第10回辻静雄食文化賞 贈賞式開催レポート
公益財団法人辻静雄食文化財団は、2019年7月4日(木)八芳園にて、第10回辻静雄食文化賞の贈賞式を開催いたしました。
第10回を迎える2019年の辻静雄食文化賞の本賞には、近代日本の食文化を考える上で極めて重要な学校給食に着目し、その歴史を緻密に分析した優れた研究として、藤原辰史氏の著書『給食の歴史』(岩波書店)が、専門技術者賞には、天ぷらという伝統的ジャンルにおいて、その概念を一新し、料理としての新たな世界を切り開いた、「てんぷら 成生(なるせ)」の主人 志村剛生氏が選定され、同財団より表彰を受けました。
(写真左から) 門上武司、志村剛生、藤原辰史、石毛直道、辻芳樹 (敬称略)
第10回 辻静雄食文化賞・専門技術者賞 受賞者コメント
第10回辻静雄食文化賞
■『給食の歴史』
藤原辰史/著
岩波書店/刊
「私のささやかな研究に対してこの賞を頂けて光栄に思っています。辻静雄さんというフランス料理を日本に持ち込んだ方の名前のつく食文化賞を、ある種平凡でもある『給食の歴史』という本がいただく事になりとても驚きました。給食の歴史については文献がほとんどなく、本を完成させるまでに古本屋で文献を探したり、国会図書館でGHQの文献を集めたり、またフィールドワークで給食を調理する人にインタビューを行ったりと様々な苦労がありました。そこで気がついたのは、実際に給食の調理をしている方々は日本中で素晴らしい食文化を築いている料理人の方と引けを取らないくらい、ものすごい努力と工夫を凝らして給食を作っているんだなということです。本日この場でフランス料理を日本に広めた辻静雄さんの賞をいただき、またフランス料理と給食が同じ場で共存できることが素晴らしく、新しい文化がここから生まれるのではと感じています。本当にありがとうございました。」
第10回辻静雄食文化賞 専門技術者賞
■志村 剛生(しむら たけお)
「てんぷら 成生(なるせ)」主人
「この度は大変名誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。静岡でお店を立ち上げて13年が経ちました。私は実は天ぷら屋で修行したことはなく、6年半割烹で修行していた当時、少し天ぷらを担当し、その時に天ぷらという調理法にどうしても魅せられてしまったのが始まりです。天ぷらというのは、素晴らしく、食材の"顔を出してくれる"調理法だなと感じています。若い調理師の方は、天ぷらだけに限られてしまうのではと感じるようで、なかなか天ぷらを選ぶ方は少ないです。しかし天ぷらは、総合的な知識と素材を見極める目がないと難しいなと日々感じています。これからもっと若い調理師が天ぷらを選んで、日本の大切な食文化として海外でもカウンターで天ぷらを揚げるということが生まれていけば嬉しいなと思います。これからも皆さんのお力添えをお願いします。」
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辻静雄食文化賞とは
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