第5回辻静雄食文化賞 贈賞式開催レポート
食分野の教育と研究に生涯を捧げた辻調グループ創設者・辻静雄の志を受け継ぎ、2010年に創設された辻静雄食文化賞選定委員会は、2014年6月3日(火)、明治記念館「鶴亀の間」にて第5回 辻静雄食文化賞の贈賞式を開催いたしました。
辻静雄食文化賞では、日本の食文化の幅広い領域に注目し、よりよい「食」を目指した目覚しい活動を通じ、新しい世界を築き上げた作品、もしくは個人・団体の活動を対象に選考し、顕彰を行って参りました。また、2012年からは新たに専門技術者賞を設け、作り手として食文化の発展を支える調理、製菓の技術者を顕彰しております。
第5回を迎える2014年の辻静雄食文化賞の本賞には、食べものの生産・加工のために用いられる建造物に焦点をあてた書籍『食と建築土木』と、2012年に102年の歴史に幕をおろした大阪貝塚市の小さな屠場を最後まで利用していた「北出精肉店」の日常を記録した映画『ある精肉店のはなし』の2作品が選ばれました。また専門技術賞には、傑出した技術力を持つ第一人者で、日々職人技を実践して美味しい日本料理を提供し続ける姿勢が評価された、穴見秀生氏(「本湖月」 主人・料理長)と石原仁司氏(日本料理「未在」 主人・料理長)が選定され、それぞれの受賞者は、選考委員長の石毛直道氏より表彰を受けました。
(前列左から)穴見秀生氏、纐纈あや氏、後藤治氏
(後列左から)門上武司氏、石毛直道氏、辻芳樹、二村悟氏、小野吉彦氏
◆第5回辻静雄食文化賞・専門技術者賞 受賞コメント
辻静雄食文化賞
書籍「食と建築土木」
後藤治氏 (著・監修)
「この賞は、本の取材に協力していただいた方々あっての受賞だと思います。また私事ながら、とても食いしん坊なので、優れた技術者の方々と一緒に表彰されることはすごく光栄です。是非、一度お店にお邪魔して食べさせていただきたいです。」
二村悟氏 (著)
「とても地味な建築たちで他のモノに比べると見劣りするかもしれませんが、伝統食を維持していくためには必要不可欠な建物なので、存在に意義があるということを紹介できたのかと思っております。」
小野吉彦氏 (写真)
「今回、食に関する建造物ということで、色々な所に初めて行かせていただいて、様々な環境の中で職人や生産者の方々の現場を勉強させていただきました。ご協力いただいた全ての方に感謝しています。ありがとうございました。」
映画『ある精肉店のはなし』
纐纈あや氏(監督)
「この映画が食文化賞ということで、映画の賞をいただくことよりも嬉しく思います。今まで屠場(とじょう)のお仕事を映像で紹介する機会がほとんどなかった中で、私が初めて屠場の現場を見せていただいた時、大きな感動と衝撃を受け、現場で働いている方々に対して敬意を覚えました。今回の賞は、食肉業界で働いている方々に対して賞をいただけたような気がして、とても嬉しいです。」
辻静雄食文化賞 専門技術者賞
穴見秀生氏 (日本料理「本湖月」 主人・料理長)
「私が料理の世界に入ってちょうど50年ですが、最高の日を迎えることができました。先代の辻静雄校長には45年程前、パリで機内食を担当している時に初めてお会いしました。静雄校長から『せっかくパリにいるのだから、美味しいものを食べなさい。』と言われたことをきっかけに、給料は全て食事に使うようになり、今現在があると思います。」
石原仁司氏(日本料理「未在」 主人・料理長) ※欠席の為、MC代読
「15歳から47年間、料理一筋で料理以外に取り柄がない私が、このような賞をいただけて大変嬉しく思います。今回の受賞を励みに、これからも若者とともに食文化と技術の向上発展に努めていきたいと思います。本日は誠にありがとうございました。」
◆辻静雄食文化賞とは・・・
我が国の食文化の幅広い領域に注目し、よりよい「食」を目指した目覚しい活動を通じ、新しい世界を築き上げた作品、もしくは個人・団体の活動を対象に選考し、これに賞を贈るもの。また特別部門として専門技術者賞を設け、調理や 製菓等の現場で活躍する技術者を顕彰する。辻調グループ・創設者の辻静雄の食文化普及の活動を記念し、また その志を受け継ぎ、食文化の多様で豊かな発展に寄与することを目的として、2010年に辻調グループ・創立50周年 記念事業として創設された。以後、毎年実施。
第5回 辻静雄食文化賞 選考委員会(敬称略)
委員長: 石毛直道(国立民族学博物館名誉教授)
委員: 鹿島茂(明治大学教授)、阿川佐和子(作家)、福田和也(慶應義塾大学教授)、 西山嘉樹(文藝春秋)、
辻芳樹(辻調グループ代表 辻調理師専門学校理事長・校長)、 八木尚子(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所所長)
専門技術者賞・選考委員
門上武司(「あまから手帖」編集顧問)、犬養裕美子(レストランジャーナリスト)、君島佐和子(「料理通信」編集長)、
柴田泉(フードジャーナリスト)、山内秀文(辻調グループ 辻静雄料理教育研究所研究顧問)
公式ページ https://tsujishizuo.or.jp/award/
<お問合せ>
辻調グループ企画部:小山、渡邉
TEL:06-6629-0206
E-mail:press@tsujicho.com
第5回辻静雄食文化賞/専門技術者賞 贈賞式レポート