今、私たちが食べているようなふっくらした発酵パンはエジプトで誕生したと言われていますが、最初はいつ頃で、どのようなものだったかは確認できていないようです。発酵パンができる前はオオムギや小麦をつぶして混ぜ、平らにのばして焼いた平らな無発酵パンでした。このようなパンは現在も世界各地で見ることができ、インドやパキスタンなどで食べられているチャパティや、トルコのユフカなどは無発酵パンの仲間です。 |
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この平焼きパンの原料に使われていたオオムギや小麦は殻が固く、当時は火で焙ってから脱穀していたようです。この焙った小麦粉と水を混ぜても粘りのある生地はできないため、この段階では発酵に対応できる生地が作られていなかったことになります。 |
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発酵パンができる条件はまず、発酵に適した小麦があることです。エジプトでは王朝時代が始まる前にはすでに殻が剥がれやすい新種の小麦が誕生していたとされていますので、このあたりから小麦をそのまま脱穀して粉にし、少し粘りのある生地から平焼きパンを作っていたのでしょう。この平焼きパンは、それまでに作られていたものと比べると、冷めても固くならずにおいしく食べることができます。そこから焼き残した生地が膨らんで発酵パンの発見につながっていったと想像できます。ただ、新種の小麦は生産量が少なかったようで、多くは以前の小麦やオオムギで平らなパンを焼いていたとのことです。 |
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エジプトの人たちは、もちろん今でも発酵パンを食べています。エジプト風のパンは穀物そのものの香りが漂う素朴な味わいで、特にオリーブ油と相性がよく、また素材の味をしっかりと受け止めてくれるのでサンドウィッチに最適です。 |
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