するのは「烏賊リング揚げ」の和風バージョンで、夏バテ解消にも役立ちます。もちろん、年齢を問わず、誰にでもおいしく食べていただける一品です。
揚げ物は衣をつけるかつけないか、また衣の種類によって「素揚げ」、「衣揚げ」、「から揚げ」、「変わり揚げ」の大きく四つに分かれるというのは
8時間目
でお話しました。今回は衣に種々の材料を用いる揚げ物シリーズの第3弾「変わり揚げ」です。
みなさんが、一番よく目にするエビフライやアジフライも、日本料理としては「変わり揚げ」のひとつで、衣にパン粉を使った「変わり揚げ」と考えてもよいでしょう。このパン粉の代わりに細かく砕いた「おかき」を使ったものが、「おかき揚げ」といえます。
さて、烏賊は大きく二つの仲間に分けられます。今回使ったするめ烏賊ややり烏賊のように胴の部分が筒状になった「筒烏賊」の仲間と、もんごう烏賊やはり烏賊のように胴の内側に石灰質の甲(船ともいう)を持つ「甲烏賊」の仲間です。
「筒烏賊」は、見た目にスマートな烏賊で、常に泳いでいるため、しっかりした歯ごたえのある肉質をしています。「甲烏賊」は、「甲」が浮き袋の働きをして海中を漂うので、常に泳いでいる「筒烏賊」に比べて肉質はやわらかいのです。これらは使う料理や好みで使い分けるとよいでしょう。
身と皮の繊維の方向
さらに、「烏賊」の胴の部分は、表面の皮の部分と肉の部分の繊維の方向が異なります。皮の部分は、縁側から下足の方向に繊維が流れています。身の部分は、皮とは垂直に繊維が流れています。「干したするめ」を焼き、「裂き烏賊」を作ることを想像してください。烏賊のお造りを作る場合、皮はむいてしまうので、身の繊維を長く残せば歯ごたえが出て、身の繊維を短く切ればやわらかくできるということです。
最後に「変わり衣」といわれるものは、おかき、カシューナッツのほかに、干し湯葉、道明寺粉、クラッカー、コーンフレーク、短く切った春雨、素麺などの乾物類だけでなく、芥子(けし)の実、ごま、くるみ、アーモンド、松の実、刻んだ青紫蘇、芽紫蘇、木の芽なども用います。いずれも焦げやすいので、色や歯ごたえをそこなわないよう、やや低めの温度で揚げるように心がけましょう。
このコラムのレシピ
コラム担当
イカリングのおかき揚げ
タイ語の話せる日本料理のおとうちゃん
小谷 良孝
辻調の御言持(みことも)ち
重松 麻希
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