アル・デンテという言葉を近頃よく耳にしませんか。イタリア語でパスタやリゾットのちょうどよい火通しを表します。でも、まだまだ未熟な私にはその実体がよくわかりません・・・
そこで! その究極のアル・デンテを探すべく、本校イタリア料理主任教授・永作達宗先生と、辻調の卒業生でもある東京・銀座「エノテカ・ピンキオーリ」の辻智一総料理長にお話を伺い、私自身が「アル・デンテ」となって、皆様にその究極のアル・デンテ料理をご紹介していきます。まずはその第1回目。 |
|
|
|
アル・デンテ(以下A): 永作先生、アル・デンテといっても、乾燥パスタだけじゃなく手打ちパスタやリゾットにも、色々なアル・デンテがありますよね。 |
|
永作(以下N): 色々あるデンテ。 |
|
A : いや・・・ははは。その色々ある中で先生が思うアル・デンテってどんなものですか。 |
|
N : アル・デンテいうたらパスタの火通しの調理用語でよく使う言葉やな。デンテが歯のことやから、「歯ごたえがある」ってことや。パスタでは芯が少し残っててシコッとしたゆで加減てことで理解してるけど。
A : それはどこで判断するのでしょうか。 |
|
N : パスタの中心部を見てもわからんから、僕の場合は噛んで確かめることの方が多いよ。 |
|
A : 噛んでですか。 |
|
N : そう。で、生徒にもよく言うことやねんけど、前歯で噛んでもよくわからん。奥歯で噛むことでゆで加減もわかるし、パスタの味も塩加減もわかる。 |
|
A : なるほど。 |
|
N : 噛んでみて歯にペタペタくっつく場合はちょっとゆで足らずかな。だからシコッとした歯ごたえがあって、歯にくっつかないのがちょうどいいアル・デンテやと。そんな感じでいつも決めてるんやけど・・・
A : 「これがアル・デンテだ!」と言い表せるわけではないんですね。
|
|
N : 「針の先くらいの芯が残ってる状態」とか、経験積んでいくと指で押さえた時の状態で判断できるとか言うけど、やっぱり食べてみるのが一番!これは後々だんだんわかってきたことやけどな。しかも奥歯でしっかりと噛みしめる。ほんと、ゆで方が若かったら奥歯につまるから、後で爪楊枝で取らんとあかんよ。 |
|
A : ふふふっ。くっつくんですね。 |
|
N : ちょうどいい場合は、歯ごたえはあるんやけどくっつかん。うまいことはずれるっていうか、とけていくような感じですね。 |
|
A : 難しいです・・・ |
|
N : まあ深く考えるより、実際にゆでてみた方がええんちゃう。そうそう、市販のパスタの場合は袋にゆで時間が書いてあるけど、それよりも少し早めにかたさ確認することも大事だよ。その方がアル・デンテのタイミングを逃さへんし、ま、何事も早め早めが肝心です。 |
|
A : なるほど!では、初めて作るとしたらどんなパスタ料理がいいですか。 |
|
N : 一番簡単なん?うーん、何かな・・・缶詰のトマトでトマト・ソース作って和えるんが簡単かな。
A : じゃあ、逆に難しいパスタというと。
N : 一番難しいのは何といっても「アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」やな。アーリオ(にんにく)、オーリオ(油)、ペペロンチーノ(赤とうがらし)だけで作れて簡単そうやけどこれが難しい! |
|
A : どうしてですか。 |
|
N : 味の決め手が、パスタのゆで加減と塩加減、それとにんにくの炒め加減くらいしかないから、そのうちのひとつでも失敗したらもうアカン。これがおいしく作れたら、他のパスタ料理もうまいこと作れるわ。 |
|
A : では今日はさっそくこの「アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ(にんにくと赤とうがらしのスパゲッティ)」を作ることにします。
N : 難しいで!でもまあ、パスタのゆで加減や塩加減がポイントになってくるし、パスタのゆで方の練習にはなるな。
A : おいしく作れるように頑張りますね! |
|