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連載コラム 菓子まし娘のお菓子講座
「作るのが好き、たべるのは大好き、そしておしゃべりも大好き」という三人娘が、楽しくおしゃべりしながら、お菓子作りの秘訣を伝授。さても女三人寄ればかしましい?いえいえ、「菓子まし娘」はどんどんお菓子が増えていくという意味もこめて「菓子・増し」なのです!基礎からはじめて、作り方をくわしく解説していますから、お菓子作りがはじめてという人でも安心してチャレンジしてください。
菓子まし娘のフォレ・ノワールよもやま話

foret
作り方の方程式 チョコレート風味のスポンジ生地 + キルシュ酒風味のホイップクリーム  + シロップ + チェリー = フォレ・ノワール
松谷(以下M): 今回のフォレノワールはドイツの「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ」が原型になっているお菓子で、チョコレートのスポンジ生地とさくらんぼを使って作るものです。

大林(以下O): 「シュヴァルツ」はドイツ語で黒、「ヴェルダー(=ヴァルト)」は森、「キルシュ」はさくらんぼを意味してて、それをフランス語で言うと「フォレ(森)ノワール(黒い)」になるんよね。

M: そう言うこと。大林さんはドイツで作ってたんよね?

O: うん。研修先のスペシャリテでした。

小林(以下K): 何でそういう名前が付いたの?

O: ドイツの南の方(フランスとの国境近く)に「シュヴァルツヴァルト(黒い森)地方」と呼ばれるところがあって、そこでさくらんぼが沢山採れるんよ 。そのさくらんぼでお酒やジャム、水煮を作ったりして、さくらんぼの季節以外でも食べられる保存食が出来た。その水煮(サワーチェリー)とお酒(キルシュ)で作られたものがこのお菓子。で、そこの土地の名前が付いたんよ。ドイツではドーム型にケーキを組むけど今回は違うんよね?

M: うん。やっぱりそのへんはお国柄が出てくるんかな。フランスでケーキをドーム型に組むのってほとんど見かけへんから、基本のナペが出来るように普通の組み方にしてます。

K: 今まで色々なお菓子をやってきて、昔作ったことのあるものとか多かったけど、これを家で作ったとかいう思い出ってある?

M: 全然ない。

O: 私、作ったことある。

K: 実は私も。

M: えっ?うそお?やるなあ

O: 私、昔、小学生向けの「入門シリーズ」という本をもってて、それの上級者向けらしい、ちょっとマニアックなお菓子が載ってるものがあったんよ。「世界のお菓子」っていう名前やったかなあ。

M: あーっ!持ってた!私もそれ持ってたわ。

O: 今思うと凄い本で、プロしか判らない様なお菓子が沢山載ってて、その中にあったんよ。私、チョコレートが大好きやったから作りたくて。

M: あぁ。チョコレートが入ってたら何でも作ってたって言うてたなぁ。それって、その当時に作ったん?

O: ううん。さすがに小学生の頃は見てただけで、作ったのは高校生の頃。「non-no」に“失敗しないチョコレートのスポンジ生地の作り方”って言うのが載ってて、それでスポンジを上手く焼けるようになって作ったんよ。

M: チョコレートのスポンジ生地は難しいよ。私は家では作ったことなかったと思う。

O: そう。ホントは難しいのに、白い普通のスポンジ生地はさんざん失敗して、チョコレートの生地がたまたま成功してしまったもんやから、勝手に「ココアパウダーを入れたことがよかった」なんて思って、スポンジはココア入りばっかり作ってた。

K: ココアパウダーって油脂分を含んでて、その油が泡を消してしまうから失敗しやすいよね?

M: うん。混ぜるときも少し弾いて混ざりにくいし、泡を消す原因が多いからいつもよりしっかり泡立てた方がいい。普通のスポンジの方がずっと簡単。なにせ今回のポイントは、生地と言っていいくらいやもん。

O: そうやのに昔の私ってば本当に無知で・・・バカな子でした。(笑)おまけに材料選びにも融通が利かずに、サワーチェリーが無くてものすごく悩んだり・・

M: それがないと「作れない」とか思ってしまうんよね。

O: そうそう。でも、さくらんぼは結局探し出せなくて、どこでも売ってる普通のさくらんぼの缶詰で作った。

K: 普通のって、あの枝付きの?

O: そう。クリームソーダとかに付いてくるやつ。(笑)で、もうなんだか違うものが出来上がった記憶が。

M: サワーチェリーは今でも手に入りにくいし、独特の酸味を嫌う人がいると思って、今回のレシピでもダークチェリーに変えてみました。小林さんはどんなさくらんぼを使って作ったの?

K: 私も多分、ダークチェリーの缶詰を使ったと思う。実はよく憶えてなくて。でも、家族には凄く評判よくて、未だに言われる。

M: 伝説の一品になってるんや。(笑)

O: 多少材料が違っても、合うものを選んでポイントを押さえて作れば、美味しいものが出来るという事よね。

M: 生地さえきちんと作ることが出来れば、かなり成功に近づくので、頑張って挑戦してみて下さい。

菓子まし娘


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ フォレ・ノワール

菓子まし娘
人物 松谷 治代
人物 大林 万希子
人物 小林 直子
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