万希子(以下M): 今回はチーズケーキっていうことやけど、どういうタイプのチーズケーキなん? |
|
亨子(以下K): いろんなチーズを使って、いろんな種類のチーズケーキが作れるけど、今回はゴーダチーズを使って、メレンゲの入るスフレタイプのものにしてみた。 |
|
M: ベイクドタイプのふわふわのヤツや。 |
|
直子(以下N): いろんなチーズケーキの中でも、食べやすくて万人受けするよね。 |
|
M: チーズケーキって、ほんまに色々あるよなぁ。 ベイクドタイプでも、タルトみたいに作る濃厚なものもあるし、焼かずに作るレアタイプのものもある。その中でも、今回のが一番受けがいいんかなぁ? |
|
K: 一時、スフレタイプのベイクドチーズケーキで、すごく流行った店があったし、人気はあると思うよ。 |
|
M: 私の友達に、今回のスフレタイプのチーズケーキを嫌う子が居て、その子曰く「チーズ風味のスポンジやん。」って。 |
|
N: 確かに、チーズの味があんまりしないし、ふわふわし過ぎてるから私もあんまり好きじゃない。 |
|
K: そうなんよ。どうしてもチーズの味が出ないので、今回はしっかり味が出るように、ゴーダチーズを使ってみたんよ。だから少しは味が濃く出来てる。 |
|
M: 日本ではこのタイプのチーズケーキをよく見掛けるけど、フランスではどのタイプが多いの? |
|
K: フランス全体で見ると、ないに等しい。 |
|
M: えっ?!ないの? |
|
K: チーズって、香りや熟成具合を楽しむものなんよね。だから、フランス人は「パーフェクトに仕上がってるチーズを、お菓子の材料にするなんて信じられない。」って言うよ。 ま、例外的にアルザス地方やポワトゥー地方で、地方菓子としてはあるけどね。 |
|
M: そうなんやぁ。タルト風のしっかりした味のチーズケーキは、フランス全般にあると思ってた。 私がドイツで研修してた時に、どっしりとしたタイプのベイクドチーズケーキを作ってたし、ヨーロッパでは普通なんかと思って。 |
|
K: 今回はフランスでどうのというより、日本で親しみのあるものを紹介しようと思って選んだから。 |
|
M: そっかぁ。意外やったなぁ。いろんなチーズケーキがあるかと思ってた。 |
|
N: チーズがいっぱいある国やからそう思った? |
|
M: うん。(笑)プロとは思えない感覚やんなぁ。 |
|
K: ドイツの人はチーズは食べないの? |
|
M: うーん、食べるし、美味しいドイツ産のチーズもあるんやろうけど、ドイツに居た頃に食べて美味しいと思ったチーズは、フランス産やった。 やっぱりフランスの方が美味しいチーズ作ってるんやろうと思う。 |
|
N: だから(フランス程チーズにこだわりがないから)チーズケーキがあるんじゃない? |
|
M: なるほどね。ドイツにしろ日本にしろ、チーズとしての完成度が低いからお菓子にしちゃうのか。 |
|
N: フランス人程芸術的感覚でチーズを作ってしまうと、それを変形させてしまうなんて、許せないんやと思うよ。 |
|
K: 同じように芸術的にこだわって作ったワインも、そのまま飲むのが一番美味しいし。 |
|
N: そうそう。芸術的なチーズとワイン。みんなこだわって作ってるし、そのまま(手を加えずに)口にするものなんよ。 |
|
M: そっか。そこまでいくと、もう、文化やんね。 |
|
N: そう。伝統的文化って言えるものやと思う。だからフランス人でも若い人で、何か変えようと考えて、あえて使ったりする人はいるけど、日本みたいにポピュラーなものにはならない。 |
|
K: ま、フランスにはないけど、日本で馴染みのあるケーキやし、それはそれでいいと思う。 |
|
M: 今回のポイントは? |
|
K: メレンゲかな。あんまりしっかり立て過ぎずに、少し柔らかいものにする。 |
|
M: 立て過ぎると、生地が膨らみすぎて割れたりするよね。 |
|
N: 焼く時に蒸気が多すぎて割れることもあるよ。私はあんまりやらないけど、今回は蒸し焼きにしてるよね。 |
|
K: ん。しっとり焼けるからそうしてる。 |
|
M: 私が家で作る時は、プレート全体にお湯を入れずにプリンカップ等にお湯を入れて、一緒にプレートに乗せる程度にしてる。 それだけでも、密閉度の高い家庭用のオーブンなら充分水分たまるし、上手く焼けるよ。 |
|
N: そうやんな。その方法でいけると思う。蒸気無くても焼けるし。 |
|
M: 焼き方にしろ、メレンゲの立て具合にしろ、考え出すと難しいよね。 |
|
N: ま、はじめは失敗していいんよ。そういうもんやと思うし。 |
|
K: 失敗して学んでいって下さい。(笑) |
|
|
|