Asador etxebarri (アサドール・エチェバリ)
今回お届けする食べ歩き日記は、スペインのビルバオから車で40分ほどのアチョンドというのどかな村にある一ツ星レストラン「アサドール・エチェバリ Asador etxebarri」です。
こちらのレストランは「あること」をテーマにして料理を提供していて、それが評判を呼び世界の美食家から注目されています。そのテーマとは「炭火焼き」。様々な炭火焼きした料理を提供してくれます。
店内に入ると一階のバーを通って二階にあるレストランに案内されました。外観と同じように暖かみのある雰囲気です。
メニューは125ユーロのコース一つと単品でも注文することが出来ます。
今回はコースをお願いしました。
トロサ豆のポタージュ
トロサは豆の産地として有名で、そこで収穫されたものをポタージュにしたもの。色と舌触りが小豆に似ています。ニンニクの風味と小さく刻んだキャベツが入っています。
山羊ミルクのバタートリュフのせ
フランスで親しまれている山羊のチーズ「シェーブル」のような風味がありますが、それほどクセがありません。パンと一緒に食べると、とてもクリーミーで口中が優しい香りで満たされました。
自家製モッツァレラ
自家製の名の通り、飼育している水牛から採れた乳から作ったモッツァレラチーズです。
市販されている物よりも引き締まっていて味も濃厚に感じました。
アンチョビのブルスケッタ
薄くスライスしたパンの皮目にアンチョビをのせたシンプルなもの。ですがこのアンチョビも自家製で塩漬けにしているそうです。
フレッシュチョリソ
チョリソというとスパイスの効いたソーセージをイメージしますが、こちらは見た目から違っています。
表面は少しだけ焼いていて炭の香りがしますが、中は生の状態で優しい食感です。
焼いたアンズ茸とアーティチョークのマリネ
アーティチョークとアンズ茸の火の通し加減を調節し、双方が柔らかい食感に仕上がっています。マリネの味付けもそうですが、火通しと食材の相性を楽しめる一品です。
ボラージュのスープとザルガイ
ボラージュとはヨーロッパ原産の植物でサラダやハーブとして使われます。それからとったスープにザルガイをのせています。このザルガイもほんのりと炭の香りがしていて、食感はとても柔らかく甘かったです。それに対してボラージュの出汁は塩味を効かせていてバランスをとっていました。
牡蠣の炭焼きホウレン草添え
シンプルに牡蠣を炭焼きしたものです。身の一番厚みのあるところだけですが、そうして火通しすることで食感が均一になっています。磯と炭の香りと隣に添えたホウレン草の甘みが牡蠣の味をぐっと引き立てていました。
パラモスの海老の炭火焼き
パラモスとは地中海に面した港町で、美味しいエビが水揚げされることで有名です。エビの名前もそのまま「パラモスの海老」として流通しています。この料理はその海老を炭火焼きして粗塩をふったもの。味は身もミソも甘みが強く濃厚な味わいでした。
スクランブルエッグの白トリュフ添え
スクランブルエッグと聞いて頭に浮かぶ物とは全く違うものが運ばれてきました。火を通して固まっているのとは違い、とろみがあってまったりとした味でした。その上に白トリュフのスライスがたっぷりと!!目の前で蓋を開けると同時に立ちこめる香りに思わず笑顔になってしまいました。
バカラディージャの卵炭火焼き
バカラディージャとは白身の魚のことで小型の鱈の一種です。魚の表面には柔らかい卵たっぷりの生地をまとっています。フダン草のピューレ・茎の千切りと一緒にいただきました。味つけも食感も優しい一皿です。
アングーラス
これ、見た目で何かわかりますか!?アングーラスは鰻の稚魚のことで、スペインを代表する高級食材です。スーパーなどでは魚のすり身を同じような形にして販売されていますが、味や食感はまったく違います。本物の身はふっくらとしていて、わずかに感じることができる骨や、ほのかな苦みがありました。ニンニクの風味を加えていてとても美味しかったです。
実は、これはいつも提供されているものではなく、悪天候で水揚げされるはずだった別の魚の変わりだったそうです。もう一つの魚料理も気になりますが、今回に関してはこの料理を口にすることが出来て良かったです。
鯛の炭火焼き
鯛を炭火焼きし、シンプルにオリーブオイルと香草、オリーブで味付けしたものです。サービスの方が各さらに取り分けてくださいます。食べると身が柔らかく、鯛の味も甘みを感じました。
チュレタ
チュレタとは牛や豚、羊の骨付きのロース肉のことを言います。これは牛のチュレタで、中まで火を通さずレアステーキのようでした。シンプルに塩で味付けされているのみですが、噛むと肉から溢れる肉汁がとても美味しかったです。
ミルクアイス ビーツのソース
濃厚なミルクのアイスクリームの周りには見た目も鮮やかな赤いビーツのソースです。しっかりと食べた後で結構なボリュームに感じましたが、するすると喉を通りいつのまにか無くなっていました。
ココアのクリームとかぼちゃのピューレ
少し燻製にかけたココアのクリームとかぼちゃのピューレが層になっています。ココアのクリームは粘りがあり、味もかなり濃厚で甘みをほとんど感じませんが、かぼちゃのピューレと一緒に食べることで一体となり「かぼちゃ風味のチョコレートクリーム」のようでした。
最後のコーヒーは自家製のマドレーヌといっしょにいただきます。
そして、食事が終わった後に厨房内を見せていただきました。
料理によって薪の種類を変え、それを炭火にするために炉(写真左)に入れます。それから食材に火を通すのですが、ガス火とは違って食材を近づけたり、遠ざけたりといった方法で日の調節を行わなければいけません。そこでハンドルを回して楽に操作できるグリル(写真右)を考案したそうです。このグリルのおかげで食材によって違う微妙な火の当り加減も自在にできるようになったとのことです。基本的には火通しはシェフが行い、周りのスタッフが食材を準備、といったサポートをしているそうです。
ソースなどは使わずに、食材を大事にしてその魅力をしっかりと引き出し、それを客に提供する。という姿勢を感じ、同時に考えさせられたレストランでした。冒頭にも触れましたが世界から注目されるのも、なるほど頷けます。
Asador etxebarri アサドール・エチェバリ
Plaza de San Juan, 1
48291 Atxondo, Bizkaia
(+34) 946 58 30 42
http://asadoretxebarri.com/en/