東房 嘉門さん 研修先:Restaurant Serge VIEIRA(セルジュ・ヴィエラ)
東房 嘉門 TOBO KAMON
2018年春コース レクレール校 フランス料理研究課程
出身校:長崎・清峰高校卒
辻調グループ出身校:辻調理師専門学校 調理技術マネジメント学科
研修先:Restaurant Serge VIEIRA(セルジュ・ヴィエラ)
フランス中南部、オーベルニュ地方のカンタル県という所にあるショード=ゼグChaudes Aiguesという村に僕の研修先、「セルジュ・ヴィエラ」はあります。少し山を登った所の、お城を改築したホテル併設のレストランです。
モダンでアーティスティックなレストランホールには最大約40名のお客様が入り、外壁はガラスになっており大自然を見ながら食事することができます。客層は40代〜の方や、近くにキャンプ場があるので、家族の方が多かったです。
また今年できたばかりのセルジュ・ヴィエラ2軒目のお店「ソダッドSODADE」は、ビストロのようにお手頃な値段で、レストランと遜色ないクオリティの料理を楽しむことができます。レストランがある場所より少し山を下って行くと小さな村があり、そこにお店があります。
どちらのお店も冬の時期(12月頃〜4月頃まで)は雪の影響などで年次休暇に入ります。
僕は9月から研修を始めましたが、11月末まではレストランで働きました。最初は賄いの下処理や、魚の骨抜き、キノコの下処理などばかりでしたが、2週間もしないうちに、肉・魚を扱うポジションをやらせてもらえることになり、仕込み中はソース作りや魚をおろしたり、肉のフィスレ(糸で縛って形を整えること)をしたり、サービスの時間には、低温調理の管理やソースの仕上げ、盛り付けなど重要な部分も任せてもらえました。
その後、12月の間はビストロの方で働きました。こちらは人が少なかったので、メインの手伝いをしたり、付け合わせの下処理をしたり、たまにパティシエの補助をしたりと色々なことを経験出来ました。
シェフのセルジュ・ヴィエラ氏は、日本が大好きで優しい方です。
サービスが忙しい時があったのですが、その時シェフが「ハヤク!!」、付け合わせの温めが間に合っていないのを見て「チョウムカツク!!」と日本語で言っていたのには、思わず笑ってしまいました。笑
しかし怒っている訳ではなく、そう言いながらもスタッフを気遣い、スムーズなサービスにしつつ、場を和ませているようでした。たまにシェフも盛り付けをするのですが、出来上がった料理はどれも美しく、綺麗で素早く、無駄がない動きは、シェフの人柄を含めとても尊敬します。
住居は約8人が住める研修者用の一軒家をお店が用意していて、最初は6人ほどいたのですが、お店が閉まる時期が近づくにつれ減っていくのは、少し寂しかったです。写真を撮るのは忘れてしまいましたが(笑 )そのくらい楽しく濃い時間を一緒に過ごせました。買い物に行ったり、ボウリングをしたり、飲みに行ったりと普通の友達のように接してもらえたのはとても嬉しかったです。各地のレストランの料理人たちのサッカーチームが集まるフットボール大会にも連れて行ってもらえました。選手としては参加しませんでしたが、すごい盛り上がりで楽しかったです。
同僚だけでなく、ここショード=ゼグ村の人たちもみな明るく優しい方ばかりです。
村は小さいながらも自然が綺麗で、ここの名物は、なんと温泉なんです!
日本のようにお湯に入ることは出来ませんが、至る所に温泉が湧いていて、少し日本との共通点を感じることができます。
研修に行く前は、正直、学校関係者以外のフランス人は嫌な人ばかりなのではないかと思ってました。
でも実際に一緒に仕事をしてみると、みなとても明るく、フランス語の拙い僕にも親身になってくれて、仕事も丁寧に教えてくれたり、たまには面白い話をしたりと、なんて思い違いをしていたんだ、と反省しました。そのおかげで、あまりコミュニケーションが得意ではなかった僕も、みんなと積極的に喋りにいけるようになれました。
研修中は食材の豊富さ、それに対するアプローチ、どう生かすのか、ということが分かれたのが僕の中で1番の勉強になりました。日本では見られない食材もたくさんあり、それの調理の仕方や、日本ではあまりない味付けを知れたり、それを組み合わせるの?と驚きもあったり...。新しい発見ができたのは楽しくもありました。シェフは若くしてフランス料理の世界大会「ボキューズ・ドール」にフランス代表として出場し、優勝した経歴の持ち主なのですが、そのセンスはやはりすごいものがあります。
将来僕は自分のお店を持ちたいと思っています。今回の研修はその夢に向かう大きな1歩になったと思います。
慣れない土地、慣れない言葉と大きな壁がありましたが、それを乗り越えることが出来た今、自分自身が大きく成長出来た、とても有意義なものでした。日本に帰国してからも、もっと多くのことを学び、技術を磨き、たくさんの人に美味しい料理を提供出来る料理人になるために、今まで関わってきた人たちや、支えてくれた人たちへの感謝を忘れずに、努力をしたいと思います!