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連載コラム カフェ・マニアックス
ようこそ。ここは、コーヒー・フリーク専用のカフェです。
カフェ飯とか、お菓子とか、ワインとかで癒されたい方は、ほかのコーナーへ、どうぞ。
抽出・焙煎のノウハウ、栽培、産地、科学、歴史、伝説、耳寄りな話、ちょっとおいしい話、うわさ話、こわい話etc.……、コーヒーのフルアイテムをとり揃えてマニアックに語ります。コーヒー好きの方なら、プロ・アマ問わず満足していただけると……。
ネル・ドリップ
究極のコーヒー抽出法!?
 ネル・ドリップの特徴は、口当たりの滑らかさと味わいの柔らかさ、つまりひと言でいえば「マッタリした」コーヒーになること。さらに、いくつかの味の要素が上手く融合して、何となく味をまとめやすい、そんな感じもします。逆にキレのある味や活力のあるコーヒーにはなり難く、豆の個性にも少しヴェールがかかる、あるいは化粧を施したようになる傾向があります。
 ネル・ドリップは口当たり、味の柔らかさゆえ、濃厚なコーヒーとして提供するケースが多いのですが、よほど透明感のあるコーヒーでないと、飲みなれない人には鈍重で飲みにくいコーヒーと感じられるかもしれません。しかし、生豆の質、焙煎、コーヒーの鮮度、抽出の条件がうまく整った時には、比類のないコーヒーになります。「マッタリ」派にとっては、やっぱり「究極」?

ネル・ドリップは面倒か?
 はっきり言って、かなり面倒です。器具の選択に始まって、ネルの保持、注湯の技術、抽出時間など、それぞれは少し面倒、くらいなのですが、それらが積み重なって、たかだかコーヒーのために何でこんな面倒なことを・・・、と思うくらいには面倒です。営業でネル・ドリップを採用する場合には、1人前の抽出が難しい、抽出に時間がかかり、かつ他の作業が一切出来ないので、そうとう非効率です。にもかかわらず、ネル・ドリップを続ける人が多いのは、面倒にまさるコーヒーが得られるからなのでしょうが・・・。

器具の選び方
 ネル・ドリップに必要な道具は、ドリッパー,ポットと抽出液をうけるサーヴァーくらいのものです。ただ、簡単な道具立てにもかかわらず(簡単だからこそ)、抽出法とそれに付随する抽出理論は十人十色、道具に対する考え方も十色です。従って、道具のタイプも変化に富んでいます(特にネル・ドリッパー)。以下の器具の選択基準も、あくまで今回紹介する抽出法に添ったもので、抽出に対する考え方が違えば、異なる器具を選ぶ可能性は高いはず。

(1) ネル・ドリッパー
手持ちタイプやぐらタイプ:やぐらタイプは円錐台の金属フレームにネルをかけるもので、10人前以上の多人数取りで使うケースが多く、少人数の場合は柄つきの手持ちタイプのものが一般的。
ネル・ドリッパーの形状:ドリッパーの形はさまざまだ、横から見てカーブが浅い・深いの2タイプに大別できる。ここで紹介する抽出法の場合、途中からはあまり長く湯をホールドしてほしくない(過剰抽出になる)ので、浅めのものが適している。抽出液が中央部にまとまって一筋になって流れ落ちるものを選ぶべき。

ネルドリッパー

右:起毛が外側、左:起毛が内側ネルの表裏:ネルの洗浄、目詰まりのことを考慮すると、ネルの起毛のある方向が外側になっているものの方が扱い易い。
ネルの材質:少し厚めで、毛の長いもの。


やや細めに注げるタイプが使いやすい。点滴抽出もできるように注ぎ口を叩いてすぼめる。(2) ポット
点滴状に注湯ができるもの。市販品で適当なポットがないので、注湯口を叩いてすぼめたものを使っています。


(3) サーヴァー
ドリッパーの位置を動かすので、抽出液を受ける器具は口が広いものが便利。小さめの雪平を選んでいます。


注湯の方法 点滴抽出のコツ
 ここで紹介する抽出方法は、はじめはじっくりと粉に水分を含ませて、落ち始めたら、あとは手早く落とすという考え方に基づいたもの。ネル・ドリップを採用している店で、最も広く採用されている抽出方法です。
 初めは湯が糸状に繋がらない程度の点滴を続け、粉全体に湯がしみ渡って抽出液が落ち始めたら、湯が繋がるくらいまで注湯量を増やし、粉の様子を見て、さら注湯のリズムを早めていきます。リズムを変えるだけで、ずっと連続して注湯を行います。落ち始めたら、注湯量=落下量になるようなにするのがコツ。
 注湯量の調整は精密の作業になりますから、ポットを固定し、ドリッパーを動かして、湯を落とす位置を移動する、こうした方がやり易いと思います。ドリッパーを固定する方法をとっている場合は、ペーパー・ドリップと同じように何回かに分けて注湯するケースが多いようです。

湯温、粉の挽き方、ネルの保存etc
 湯温は焙煎したての新鮮なコーヒーなら、82℃前後まで下げたほうよいようです。抽出時間は長め(全工程で5分くらい)なので、粉は粗挽、粉は多め(1人分12〜15g−120ml)に使います。ドリッパーの大きさにもよりますが、コーヒー粉の量が少ないと抽出が難しく、最低20gくらいは使う必要があります。
 ネルは乾燥させると脂肪分が固化して目詰まりをおこしますから、短期保存の場合は多少水気を含ませて冷蔵庫で保管します。長期間使わないなら目詰まり覚悟で乾燥させ、再び使う時に熱湯で煮沸し、脂肪分を落とします。

まとめ
 よくネル・ドリップは難しいといわれますが、注湯の方法自体は適正な器具を手に入れ、少し練習すれば、比較的短期間でマスターできます。じつは、難しいというよりは、あまりに器具、入れ方の自由がきくため、どんなやり方を選んだらよいかが解らないのでは。ドリッパ−の選択と抽出法には密接な関係があります。自分にあったコーヒーに到達する近道は、おいしいネル・ドリップのコーヒー店を見つけ、同じ器具を手に入れ(ドリッパ−は売ってくれる店が多い)、抽出法を真似することです、無責任な結論ですが・・・。


このコラムのレシピ

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レシピ ネル・ドリップ

コーヒーを愛し、コーヒーを語る
カフェ・プロパガンディスト
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山内秀文
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