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連載コラム 菓子まし娘のお菓子講座
「作るのが好き、たべるのは大好き、そしておしゃべりも大好き」という三人娘が、楽しくおしゃべりしながら、お菓子作りの秘訣を伝授。さても女三人寄ればかしましい?いえいえ、「菓子まし娘」はどんどんお菓子が増えていくという意味もこめて「菓子・増し」なのです!基礎からはじめて、作り方をくわしく解説していますから、お菓子作りがはじめてという人でも安心してチャレンジしてください。
菓子まし娘のパート・シュクレのクッキーよもやま話

pate
作り方の方程式 パート・シュクレ = パート・シュクレ
松谷(以下M): クッキーといったらみんながまず作るお菓子よね。

大林(以下O): うん、種類も沢山あって、缶に入っているクッキーの詰め合わせを見ただけでもすごいよね。いわゆるクッキー生地とかサブレ生地をつかったものとか。

今回の「パート・シュクレ」はクッキーに似てるけど、ほんとはお菓子の土台に使う生地よね?

小林(以下K): そうやね。 本来は「スポンジ生地」同様、それだけで食べることはほとんどないけど、今回はあえてそのままでもおいしく食べられるように作ってみたんよ。

M: クッキーって大きく分けると、絞るタイプと、型抜きタイプがあるよね。

K: 今回の「パート・シュクレ」は、分類すれば型抜きタイプ。冷やし固めることによって、型から抜きとる時にべたつかない生地になる。よく子供たちが作る型抜きクッキーは、同じタイプでも粉が多いんよね。今回のパート・シュクレよりはバターは少なめに配合されてて、作業がやりやすいようになってる。それでも型で抜くときに失敗して、うまく抜けないのは、生地の中のバターが溶けてべたべたになるから。型抜きクッキーは生地を休ませないといけない。

M: 小さい頃は絞り出しクッキーをよく作ってたなぁ。注射器形の絞る容器で。

O: あ〜!あの注射器形の器具って、絞るクッキー用に使うモノやったんや!

M: うん、シュークリーム用のとクッキー用のがあって、穴の空いたアタッチメントをぴっとプレートにつけて。

でも、絞るのがすごく固くて、注射器形ふたつぐらい壊したかな。先の部分が力に負けてバキッと割れた。バターを柔らかくしたら生地も柔らかくなって絞りやすくなるってことは思いもつかなくて、固いまま無理矢理絞ってたから・・・。

型抜きクッキーは、出来上がりがサックリならないから色々考えた結果、生地を分厚くして作ってた。今思えばショートブレッドみたいな感じかな。中が半分ナマで焼き上がったような状態やから、柔らかいのは当然なんやけど、分厚く焼いた方がサックリモロモロっと焼けると思い込んでたんかなぁ。

K: その時作ってた生地が、粉が多くてバターが少ない配合やね。

O: 私も、型抜きクッキーはどう作っても、歯ぁ折れるんちゃうかって思うほど固かった。落としても割れない・・・。子供やから、こねるって書いてあったらとことんこねて作ってた。粘土ちゃうやろっていうくらいこねて、それを型で抜いて・・・。

でもある日、本を見てたら「アイスボックスクッキー」ていうのがあって、その模様に惹かれて作ってみた。金太郎アメみたいに、どこを切っても同じ模様が出てくるように生地を組んで、冷やし固めてから切って焼くんだけど、今までと違ってサクサクしたものが初めて出来て、すごい感動した!それからそのクッキーばっかり作ってたけど。

M: クッキーが固くなる原因は「こねすぎ」と、「情け容赦なく触ることによってバターが溶け出す」のがほとんど。のばす時も、生地が柔らかくなっていようがお構いなしにこねまわして、型で抜いて焼いてたような気がするもん。生地が柔らかくなってきたら、作業の途中でも冷蔵庫で休めてから使えばよかったのにね。

K: 私もずっと粉の多い型抜きクッキーを作ってた。ウサギの目とか熊の足とかそんな細い線が出ないといけないような複雑な型を使ってて、ときどきウサギの耳がちょんぎれたりしてた。型を抜いたあとのかけらの生地ももったいないから集めて使うんだけど、本当は20〜30分寝かせてから使わないといけない。でも、当時はそんなこと知らないからそのまま使ってて、生地がだんだん固くなって、おまけにまとまりきらなくて、焼いても線が残ったまんまだったり、焼いてからそこがぽろっとはずれたりしてた。

OM: わかる、わかる。

M: 私は、粉もすごい打ったから固いクッキーになったんだけど。

O: 私は、粉は使わへんかったなぁ。ビニールにはさんでのばしてた。

M: じゃあ、よくする失敗と対策をまとめると?

K: いろんな配合と作り方があるんだけど、バターの固さがどれくらいか、固さの見極めが大切やね。泡立て器か木ベラを使って、楽に混ぜられる固さにする時は、熱を加えて一部を溶かして混ぜれる固さにするんじゃなくて、前もって冷蔵庫から出しておいて、全体が自然に柔らかくなるようにすること。オーブンに入れる前にバターを溶かしてしまうとサクサクしたものにならないから。バターの固さ具合の見極めを失敗しないようにしてほしいなぁ。

O: 一回溶けたバターっていうのは冷やし固めても、冷蔵庫から出したらすぐ、その溶けた状態に戻っていこうとするもんね。絞り出しクッキーだったら、すぐ柔らかくなるようなバターでも大丈夫とは思うけど、型抜きしたり、整形を必要とするクッキーっていうのは、溶けたことのあるバターは絶対ダメ。

M: でも、作る前にバターを出して自然に丁度いい固さにするっていうのは、なかなかむずかしいかも。出すタイミングによっては、柔らかくなり過ぎることもあるやろうし・・・。

O: そしたら、使う直前に冷蔵庫から出して、麺棒とかすりこぎなんかで叩いたらいいよね。温度を上げずに柔らかくしたければ叩けばいい。そしたら温度は上がらずに粘土みたいにどんどん形は変わってくれて、「手で握れば簡単に形が変わる」ぐらいの固さまでは柔らかくなってくれる。

これはこれで、大変やけど・・・。けっこう力いるし、うるさいし、よっぽどしっかりした台の上で叩かないとあかんしね。

K: あと、暖かい部屋では作業しないこと。

O: うん、うん、寒いくらいの部屋でいいと思う。冬は暖房を入れない、夏は冷房をしっかり効かす。

M: もしそれが不可能だったら冷蔵庫をまめに使って、のばしては休めて、冷やして、生地が常に冷えた状態で作業をする。それさえ守ってたら大丈夫。

O: 板があると便利やね。冷蔵庫にはいるような板があればその上で作業をしてそのまま冷蔵庫に入れて。それか、さっき言ってたみたいにビニールの中で生地をのばして、柔らかくなってきたらそのまま冷蔵庫に入れて休ませて、というのもいいかもね。なかなか冷蔵庫にそんなスペースがないかもしれないけど、それは確保してもらって・・・。

M: じゃあ、クッキー作りは冷蔵庫の掃除からはじめよう!

K: あと、オーブンはどんなモノでもOK。それこそ、少し調節は必要やけど、オーブントースターでも焼くことができる。

それから、焼き上がりの飾りもいろんなことができる。でも、今回紹介のものは生地自体が普通のクッキーよりバターが多い、リッチな配合でバターの味がすごい利いているから、そのままで食べようということで。

O: 子供の時のマイブームは、アイシングだった。あとチョコスプレーとか、飾りはホント、いろいろできるなぁ。

K: 焼く前に、アーモンドのせたりとかゴマふったりしてもいいよね。

M: 生地の味にもよるから甘い生地には合わないけど、甘さをおさえた生地だったらゴマとかアーモンドをふっておつまみ風になっておいしいよね。粉チーズとかもいける。

クッキーっていくらでもレパートリーできるからこれから乞うご期待って感じかな?

O: うん、うん。クッキーだけで1年できるかも?

K: ・・・・・・・

菓子まし娘


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ パート・シュクレのクッキー

菓子まし娘
人物 松谷 治代
人物 大林 万希子
人物 小林 直子
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