【辻調塾】10月19日/辻調<新>塾:「イタリア料理<修業>を超えて」澤口恵一さんを迎えて
10月19日の辻調塾のテーマは、
「イタリア料理<修業>を超えて--イタリアで働く日本人コックへのインタビューから--」
大正大学の人間学部の澤口恵一さんをお迎えして、澤口さんがこの数年、取り組んでいらっしゃる研究の途中報告という形でお話をお聞きしました。
澤口さんは大正大学にて、社会学的なアプローチで、日本におけるイタリア料理の職人たちのキャリア形成について聞き取り調査、分析を行い、その結果を2010年、12年と2冊、報告書にまとめています。
『日本のイタリア料理産業とコックたち---産業史と人生史の視点から--- PARTⅠ,Ⅱ」という報告書のタイトルからもわかるように、日本におけるイタリア料理店を、ひとつの「産業」と捉える視点の新しさと、そこでの働きや、修業(イタリア現地での修業、あるいは定住や開業なども含め)を、料理人の人生史という観点で、さまざまな世代にアプローチしていく、いままでにない画期的な調査研究です。
今回、日本国内での調査を踏まえ、イタリア現地での調査を通して、イタリア本国でのさまざまな修行の形態、また現地でシェフをまかされている料理人や、自らの店を開業している日本人の職人の実態にせまっています。
澤口さんは、現地での「ゲストワーカー」としての日本人、現地開業の難しさについての報告とともに、「修業」という言葉の意味やこの日本人独特の感覚について掘り下げ、「労働」ではない、イタリア現地での「修業」の意味をあぶりだしていこうと、されています。
今回は、ジャーナリストの方々も多数参加され、メディアの取材とはアプローチの違う学術的な手法での聞き取り調査に対して、活発な質問、感想が会場から出ました。
最後に、恒例の交流会では、「イタリア」をテーマに、辻調OBの代官山「蜜香」さんのイタリア三色旗をイメージした素敵なデリバリーが大好評でした。