辻調おいしいネット / 半歩プロの西洋料理

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	｢半歩プロ｣をテーマに家庭でできる西洋料理を紹介するこのコラム。まずは個性豊かな担当シェフの声をどうぞ。｢フレンチって難しくないよね｣｢語るで～！｣｢対談がしたい！｣｢研修先のレストランではなー｣。えー、お話し中すみません、それは｢家庭でできる｣料理なんですよね？みなさーん、聞いてますかー？だからテーマがあるんだってばっ！守って下さいよ～っ！

なすけいき（以下N）：おい、榊！そろそろだな！

さかき　まさあき（以下S）：はい！おいしいネットの季節です・・・でも、マジで船に乗るんですか！？

N：おお！そろそろネタにも困ってるだろ！

S：確かに・・・あ！そういえばいつもの漁港で漁船に乗って漁を体験できるとかあったと思うのですが・・・

N：いいね～！それで行こう！じゃ、タイトルは『料理人と海』だ！！メンバー集めとけ！今週末、いつもの海辺の公園だ！

S：オ、オス！・・・こ、今週末・・・（ﾟДﾟ）・・・

12月某日
N：今日もいい天気だなぁ！

いとう　ゆうだい（以下 I ）：はい、いい天気ですね！

まるやま　たけし（以下 M ）：先生、ところで今日の獲物はどこで・・・？

N：今日はヘミングウェイの『老人と海』の気分で、網をこうグイッと手繰り寄せて・・！

S：・・・あの・・・先生・・・じつは・・・調べたんですが・・・・それは・・・11月で・・・終了・・・しゅうりょうした・・・やってない・・・

N：・・・・ナニ・・・・

M：先生、老漁師サンチャゴも獲ったカジキをサメに食べられちゃったんですから、諦めましょう・・

N：・・・ま、いいか！じゃあ、漁港に買出しだ！

S：あの、撮影で使うスープ用の魚をお願いします！炭をおこしてまってま～す・・・


近海の新鮮な魚介類		この後、3匹で 300円になりました		かさごをゲットしてご満悦ななすけいき

30分後
N：買ってきたぞ！

I：では早速スープを作ります！

S：・・・あれ？・・・たしかさばとほうぼう、小鯛なんかをつかって｢コトリヤード｣を作るはずで・・・家からじゃがいもとねぎを持って来てますし・・・

N：うん？プロヴァンス地方の名物料理｢ブイヤベース｣じゃなかったっけ？｢コトリヤード｣っていわばブルターニュ地方のブイヤベースってヤツだろう？！

M：容貌怪異ながら味覚抜群の魚たちが、ひとつ鍋の中でそれぞれの味が勝ったり負けたり、圧倒したり同化したり、微妙きわまりない味を作りあげる・・・たしかそんな話を伺ったような・・・

I：文学青年みたいですね、丸山先生・・・


バーベキュー軍団の知性派、丸山先生		左：永作先生、右：伊藤先生親子のような・・・・

N：これといった香辛料も特に使わない、素材そのものを味わう・・・うん、まさに我々のバーベキュー哲学にフィットした料理だな！

M：でも、なんでバーベキューに魚のスープなんですか・・・？

S：コホン！それはコトリヤードcotriade の語源はコトレcotret、つまり薪に由来しているからなんだよ！エッヘン！！

N：もうサフランとフヌイユが用意できてるし・・・ま、今回はブイヤベースでいいだろ！文句あるか？！

S：M：I：ぜ、全然ありませ～ん！！！

N：よろしい！じゃあ、さっきのセイゴでも切ろうか！

I：はい、先生、僕が切ります！

N：バカ！伊藤が切るなんざ、10年早いわ！

I：ケチ・・・

N：ナニ？！

I：な、なんでもありませ～ん

S：じゃあ、余ったねぎで｢下仁田ねぎのヴィネグレット風味｣を作ります！

N：ナニ？！下ネタねぎ？！新種のねぎか？！

S：いえ・・・しもにた、下仁田ねぎです！し・も・に・た！！

N：なるほど、炭火で真っ黒に焼くわけか！よし！作れ！

I：先生、スープが出来ました！

N：おお・・この芳醇な香り・・・まさしく海からの贈り物だな！

S：鍋ひとつあれば出来ますから、バーベキューのバリエーションが広がりますね！

M：（一口食べて）・・・！無造作に鍋で出会った野菜、魚、香辛料の味覚が昇華した、まさに珠玉の一品ですね！冷えた体だけでなく心も暖まりますね！


先生、出来ました		10分後

S：先生、ねぎも出来ました！下仁田ねぎのヴィネグレット風味です！

M：地獄のように熱い炭床で、悪魔のように黒く焼き上げられたねぎの外皮をむけば、中は天使のように純粋に輝くアイボリーが眩しく、ひとたび噛みしめると愛のように甘く・・・

I：せ、先生、長すぎます・・・

N：うむ！まさしく冬の寒さを乗り切るのに持って来いだな・・・・・・・・・・・・・・・・・

S：ヤバイぞ、あの沈黙の後にはきっと・・・

N：よし、決定！！　榊、丸山、伊藤！立春の日にやるぞ！『武器よさらば』じゃなくて『冬よさらば』だ！

S：M：I：・・・まさしく『誰がために肉を焼く』やな・・・

このコラムのレシピ

コラム担当

		コトリヤード
		下仁田ねぎのヴィネグレット風味

		ガトー・オーベルジーヌ
		奈須　敬喜

		中年のエスペランサ
		榊　正明

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