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「半歩プロ」をテーマに家庭でできる西洋料理を紹介するこのコラム。まずは個性豊かな担当シェフの声をどうぞ。「フレンチって難しくないよね」「語るで〜!」「対談がしたい!」「研修先のレストランではなー」。えー、お話し中すみません、それは「家庭でできる」料理なんですよね?みなさーん、聞いてますかー?だからテーマがあるんだってばっ!守って下さいよ〜っ!
フランス料理でスープと言えば、まず初めにどんな料理を連想されるでしょうか?琥珀色に澄んだコンソメ、老若男女に喜ばれるクレーム・ド・マイス(コーンポタージュ)、野菜がたくさん入ったポタージュ・キュルティヴァトゥール(農夫風ポタージュ)など色々あると思いますが、ここでは、魚の旨みがしっかり溶け込んだスープ・ド・ポワソンについてお話をしてゆきます。
南仏のスープに使われる魚介類
魚を使ったスープ、と言えば南仏プロヴァンス地方のブイヤベースの方がよく知られているかと思います。この料理は本来、市場などで売り物にならないような小魚で作る漁師料理だったのですが、レストランではイセエビなどを使い、豪華な一品として仕上げます。食べ方としてはまずはスープを味わい、次に同じスープで火通ししておいた魚介を食べる。これだけでもうお腹が一杯になります!(このコラムのレシピではこのスタイルもアレンジして紹介しています)
私がこの料理に初めて出会ったのは、エコール辻東京の学生時代、フランス料理講習の授業を受けた時でした。試食ではありましたが、その味わい豊かで深い美味しさに感激し、こんな料理を作りたくて釣りが趣味になるほどでした。
その後リヨンのフランス校に進学し、バカンスを利用してブイヤベースを食べにマルセイユへ向かいました。長い電車の旅をへてようやく着いたとき、まず私の眼前に飛び込んできたのはプロヴァンスの眩しい太陽の日差し、海の香りと人の賑わう活気に満ちた情景でした。海岸近くには鮮度のいい魚を売っているお店が並んでいるのですが、フランスでは日本とは売り方が少し違い、売り場一帯に氷がいっぱい積まれ、その上に沢山の種類の魚が並べられているのです。もしマルセイユを訪れる事があったら、市場を眺めながらブラブラ散歩するとおもしろい物が発見できますよ。海岸からの地中海の景色は、忘れられなく、またフランスに行きたくなります・・・。
少し余談になりますが、フランス校在学中に、自分で釣った魚で料理を作ってみたいと思っていました。しかしながら、フランスでは、釣りをするには許可証が必要だったのです。。。(悲)
それとフランスではマルセイユ発祥であるブイヤベースの伝統の味を守るため、「マルセイユのブイヤベース憲章」を定めて、スープに入れる魚の種類や火にかける時間などを決めており、自分達の愛する郷土の味を受け継いでいく心意気は、マルセイユっ子ぽいと感じられます。
南仏の市場で見られる野菜たち
プロヴァンスといえば
やっぱりにんにく!!!
ブイヤベースのことばかりになりましたので、話を魚介のスープに戻します(笑)。
一番思い出深いのは、フランスのレストラン研修中の出会いです。実は、フランス一般家庭の普段の食事には・・・・日本人が想像するイメージとギャップがあるかも知れませんが・・・・パスタや豆がよく登場します。研修先のレストランの賄いでも、パスタと肉(内陸地だった事もあり)ばっかり食べていたので、私は「あー!たまには、魚、食べたいなぁ〜・・・」とよくぼやいていました。それが聞こえたのか、スー・シェフ(副料理長)が料理に使った魚のあらを集めて作ってくれたのが「魚のスープ」だったのです。驚きとスー・シェフの人の良さとスープの味にほろっと涙しちゃったりしました・・・(笑)。
今回、このコラムを担当するにあたって、先輩である斎藤先生のご自宅にお邪魔し、試作をしました。料理を作りながら、私の研修時代の思い出話で大いに盛り上がりました。休日は車に乗せてもらって町に出たり、ケバブを片手に寒い中サッカーして過ごしたり、憧れだったフランスにボクはいるんだ!っと噛みしめた珠玉の日々を魚・・・いや肴に、スープの美味しさも相まってワインが2本空いてしまうほどでした。
皆さんもぜひこの料理に挑戦してみてください。あまった魚を使ってもよし、小魚を安く買ってきて作ってもよし、煮魚、焼き魚用の大ぶりの魚を使ってもよし・・・。きっとキッチンに南仏の香りが漂い、港町の風情が眼前に広がることでしょう!
最後に、今回の料理製作を全面的に手伝っていただいた斎藤久則先生と奥様に御礼申し上げます。
このコラムのレシピ
コラム担当
魚介のスープ
エコール辻大阪のティンカーベル
大西 泰典
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