マグレブとはアラビア語で「太陽が沈む地方」つまり「西」を意味し、7世紀から8世紀にかけて北アフリカを征服したアラブ人達は、そこから先にはもはや征服すべき土地がなく「日の沈む西方の地の果て」であることを発見しました。 |
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地理的にマグレブと呼ばれるのは、モロッコ、アルジェリア、チュニジアの3カ国ですが、食生活において共通面の多いリビアもその中に含めることになります。この地方の原住民ベルベル人が、クスクスを作り出した人々です。
ピタというパンも焼き、半分に切って袋状になった所に具を詰めて食べられていますが、マグレブでは、今でもクスクスが主食の座をゆずっていません。 |
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クスクスとはザラザラした粒状のもので、粒子は製造の仕方によって細かいものと粗いものとがあります。収穫したセモリナ(硬質小麦)を石臼で挽き割って粉にし、塩水を加えて練り、ふるいにかけて小さな粟粒ぐらいの大きさにします。これを手でもんでから夏の天日で乾燥させ、蒸して火を通し、再び乾燥させたものです。
一度火が通っているので、水を含ませるだけで食物になるという便利な保存食にもなります。食べるときは湿り気を与えてから専用の二段になった鍋の上段に入れ、同時に下段で肉や魚あるいは野菜などのスープを作り(この蒸気でクスクスが蒸し上がる)、このスープをかけて食べます。またこのように調理された料理をクスクスと呼びます。 |
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今回は肉を主にしたクスクスを作りますが、アラブ社会では豚肉を食べることは禁じられています。子羊肉や鶏肉を主に、メルゲーズと呼ばれているとても辛くてスパイシーなソーセージ、それにガルバンゾーと呼ばれるエジプト豆(日本ではひよこ豆の方が通称かも)と数種類の野菜を加えておいしく仕上げてみました。 |
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同じマグレブ社会とは言え、それぞれに味の好みの違いがあり、モロッコでは辛さを控えてサフランで色や香りをつけ、チュニジアではアリサと呼ばれる唐辛子やにんにく、その他のスパイスをペースト状にしてオリーブ油と混ぜ合わせた薬味を好みで混ぜ込んで食べるのが一般的です。日本ではまだまだ馴染みの少ない料理ですが、一度お試し下さい。 |
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