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カレーという言葉は、インド南部のタミル語にある「カリ」という言葉が英語になったもので、本来の意味は「ソース」です。
一口にカレーといっても、地域や民族、宗教など、またそれぞれの家庭の慣習によっても違うため、きわめて多くの種類があります。見た目にも色の違いがあり、その形状もどろりとしているものだけでなく、ほとんど水気がなかったり、逆にコンソメのようにさらりと流れてしまうものもあります。
一般に南部では米を主食とするために汁気の多いソースが必要で、生や緑のスパイスにライムの汁、ココナッツミルク、酢などを加えてすり潰し、ソースを作ります。また北部では南部よりも乾いた香辛料を使うことが多く、砕いて粉末にしてからソースを作ることが一般的です。 |
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カレーには多くのスパイスやハーブが使われますが、それらの成分は水よりも油に良く溶ける性質があります。しかし、味を味覚として感じるには、水に溶けた状態でなければなりません。ですから、スパイスの風味をまずは油の中にじっくりと溶かし出して、次に水に溶かす作業が必要になってくるのです。通常、水と油は混ざり合う事はないのですが、これを可能にするのが「乳化」という状態です。そのためにヨーグルトやココナッツミルク、またはすり潰したナッツ類などを加えます。また、できたてのカレーより一晩寝かせたカレーのほうがまろやかに感じるのは、この「乳化」作用が進行したお陰でしょう。ただ私の好みとしては、インドのカレーは一晩寝かせてまろやかにしたものより、スパイスの香りが芳醇に漂うできたてのものがさらに魅惑的に感じられます。 |
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インドではスパイスをたっぷりと使い、その種類も驚くほど多く、どんな料理にも使われていると言っても過言ではないでしょう。そして指定されているスパイスがないからといって、代わりのものを使うと料理の性格や風味が変わってしまいます。インド料理の伝統的な風味を生かすための大切な要素として、できるだけそろえるようにしたいものです。最初はなるべく代わりのものを用いないで作ってみてください。また、同じ種類のスパイスでも、粒のままと粉末にしたものとでは、粒の方が風味も強く、香りも飛びにくく、刺激の程度もちがってきます。 |
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カレーに使われているスパイスの働きは、消化促進、酸化防止、抗菌作用などがあげられます。その特有の成分は刺激性で、消化器の粘膜を刺激し、中枢神経の働きを高めます。その結果、消化液の分泌が高まり食用が増進するのです。香りもまた同様に、鼻からの刺激が中枢神経に作用します。 ただしスパイスは使用する分量やその種類も大切な要因です。気候の変化や食べる人の体調を考慮して使い分けましょう。 |
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