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「半歩プロ」をテーマに家庭でできる西洋料理を紹介するこのコラム。まずは個性豊かな担当シェフの声をどうぞ。「フレンチって難しくないよね」「語るで〜!」「対談がしたい!」「研修先のレストランではなー」。えー、お話し中すみません、それは「家庭でできる」料理なんですよね?みなさーん、聞いてますかー?だからテーマがあるんだってばっ!守って下さいよ〜っ!
アップルミント
春です、新緑の季節がやってきました。我が家のハーブたちもスクスク成長しています。なのにどうしてこんなに気持ちが沈んでしまうのでしょうか。美しい花々や香り立つハーブだけでなく、地を這い覆いつくす雑草たちの季節の始まりでもあるからです。都市生活の中では、土や緑へのあこがれを強く感じるものですが、いざ広い地面のある生活を始めてみると、思いのほかそれに費やされる時間の多さに戸惑うのではないでしょうか。見て綺麗、使って役立つ、食べて美味しい、それ以外は不要。ああ、人間とは何てわがままで勝手な生き物なのだろう・・・、とはいうものの、生え放題、伸び放題のままでは、人間性すら疑われかねません。そんな私を今もっとも悩ませている草が「アップルミント」です。
壁際を侵略中
それはハーブでしょ、とつっこまれそうですが、ミント系の旺盛な繁殖力は、その香りを忘れさせるほどのものです。成長こそ鈍るものの、真冬でも緑の葉を保ち続け、梅雨から初夏にかけては日に日に大きく多く(!)なっていくことが実感できます。「根こそぎ」という言葉がありますが、ミントもその例に違わず、地上の葉や茎をいくら摘んだところで、何の効果もありません。人知れずその根を広げ、予想外の所に新たな芽を出す。しかも、ちぎれた根からも増えていくのですから、たまったものではありません。爽やかな香りを運ぶ緑の侵略者との戦いは、始まったばかりです。
さて、ミントが植物だと知ったのは辻調に入ってからだったと以前の
コラム
に書きましたが、フランス語ではmenthe(マント)と言います。この単語は比較的早く覚えたもののひとつで、きっかけはフランス語の授業で習った「万太郎」でした。???フランス語の授業で、なぜ日本人の名前なのか。当時、まったくと言ってよい位なじみのなかったフランス語というものを、少しでも親しみのもてるようにと、先生が考えられたようです。フランスに行ってカフェに入ったら「万太郎」と言ってごらんと。
数年後、パリのシャンゼリゼ通りを歩いていた私は、ふとこのことを思い出し、通りに面したテラス席に座ると、「万太郎、シルヴプレ」と、日本語とカタコトのフランス語でオーダーしました。もちろん、そのころには何が運ばれてくるのかわかっていたのですが、ものは試しです。うやうやしく運ばれてきたグラスを満たしている液体は、どこか懐かしさを感じさせます。子供のころって、なぜあんなにも人工的な緑色に憧れたのだろう。小さいながらにこだわりがあり、横で妹がストローとスプーンを忙しなく持ち替えていても、アイスクリームの載っている方は注文しなかった。濁ってしまうのが嫌だったから。
そう、見た目は「ソーダ」そのもの、但し・・・。「マント・ア・ロー」、実際の発音としてはトとアを同時に言うような感じなので万太郎で無理なく通じるその飲み物は「ミント水」。ミントシロップをただの水で割ったものです。気の抜けたソーダというより、洗口液というのがぴったりの感覚。いやいや、真夏に飲めば、熱さを癒してくれること請け合い?です。今夏、フランスへお出かけの方は、ぜひチャレンジしてみてください。私も次の機会には「炭酸水で割って、アイスクリームを載せて頂戴」と言ってみよう。
ミント水
このコラムのレシピ
コラム担当
グリンピースの冷たいスープ、ミント風味
爽やか万太郎
高岡 和也
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