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世界の料理TOPへ怖くない、怖くないインターナショナルクッキング コラム一覧へ
連載コラム 怖くない、怖くないインターナショナルクッキング
和・洋・中と並び、世界には美味しい料理が数多くありますよね。「食べたことはあるけど作り方を知らない」とか、「作ったこともあるけど何か物足りない」ってことないですか?ちょっとしたスパイスを加えることで、料理の味付けはガラリと変わります。スパイシーな料理からちょっと珍しいデザートまで紹介しましょう。
大富豪、ストロガノフ家!
ビーフ・ストロガノフ

今回はロシア料理として良く知られているビーフ・ストロガノフを紹介しましょう。でもその前にストロガノフ家について、調べた事をちょっと記しておきます。
この一族が最も活躍した時代は16〜19世紀で、ロシアの中でも特権的商人企業家の一族として有名です。14世紀後半には農民でしたが、15世紀には北ロシアのドビナ地方を拠点に商業活動で富裕化し、16世紀にはペルミ地方の製塩業やシベリア毛皮の交易で急速に巨富を築いています。また獲得した巨大な所領では製塩や毛皮産業のほか、農業や漁業、鉱山業などの諸事業を展開し、最盛期には数万人の労働者や農奴を使役したとされています。モスクワ大公に莫大な金銭援助をして中央集権化政策を助けるとともに、政府からウラル地方に広大な領地、要塞建設権、私兵保有特権などを与えられて、16〜17世紀モスクワ国家のシベリア植民政策の先兵となります。イェルマーク(コサックの隊長)のシベリア征服が一族の軍事的・経済的援助によるものであった事はよく知られています。
ストロガノフ家は初め大商人の名称、17世紀には名誉民、18世紀には男爵、次いで伯爵の称号を与えられて貴族となり、ロシア帝政期を通じて多くの政治家や芸術・文化の保護・愛好者を出しています。

さてビーフ・ストロガノフですが、人気の肉料理で、すべての飲食業態(レストランから食堂まで)において、主要なメニューとみなされています。第二次世界大戦後、ロシア料理として国際的にレストランのメニューリストに載りますが、本当の意味でのロシア料理ではありません。ビーフ・ストロガノフは、ロシアの民族的な料理ではなく、創作された料理の典型です。初めて登場したのは19世紀の終わり、それも1890年代の後半です。20世紀初めに出版されたいくつかの料理書に見つけることができますが、比較的広く知れ渡り有名になったのは、ソヴィエト時代になってからで、飲食店を通してです。
料理名は、アレクサーンドル・グリゴリーエヴィチ・ストロガノフ伯にちなんで名付けられました。この人物は、学問の世界では、200年以上にわたってストロガノフ一族の男爵や伯爵達が収集してきた膨大な蔵書をトムスク大学に寄贈したことや、またオデッサ大学(もともとはノヴォロシア大学という名前)が彼の構想によって創立されたことがよく知られています。長年A.G.ストロガノフはノヴォロシア(南ロシア及び南ウクライナの黒海及びアゾフ海沿岸のステップ地帯の名称:18世紀後半から20世紀初めまで)の将軍兼総督でしたが、その任を退いた後に、名誉市民に選ばれた土地オデッサに住み、そこで生涯を閉じています。極めて裕福な人物として、またストロガノフの両家系(伯爵家と男爵家)の後継者でありながら子供を持たなかったストロガノフは、貴人の慣習で「開かれた食卓」をオデッサで催していました。それは、教養のある人、または上品な身なりをした人ならば誰でも「通りから」そのまま昼食(ロシアでは昼食が正餐)に立ち寄ることができるというものでした。そうしてその「開かれた食卓」のために、ストロガノフ自身ではなく、お抱えの料理人のうち誰かが創案したのが、このロシア・フランス折衷料理です。肉の細片を炒めたもので、サワークリームのソースがかかっていて、それもソースをフランス風に別添えにするのではなく、ロシアのソースみたいに肉と一緒に出されます。料理はとても素晴らしいもので、都合よく一人分に分けられる上に、かなり美味しいものでした。何よりも、オデッサにいる料理書の執筆者達がその料理を評価し、まさにオデッサ人達がその料理を全ロシア的に広く調理されるものに仕立て、言うまでもなく料理の名前を付けたのでした。創案者達が作った当時よりもはるか後の世にまで「人づてに」有名な料理になった結果、現在ではレシピは往々にして歪められていることが多々ありますが、今回のレシピを参考にしていただけると幸いです。


このコラムのレシピ

コラム担当

レシピ ビーフ・ストロガノフ

スパイスの魔術師
人物 三木 敏彦
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