ドーナッツ あげあげ~!!
辻調で製パンを担当している伊藤です。
早いもので、新年を迎えてからもうすぐ1か月。製菓学科の学生の授業も終盤を迎えています。
今回は、1年生の製パン理論にお邪魔しました。
ちなみに、1年生の製パン理論もこの回で最後。
内容はブレッツェルというドイツのパンとドーナッツについてです。
ブレッツェルは以前にブログで紹介しているので、お時間あれば覗いてみてください。
「ちょっと変わったパン│辻製菓専門学校ブログ│辻製菓専門学校 - 製菓のプロを育てる専門学校」
ということで、今回はドーナッツを紹介します。
ドーナッツは生地の種類によって大きく3つに分類することができます。
一つ目は、ベーキングパウダーを使うケーキドーナッツ。
皆さんご存じのオールドファッションがこのタイプ。
次に、卵を多量に使用したシュー生地のような生地を揚げたタイプ。
フレンチクルーラーはこのタイプですね。
そして、今回紹介するのがイーストを使うイーストドーナッツ。
フワッと軽い食感が特徴のドーナッツです。
このイーストドーナッツ、フワッとした食感と歯切れの良さを両立する為、
配合中の油脂を泡立てて生地に練りこみます。
この、油脂を泡立てる作業をクリーミングと言い、
油脂のクリーミング性という、空気を抱き込む性質を利用しています。
バターやショートニングなどの油脂を、生地をこねる初期の段階に混ぜ込むと、
生地のつながりを阻害するため製品のボリュームが出にくくなります。
そのため、練りこむ油脂に空気を含ませ、生地に混入させることで製品を膨らみやすくし、
ソフトで口溶けの良い製品に仕上げることができるのです。
では、どのように作っていくか見ていきましょう。
これが、クリーミングをする材料です。
バターとショートニングに砂糖・塩・香辛料等を加え、卓上ミキサーを使ってしっかりと泡立てていきます。
最後に卵黄を加えて混ぜ合わせたら、小麦粉に加え、水、イーストを加えて生地を作ります。
できた生地は発酵を取り、1.5cm位の厚さに麵棒で伸ばしていきます。
伸ばした生地を、10分ほど休ませ、リング状に抜いていきます。
抜いた生地は揚げ網の上に並べて発酵を取ります。
くり抜いた後の残った生地は、切り分けて成形しやすい形にまとめていきます。
棒状に伸ばして
てのひらで押さえつけて転がし
"ねじねじ"します。
成形した生地は、40分ほど発酵を取り、油で揚げていきます。膨らんでいるのがわかりますか?
(発酵前)
↓
(発酵後)
ちなみに、ドーナッツを揚げる油は、ドーナッツ油という固形の油(ショートニング)を溶かして使います。
ドーナッツは揚げた後、生地表面に砂糖やチョコレートなどをコーティングするため、
生地の油切れ(生地表面が油でべとついていない状態)が良い油を使うのがポイントです。
では、揚げていきましょう。
油の中に入れて~。
裏返して~。
美味しそうに揚がりました~!!
時間にして、3~4分。焼くより早く火が通ります。
そうそう、ドーナッツのリングの形は早く火が通るようにと考案されたものだそうです。
(リングの形になった理由は諸説あります。)
粗熱がとれたら砂糖をまぶして完成です。
さて、お待ちかねの試食タイム!
実際に食べてみることで、食感や風味などを確認していきます。
さて、味の方はどうかな。
美味しそうに食べている学生の様子を見て、ひと安心です。
いかがでしたか?
理論の授業では試食も大事な勉強の一つです。
味だけでなく、食感など食べることで気づくこともたくさんあります。
みなさんも、色々なお菓子やパンを食べて!自分の引き出しを増やしましょう。
~プロフィール~
辻調理師専門学校 製パン担当
伊藤 快幸
学生時代の授業で食べた焼きたてのフランスパンに感動し、この道に進んで30数年。
今もおいしいパンを作るために奮闘中です。