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連載コラム 半歩プロの西洋料理
「半歩プロ」をテーマに家庭でできる西洋料理を紹介するこのコラム。まずは個性豊かな担当シェフの声をどうぞ。「フレンチって難しくないよね」「語るで〜!」「対談がしたい!」「研修先のレストランではなー」。えー、お話し中すみません、それは「家庭でできる」料理なんですよね?みなさーん、聞いてますかー?だからテーマがあるんだってばっ!守って下さいよ〜っ!
カーニバルと揚げ菓子
カトリックの国イタリアでは祝祭日や行事ごとが宗教と深く結びついています。特に年末から年始にかけてのクリスマス関連の行事、そして春先の謝肉祭(カーニバル)から四旬節をはさんで復活祭までの期間は大きなものといえるでしょう。 カーニバル中のサン・マルコ広場
私が料理の修行をしていたヴェネツィアでも様々な行事がありましたが、中でも毎年2〜3月頃に行われるカーニバルはイタリアで最も有名なもののひとつとして多くの人に知られ、サン・マルコ広場を中心に仮面をつけ仮装した人々によって華麗なスペクタクルが繰り広げられます。このカーニバルには他の町や国からもたくさんの見物客が集まり、中には仮装に参加する人もいるくらいです。

カーニバルはイタリア語ではカルネヴァーレcarnevaleといい、カルネ・レヴァーレcarne levareを意味するラテン語の言葉が語源とされています。イタリア語でcarneは肉、levareは取り除くという意味で、つまり「肉よさらば」ということです。キリスト教では主イエスが断食をして40日間の修行を行った故事にちなみ、復活祭前の日曜日を除く40日間(四旬節)、肉を断って精進します。そこで、肉断ちの40日間の前に、大いに肉を食べ酒を飲んで断食前のうさ晴らしをするようになり、民衆の生活のなかに定着していったのです。カーニバル最終日を謝肉の火曜日(マルテディ・グラッソ)といい、断食の始まる四旬節の初日を灰の水曜日(メルコレディ・デッレ・チェーネリ)といいます。このカーニバルですが何月何日と定まっているのではなく、復活祭から逆算して決まります。実はこの復活祭が「春分の日以降の最初の満月の後の日曜日」という移動祝祭日なので、当然、カーニバルの日も毎年変動するというわけです。

このように、キリスト教と関係の深いカーニバルも現在では年に1度のお祭りへと変貌を遂げています。カーニバルはイタリア各地で行われていますが、特にヴェネツィアとヴィアレッジョが有名です。仮装のヴェネツィアに対し、ヴィアレッジョでは山車が町をパレードします。2004年のヴェネツィアのカーニバルは2月7日〜24日までの18日間。冬のヴェネツィアの最大のお祭りですから、サン・マルコ広場の華麗なる劇空間をご覧になりたい方は現地におもむかれてはいかがでしょうか。


さて、お祭りとくればご馳走ですが、イタリア各地にはカーニバルを祝うご馳走がたくさんあります。 この期間に食べるお菓子には揚げ菓子が多く、グラッパやヴィン・サントで香り付けした生地を色々な形にして油で揚げ、仕上げに蜂蜜や粉砂糖をまぶして大皿に盛り付けます。本来はこの揚げ油も動物性のものを使うとか。

このカーニバルの揚げ菓子はその呼び名だけを拾ってみても、ローマのフラッぺ(服のひだ飾り)、トスカーナ地方のチェンチ(布切れ)、ピエモンテ地方のブジエ(うそ)、ロンバルディーア地方のキアッキエーレ(おしゃべり)、マントヴァのラットゥーゲ(レタス、ひだ襟)と土地ごとに多彩です。ちなみにヴェネツィアのあるヴェネト地方ではガラーニ(リボンの薔薇結び)やクロストリと呼び、ヴェネトの隣にあるトレンティーノ地方でもクロストリです。形は違うものもあれば、名前が違うだけで同じ形のものもあります。ガラーニはその名の通り細長いリボン状の生地を結んで、クロストリはひし形に切った生地の中央に切り込みを入れて作ります。イタリアの家庭でも作られている簡単なお菓子ですのでぜひ一度作ってみてください。


謝肉祭(カーニバル)と復活祭
イタリアでは復活祭はクリスマスと並び、キリスト教で最大の行事です。復活祭の前にはキリストの断食にならって祈りを捧げ断食や節食を行う四旬節があります。これら復活祭や四旬節はキリスト教の行事ですが、カーニバルは四旬節の前に大いに肉を食べ、酒を飲んで楽しく騒ごうという世俗的な民衆のお祭りです。


謝肉祭(カルネヴァーレ): カーニバル。肉断ちの四旬節に先立って3日〜7日間行われる飽食と笑いの民衆的祝祭。2004年は2月21〜23日。各地で行われる謝肉祭のお祭りについてはそれ以前から始まることも多い。2004年のヴェネツィアのカーニバルは2月7日から24日まで行われる。

a 謝肉の火曜日(マルテディ・グラッソ): 謝肉祭の最終日。2004年は2月24日。

四旬節(クアレジマ): カーニバルの次の日から復活祭までの主日を除く40日間をさす。復活祭を迎える準備として、キリストの断食に倣って断食を行ったり獣肉を断つ。現在では灰の水曜日と聖金曜日(キリストが十字架にかけられた日で、復活祭の前の金曜日にあたる)や毎週金曜日などに食事を制限することが多い。

b 灰の水曜日(メルコレディ・デッレ・チェーネリ): 四旬節の初日のことで、復活祭の46日前(主日を除く40日前)にあたる。この日には回心を表す旧約以来のしるしとして灰を頭にいただくことに由来して、こう呼ばれる。2004年は2月25日。

復活節(ペリーオド・パスクアーレ): 復活祭(復活の主日)から、聖霊降臨祭(ペンテコステ)(復活の主日から50日目にあたり、聖霊が炎の舌の形になって使徒たちに降りたことを祝う日。五旬祭ともいう)までを復活節という。

c 復活祭(パスクア): キリストが復活した日(復活の主日)を記念した祝祭日。春分以降、最初の満月の後にくる日曜日に行われる。2004年は4月11日。


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ ガラーニ

記念日にはティラミスを作る良きバッボ
人物 可児 慶大
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