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連載コラム ビバ!!ベバレッジ
人間は水を口にしないと数日しか生命を維持できません。何でも体の70%以上が水分だとか・・・・それはさておいても、おいしい料理には、おいしい飲み物をあわせたいものです。もちろん食事中だけではなく、寒い日には一杯のコーヒーで体を温め、夜の静寂にもの思う時はブランデーをチビリチビリ。はたまた友人との愉しい会話を盛り上げる生ビール。夫婦で想い出話をする時のダージリンティー・・・・さまざまな場面で皆さんの傍らに、さりげなく登場するのはどんな『飲みもの』でしょうか。このコラムではそんな『飲みもの』の素顔にスポットを当てていきます。決してミズ臭い話ではありません。 チャんと読んでください。
「チャイ」の気分で休日を!
アイスチャイ

アイスチャイ

    一般的な紅茶は茶葉に沸騰したお湯を注いで抽出して香りや水色、味を楽しみます。これに対して、今回のテーマである「チャイ」は、紅茶の葉とスパイス、ミルクを一緒に煮出したものです。私が初めて「チャイ」と出会ったのは、大阪堂島にある紅茶専門店「ムジカ」でのことでした。夏の暑い時期であったこともあり、この店のご主人である堀江先生はよく冷えたアイスチャイを出して下さいました。紅茶の渋みとミルクの濃厚さ、スパイスの様々な香り。その時、私の脳裏には、人々が密集するインドかどこかの国の雑踏で、簡素な鍋ややかんでつくったチャイを厚手のガラスコップに注いでもらったような光景が広がり、一気に外国へ行った気分になりました。それ以来、何度となくチャイを自分で作り、授業をする度に、いつかは現地でチャイを楽しんでみたいと考えています。

   そもそも「チャイ」は、下の表にあるように各国で「お茶」を意味する言葉です。インド、パキスタン、アフガニスタンからイラン、イラク、さらにアラブ諸国などでは、煮出した紅茶をミルクで薄めるか、ミルクと一緒に煮出したものですが、トルコやロシアなど、国によってはミルクやスパイスは使いません。また、年間の平均気温が高い地域では砂糖を多く入れる傾向にあるようです。暑い時期に冷たい飲み物は口当たりの良いものですが、温かい飲み物は胃腸を整える効果があり、甘さが疲労感を和らげてくれるからでしょう。これも国によっては砂糖を入れず、ストレートで味わう場合もあります。
   チャイのような煮出し紅茶には、オレンジペコなどの高品質の葉を用いることはほとんどありません。ダージリンを産出するインドのような銘茶の産地では、商品になる品質(大きさ)の茶葉を選別する際に細かい茶葉が残りますから、これが現地でチャイに使われているのではないかと思います。
   チャイは、熱湯で抽出した紅茶にミルクを加える一般的なミルクティーと違い、茶葉、スパイス、ミルクを一緒に煮ることによって、味のまとまりや旨みが強く出ているように思います。そこが、香りを楽しむ従来の紅茶とは違った魅力です。

日本茶で使う茶托(大ぶりのもの)に茶色い布製のコースターを敷き、厚手のガラスコップに熱いチャイを注ぎます。木製のスプーンで温かみを出しました。

日本茶で使う茶托(大ぶりのもの)に茶色い布製のコースターを敷き、厚手の
ガラスコップに熱いチャイを注ぎます。
木製のスプーンで温かみを出しました。

    日本でチャイを楽しむ場所としては、インド料理店や紅茶専門店があります。しかし、作り方をご覧いただければわかるように、家庭でも簡単につくることができます。チャイの材料はシンプルですが、砂糖の種類(原料や精製度の違い)によって風味や甘味が違いますし、スパイスを変えることで香りの変化を楽しむことができます。また、使用する食器によって違った雰囲気を味わうこともできます。チャイに使用する食器は、陶器やガラス器のどちらであっても、繊細でスマートなイメージのものより、素朴で風合いのある器が合う気がします。例えば「ティーハウス・ムジカ」では金属性のカップでアイスチャイを提供されています。何よりお茶をいれるという行為は、気持ちをリラックスさせてくれるものです。普段見慣れている家の風景も、チャイを楽しむことで、時間の流れをゆっくりと感じることができると思います。

各国の「茶」を表す言葉

チャ (チャイ)系統
広東語圏 − チャー
朝鮮、日本 − チャ
モンゴル − チャイ
ネパール、北インド − チャイ(チャー)
パキスタン、イラン、トルコ、ギリシャ − チャイ
ロシア、ポーランド、ルーマニア − チャイ
ポルトガル − チャ

ティー(テ)系統
福建語圏 − テ
マレー テー
英語圏 − ティー
ドイツ、フランス、スペイン、イタリア − テ
北欧 − テー



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レシピ チャイ

マエストロ
人物 寺尾雅典
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