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メキシコ料理の代表格と言えば、やっぱりタコスでしょうか?「トルティージャと呼ばれるトウモロコシで作ったパンに、味付けして火を通した肉や豆や野菜類をのせ、ホットでスパイシーなサルサ(Salsa)を好みでかける。これをくるりと巻いて、口に運ぶ。」といった楽しい料理ですね。 |
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日本でトウモロコシと言えば、黄色くて甘みのある柔らかい物を思い浮かべるのですが、メキシコではこのような品種をエロテ(Elote)と呼びます。トルティージャに使われるのは大粒で白っぽく甘みのない硬粒種で素朴な味わいのトウモロコシで、これはマイス(Maiz)と呼んで使い分けられています。 乾燥させたマイスに石灰を加えた水を注いで一晩浸し、翌日それをメタテ(Metate)と呼ばれる火山岩から作られた三脚付きの皿状石臼でマノ(Mano)と呼ばれる石棒を使ってよくすり潰します。この生地をマサ(Masa)といい、薄く丸く伸ばしてコマル(Comal)と呼ばれる土製か鉄製のほうろく状の鍋で焼いたものがトルティージャです。石灰を加えることにより、トウモロコシの粒の薄皮が取れやすくなり、特有の香りを強め、カルシウムの補いにもなります。さらに酸性食品であるトウモロコシに、アルカリ性の石灰が中和剤として働き、消化をよくする効果もあります。またマサは焼くだけではなく、ゆでたり蒸したり揚げたりもでき、日本人にとっての米と同じ主食としての食材と言えるでしょう。 |
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トルティージャと並んでメキシコ料理にとって最も重要な食べ物に、植物性タンパク質としてのインゲン豆と味付けの基本でビタミンCが豊富なトウガラシ類があります。インゲン豆にラードと塩、玉ねぎを加えてゆっくりと煮たのがふつうのフリホレスで、さらに玉ねぎとラードを加えてペースト状になるまで煮込んだものがフリホレス・レフリトスです。 |
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トウガラシ類は種類により、また生と乾燥したものとでも辛さ、香りが異なり、料理によってきめ細かく使い分けられています。使い方としては、生のものをそままかじるというものもありますが、刻んだり潰したりして、薬味やサルサとして使われます。 |
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タコスにはさむ具としては肉、内臓、魚介類、ソーセージ、チーズ、野菜など、ありとあらゆるものが使われますが、珍しいものにカボチャの花やトウモロコシの果穂に生えるキノコの一種ウィトラコチェ(Huitlacoche)のような食材もあります。 |
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またタケリア(Taqueria)と呼ばれるタコス屋で人気のあるメニューの一つとして、「羊飼い風」と呼ばれているアル・パストール(Al pastor)があります。薄切りにして調味した肉片を幾層にも重ねて心棒に突き刺しながら巻き付け、直径30cm、高さ約1mくらいの肉塊を作り、横からの火で焙り、回転させながら焼くものです。焼けた肉をナイフで削り落としながら、トルティージャで巻いて食べます。元はトルコのドネル・ケバブと思われますが、意外に広まっています。 |
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いずれにせよ、タコスは好みの具をトルティージャではさんでサルサをかけ、くるりと巻けばでき上がります。アイデアをいっぱい盛り込んで、オリジナルなタコスを作ってみましょう。 |
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