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はじめまして。ぼく鯛の鯛です。鯛の胸びれの付け根あたりにある骨です。よろしく〜。突然ですが、みなさんは自分の生まれ育った国についてどのくらい知っていますか?小学生でも英語を勉強する時代、外国人と接する機会はどんどん増えます。おいしい食べ物は万国共通!簡単な料理を紹介するだけで、言葉の壁を越え、相手との距離がぐんと縮まるきっかけになるかも!ここでは、日本料理のあんなこと、こんなこと、辻調の先生たちにオモシロイ情報を語ってもらいましょう。
かつて在タイ日本大使公邸に着任して早々、頭を悩ませたのは主食の「ご飯」でした。当時タイは、世界一の米の生産国で米の輸入は禁止されており、日本大使公邸といえども日本から米を持ってくることは許されず、タイ米を使っていました。
左がジャポニカ米、右がインディカ米です。
タイ米はインディカ米といい、1粒1粒が細長い長粒種で、世界で栽培される米の80%にあたるといわれます。粘りが少ないため、タイ料理で代表的なトロミのない「グリーン・カレー」や、タイ風焼き飯の「カオ・パッド」には大変よく合います。また、日本米はジャポニカ米といって、1粒1粒がズングリムックリのメタボな形の短粒種です。世界で栽培される米の15%程度です。右の写真を見てください。
本校の西洋料理の先生に尋ねると、スペインの「パエリア」、イタリアの「リゾット」などにもこのジャポニカ米が合うようです。
大使公邸着任の翌日、タイ人のアシスタントにタイ米を炊いてもらいました。タイの方には失礼なのですが、ご飯が噴き上がるとキッチン中に独特の香りが立ち込め、炊き上がりも同様の香りが鼻についてあまり食欲が出ませんでした。大使公邸では、タイ米の中でも高級品である「カオ・ホーン・マリー」という米を使っているとのこと。これは直訳すると「スミレ米」とか「バイオレット・ライス」となり、香りの強い米なのです。
日本料理には使いにくいと思うと大使夫人に相談すると、3名の料理上手とされる館員夫人を紹介され、炊飯方法を教えて頂きました。まとめると次のようになります。
タイ米の独特の香りをタイ人は好むが、日本人はなじめない。米は丁寧に研ぐ。
日本米のような粘りを出すため、炊飯時にもち米や葛粉を加えるとよい。
その後、何度も炊飯し、お客様に出しても恥ずかしくないご飯が炊けるようになったのは、着任後約1ヶ月も経っていました。その方法をここでご紹介します。
3カップの米を炊く場合、タイ米2.5カップに、タイ産のもち米0.5カップを用意し、
普通に研ぎます
。ざるに移して水分をきり、すぐに釜に移し、2.5カップの水を加えてすぐにスイッチを入れます。こうすると、炊き上がりの直後は適度な粘りがあり、日本の米と変わらぬくらい艶のあるご飯になります。特有の香りも気になりません。ただ、炊飯器で保温しておくと、1時間もすれば独特の香りが出てきてしまいます。
在バングラデシュ日本大使公邸でお出しした
秋刀魚のつけ焼きです。
バングラデシュの松葉は三つ又なんです。
大使公邸で、橋本龍太郎元首相の設宴が行われたとき、後でダイニングルームに呼ばれ、ご挨拶をしました。橋本元首相から「日本の米と思い込んでいましたが、タイ米だったのですね。大変おいしくいただきました。」と言われたときは、1ヶ月の苦労も飛んでしまいました。
それから5年後、タイ人公邸料理人育成教室の料理指導担当者として再びバンコクに着任したとき、日本の食材が多いスーパーには、日本米と称するジャポニカ米がありました。在タイが長い友人に尋ねると、バブル景気の頃、バンコクに進出した日本企業のおかげで日本人が増え、日本米を希望する声が高まった頃、たまたま日本から輸入した中古の脱穀機の中に数粒の日本米が残っており、この米のモミを栽培し、スーパーで販売できるぐらいまで増やしていったとか。でも、当時はまだまだ生産量は少なく、タイ米の5倍もの値段の日本米は、現地の日本人にしか受け入れられないようでした。
さて、今回は、「秋刀魚ごはん」です。以前に紹介した「
鯛ごはん
」の応用と考えてください。
秋刀魚は背の青い魚なので、くせを取るため、土生姜や青紫蘇を使い、さらにさっぱりと仕上げるため、たっぷりの大根おろしを混ぜ、すだちの絞り汁を加えました。
タイをはじめ東南アジアでは秋刀魚は獲れませんが、日本から冷凍物がたくさん輸入されます。バングラデシュの日本大使公邸に指導に出かけたとき、魚が全く手に入らなかったので、たまたまあった冷凍の秋刀魚をつけ焼きにしてお出しし、好評を得たことがあります。本来、秋刀魚のような大衆魚は大使公邸の設宴にはお出ししませんが、はじめて召し上がった秋刀魚が新鮮だったのでしょう。
このコラムのレシピ
コラム担当
秋刀魚ご飯
タイ語の話せる日本料理のおとうちゃん
小谷 良孝
辻調の御言持(みことも)ち
重松 麻希
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