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連載コラム 菓子まし娘のお菓子講座
「作るのが好き、たべるのは大好き、そしておしゃべりも大好き」という三人娘が、楽しくおしゃべりしながら、お菓子作りの秘訣を伝授。さても女三人寄ればかしましい?いえいえ、「菓子まし娘」はどんどんお菓子が増えていくという意味もこめて「菓子・増し」なのです!基礎からはじめて、作り方をくわしく解説していますから、お菓子作りがはじめてという人でも安心してチャレンジしてください。
菓子まし娘のいちごのショートケーキよもやま話

short
作り方の方程式 スポンジ + ホイップクリーム + シロップ + いちご = いちごのショートケーキ
小林(以下K): 今回は、ショートケーキだけど、なんで「いちごのショートケーキ」って言うんかな?

松谷(以下M): えっと、いろんな説があって、まず、作り方のポイントさえおさえれば、比較的簡単に短時間で作ることが出来る、つまり作る時間が短い(=ショート)という説。あと出来上がってから日持ちがしない、短時間(=ショート)で食べてしまわないといけないからという説もあるよね。

K: そっかぁ。あと、いちごのショートケーキといえばいちごというイメージが日本じゃ強いと思うけど、そのへんはなんでかな?

M: やっぱり、生クリームの白といちごの赤の取り合わせがきれいからかなぁ。

大林(以下O): それに日本人はいちごが好き!

K: では、いちご以外にいちごのショートケーキにあう果物といえば?

M: よく売っている缶詰の果物はたいていあうんじゃないかな。みかん、桃、パイナップル、メロン、キウイなどなど、水分をよく拭いて使えばね。あとバナナも、炒めてもいいし生のままでもいい。生のバナナで色が変わるのが気になるようだったらレモンをふるといいし。

O: 水分の多い果物はむかないよね。すいかとかぶどうとか。梨も洋梨はいいけど、20世紀はちょっと・・・

M: 実は、私が小学生の頃、友達の間で流行ったのが、「お誕生日会 いちごのショートケーキ作り」。お誕生日の子の家で、お母さんがスポンジ生地生クリームは用意してくれていて、それを友達みんなで好きに飾るの。フルーツはいちごじゃなくて缶詰のみかんだったけど。あと、チョコスプレーとかアラザンとか適当に使って盛り上がってた。

O: アラザンて、あのころ妙に流行ってたもんね。

M: 生クリームはいま学校で使ってるような動物性のものじゃなくて、植物性のホイップクリーム。粉と水を混ぜると生クリームになるという・・・

O: あった、あった!今も売ってるかなぁ。

M: 中にビニールの絞り出し袋とプラスチックの口金がついてて・・・。このクリームって何回さわっても修正がきくから、絞って飾ってみて気に入らなかったらもう一回クリームとって、とかできた。
この「お誕生日会 ケーキ作り」が大流行。スポンジケーキ焼けないお家では、ホットケーキで作ってみたり。

O: へぇ。私もスポンジ生地ってやっぱりあこがれで、小学校の時に挑戦してみたなぁ。持ってた本を見て、その通りに作ってみた。で、卵を湯煎して30分混ぜると書いてあったから、30分間ずっと混ぜてた。泡立て方を知らなかったからもちろん泡立たなかったんだけど、いちおうモッタリしたから、それでいいかどうかもわからないし、とりあえず粉を混ぜて次に進んで型に流して焼いた。そしてら、もうぜんぜんふくらまなくってぺっしゃんこ。中に火が通らなくて芯が残ってガチガチで、まわりだけはかろうじてフワッとしてるかなっていう代物ができた。すごくマズくって、3回ぐらい挑戦したけど1回も上手くいかなくて、スポンジ生地は家で出来ないものとあきらめてん。
でも、どうしてもいちごのショートケーキを作りたくって、ある日ホットケーキを焼いてそれにクリームをサンドして作ることを思いついた。それは良かったんだけど、冷ますということを忘れてて、ホットケーキが出来たら「できた、できた!」ってクリームをぬったらどんどん溶けていっちゃった。最初はどうして溶けるのかわからなくて「なんでやろ」って考えて、やっと「ホットケーキが冷めてないからや!」って気づいたけど、またマズいものができてしまった。でも、まわりの人たちは気を使って「おいしい」って食べてくれて・・・。

ホットケーキでも失敗したから、それからもうスポンジ系統は2度と作らなかった。

M: うちは電動の泡立て器があったからわりとよく作ってたけど、卵の泡立て具合がよくわからなかった。本が何冊かあってその家の一冊が“共立て法(今回紹介する作り方)”で、今から思えば立て方の弱い状態のまま粉とかあわせてたから、出来上がりがきめの細かい、重いスポンジになってしまった。で、ある日、別の本を見るとそれは“別立て法”で書いてあって、それで作ったらわりとふわっと出来た。当時は失敗を、自分の作り方が悪いのに、「この本はアカン!」とか言って本のせいにしてたわ。

O: 私が、スポンジ生地をやっと成功させたのは高校の時かなぁ。小学校の頃から長い月日が経ってしまった。高校の時にnon-noの「失敗しないチョコレートケーキ」っていうのがあって「これや!!」と思って、それに載ってる細かいプロセス写真を見ながら作った。そしたら成功して、もうそれから「スポンジはチョコレートやないとアカン!」って。今から考えたらチョコレートが入ってる方がよっぽど難しいのになぁ。(笑)
その後、「お菓子のサロン」っていうテレビ番組で川北先生がスポンジ生地の作り方を紹介してるのをみて、スポンジ生地の作り方のポイントが初めてわかった。長い道のりやったワ。

K: うちでは母が作ってた、よく失敗してたけど。
本ってページが限られているから、どこまで立てたらいいとか説明を十分にするのが難しいよね。例えば泡立てる写真がついてたとしても、それが温かい泡か、冷めてる泡かわからないし、機械を使ったらすぐ泡立つけど、それで粉を入れたらみるみるうちに泡がつぶれてしまうとか。やっぱり冷めるまでというか、泡の状態がきめ細かくなるまで立てなきゃいけない。それは何分かかるかっていっても、ボウルの大きさや量によって変わってくるから一概には書けないし。
自分が買う本って大切やねぇ。
大林さんだって、見てた本に泡立て状態とかの写真が載ってたら良かったのにねぇ。

O: ほんまに。私の本にはイラストしか書いてへんかったから。
今は、いっぱいお菓子の本があるけど、作り方のポイント、温度とか状態とかまでしっかり書いてあるものを選べばいいよね。

でも例えば「ポマード状」といっても、マヨネーズぐらいの柔らかめかもしれないし、かためかもしれないし・・・

K: 本って手順だけしか書いてないことが多いからね。だから、いちごのいちごのショートケーキならいちごのショートケーキで、同じケーキを何冊かの本で見比べてみて、より作り方の詳しい本を選ぶっていうのがいちばんわかりやすいかな。

自分で作り方をノートするときでも、手順だけを書くんじゃなくって、混ぜてサラッとなるとか、モッタリなるとかそういう状態まで書いておくとあとでわかりやすよね。

製菓学校に入学して、初めての授業がスポンジ生地で、2時間半でノートが10ページぐらいになった。その授業で、もう目からウロコというか、ポイントがいっきにわかった。食べたときには感動したわぁ。あのスポンジのきめ細かさには。
では、おいしいいちごのショートケーキの食べ方は?

M: 組み立ててすぐよりも、30分ぐらい冷蔵庫に入れてなじませた方がおいしくなるよね。シロップとかクリームが生地によくしみこんで・・・。冷蔵庫に入れずに出しっぱなしっていうのは良くないです。ちゃんと冷やして、その日のうちに食べきればおいしく食べれるよ。

K: おいしいケーキって、結構ペロッと食べれちゃうけど、どれっくらいの量食べられる?

O: 私、太るとかカロリーが高いとかそういうことさえ考えなければ、一人で一台(15cmぐらいの)食べられる!

M: 私も3時のおやつだったら一人一台食べれるかも。小林さんもいけるでしょ?

K: えっっっっ・・・・・

菓子まし娘


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ いちごのショートケーキ

菓子まし娘
人物 小林 直子
人物 松谷 治代
人物 大林 万希子
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