大林(以下O): マドレーヌってこんな貝殻型じゃなくて丸いって思ってなかった? |
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小林(以下K)・松谷(以下M): 思ってた、思ってた! |
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M: 丸いって言っても、ぺったんこで、それで裏に“欧風銘菓マドレーヌ”っていう紙がはってあったよね! |
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O: そうそう。私のまわりでマドレーヌといえば、それだった。 でも、この「丸くて、ぺったんこ」ていう形は、ほんとは“パン・ド・ジェンヌ”っていうお菓子なんだよね。 |
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K: なんでも、大正時代に日本に伝わってきた時点では、貝殻型だったのに、どこでどう入れ替わったのかあの「丸くて、ぺったんこ」の“パン・ド・ジェンヌ”がすっかり“マドレーヌ”という名前で市民権を得てしまった。いちどそれで有名になってしまってからは、“正統派貝殻型マドレーヌ”が広まらなかったらしいね。 |
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M: 今から思えば、うちで作っていたマドレーヌは、生地の配合はマドレーヌだったけど、形はパン・ド・ジェンヌだったんだ。 私、製菓学校に入って初めてそれに気づいてん。 |
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O: 私もそう。逆に、日本じゃホントのパン・ド・ジェンヌを食べられないよね。本来のパン・ド・ジェンヌの生地はスポンジ生地に似ている。泡立ててるもんね。 |
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K: うん、うん。 |
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O: 今回紹介するマドレーヌは、一般にみんなが思っているよりちょっとかためかもしれないなぁ。 |
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K: フランスのマドレーヌってそうだよね。ふわふわしてなくて、かためでしっかりしている。 |
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M: しまってるって感じやね。 |
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O: そうそう。噛むと味がするというか、噛みごたえもあって、なおかつちゃんとしっとりしている。でも、日本人って柔らかい食感が好きだよね。私も、学生のとき友達にもらったマドレーヌがふわふわしてて、感激したのを覚えている。こんなにふわふわに作れるなんて「すごい」なんて思って。今から思えば、ベーキングパウダーを増やすだけなんだけど・・・。 |
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M: そういえば、この前「レンジでできるマドレーヌ」っていうのを見つけてん。プラスチックの型を使うんだけど、ちゃんと貝殻型してて。でも、レンジだから、出来上がりがまっしろ。ほとんど蒸しパンって感じ。 |
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K: へえ。やっぱり見た目の色の違いっていうのもおいしそうに見えるかどうかの大切なポイントやねぇ。 |
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O: そうやね。焼き色の違いもそうだけど、生地そのものの色の違いもあるよね。今回のマドレーヌは溶かしバターで作っているけど、これを焦がしバターでやると、香りが入って香ばしさが増すし、色も変わるよね。最近お店で見かけるマドレーヌは、この焦がしバターを使った色の濃いマドレーヌが多いかもね。 |
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M: マドレーヌって作るときに失敗の少ないおススメお菓子だよね。 |
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O: うんうん。生地自体はそんなに難しくないしね。ベーキングパウダーの計量さえきちんとできればあとは混ぜるだけだもんね。ベーキングパウダーってよく小さじ何杯という風に表示してあるけど、あれってけっこうアバウトになってしまうなぁ。 グラムできっちり計るのも難しいけど、箱の中で3グラムずつぐらいに小分けされてるものもあるから、それをうまく分けるのがいちばん正確かも・・・。計量をきっちりすれば、あとは型の準備。これをおろそかにしてしまうとうまくはがれないからねぇ。 バターをしっかり塗って、一度冷やしてから粉を薄く振るといいよね。これを、バターが柔らかいまま粉をうつと粉の層が厚くなってしまうし、逆に粉が足りなかったらきれいに生地がはがれへんし。 |
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M: 市販されてるテフロン型だったら、簡単にきれいにはがれるよね。 |
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K: そうそう、これはいいよね。ちょっと高いけど。 |
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O: ところで、マドレーヌにまつわる思い出ってある? |
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M: フランスじゃマドレーヌって、スーパーで、袋にがーっと入って売ってたなぁ。もう、駄菓子状態。 でも、フランス校で食べたキャメラ先生作のマドレーヌが忘れられない!! |
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K: 私も!!フランス校から帰ってきてから自分で作ってるもん。 バニラのさやを入れて、オレンジの皮をいれて、牛乳入れて・・・。中力粉使ってるから、こしがあって、まわりがカリッとしてて・・・。 |
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O: え〜っ!!おいしそう!!私も食べたい!!!今度、配合教えてね! |
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