La Tour d'Argent (ラ・トゥール・ダルジャン)
今回紹介するレストランは、パリにある老舗レストラン『La Tour d'Argent』(ラ・トゥール・ダルジャン)です。私がフランス留学中の頃から行きたかったレストランだったので、とても楽しみでした。
『銀の塔』という意味を持つレストランの始まりはアンリⅢ世の時代の1582年。
パリの中心地でもあるサン・ルイ島の近くに1軒の旅籠屋あり、そこからは銀の塔と呼ばれるトゥールネル城が見えていたようです。
当時の王様のために建てられたお城の紋章をこの旅籠屋にも使用する許可が出たので、『La Tour d'Argent 銀の塔』という名前が付けられました。
その後、ロシア皇帝やプロシア(現ドイツ)皇帝などが晩餐会を行なったり、昭和天皇がお食事をされたりもしました。
そしてラ・トゥール・ダルジャンの名前をさらに広めていったのが、1890年より鴨一羽ごとに番号を付けるといったアイデアです。
1921年6月21日、昭和天皇がパリを訪問された際に鴨料理を召し上がられました。
その鴨の番号が『53211』。
記念すべき番号とし、敬意を表してこの番号の次の番号『53212』が後に誕生する世界唯一の支店ラ・トゥール・ダルジャン 東京での最初の番号となりました。
その鴨をお客様の目の前でさばく専属のサーヴィス『カナルディエ』がいるのもこのお店のみです。
30年近く勤務しているベテランの方が携わっているようです。
ぜひア・ラ・カルトで食べて、その技術を見てみたい!
まずは入り口で出迎えられると1階のサロンを通り、エレベーターで7階(フランス式では6階)に上がります。
客席に案内されると一面にガラス窓が広がっており、シテ島のノートルダム寺院(現在工事中)や穏やかに流れるセーヌ川、いつもと違ったパリの景色が一望できます。
そんな歴史あるレストランが一年間の大改装を終え、2023年9月に再オープンをしました。
客席と調理場の仕切りは取り払われ、オープンキッチンになっています。
それでは料理紹介をしていきます。
今回はお昼のコースメニュー、4品で150ユーロです。
まずはトゥール・ダルジャンの名前の付いたシャンパーニュで乾杯!
最初に一口サイズのおつまみの『アミューズ・ブーシュ』が出てきました。
【上段左】鱒のタルタルのタルトレット、上には鱒の卵が飾られています。
【上段右】塩味のマシュマロ。パプリカ風味とピーナッツの2種類が楽しめます。
【下段左】ビーツのピュレにハイビスカスの風味をつけたテュイル。甘みと酸味が心地よいです。
【下段中】自家製のグリーンオリーブ。フレッシュ感があり美味しい!
【下段右】バターナッツかぼちゃのマリネやピュレ、ヘーゼルナッツ風味のタルトレット。
グレモラータ(パセリ、レモンの皮、にんにく)がふられており香りがとてもいいです。
もう一皿、アミューズです。
栗のポタージュにりんごのソテーと香ばしく焼いた栗が添えられており、寒い体を温めてくれました。
栗の甘みとりんごの甘酸っぱさがバランスよい一品でした。
続いてオードヴルです。
『 Mystère de l'œuf en neige, chapelure de brioche toastée, velours de truffe d'hiver 』
卵の周りにブリオッシュのパン粉をつけてフライにし、なめらかなトリュフのピュレが添えられています。
ナイフを入れると・・・卵黄が流れ出てくるー!!
メレンゲで卵黄を包み、火を通してあるんですね。卵好きな私には大興奮の一皿です。
次に魚料理です。
『 Saint-Pierre Cuit au plat, jus d'arêtes au Tamarin, mousseline de carotte anisée, sabayon à la cardamome 』
プランチャ(鉄板)で焼いた的鯛にディルとシトロンキャヴィアがふられています。
的鯛の骨をベースにして作ったソースにタマリンドを加えているので甘酸っぱい味になっています。
つけ合わせはカルダモン風味のにんじんのピュレやエスプーマ、紫にんじんのチップスです。
にんじんの葉の香りを移したオイルも添えられており香りを楽しめる一皿でした。
メインの肉料理です。
『 Caneton Edgar Suprême en habit vert, raviole d'ananas, chutney mangue & coriandre, jus aux baies de passion 』
ロゼに焼き上げた鴨胸肉。皮目にはハーブがたっぷり入ったパン粉の衣がまぶしてあります。
シンプルな鴨のジュにパッションフルーツの酸味が加わることでシャープな仕上がりに。
美味しいソースを目の前で流してもらい完成です。
つけ合わせはパイナップルやマンゴーを使ってラヴィオリを表現しています。
山椒やコリアンダーの香りも加わることで、香りの相乗効果となっていました。
私がいただいた鴨の番号は、『1181119』でした。
添えられているパンはミニサイズのバゲットの他、魚料理にはウコンを加えた蒸しパンが添えられました。
今回頼んだ赤ワインは、『ジュヴレ・シャンベルタン 2008年』です。
熟成された香りもよく、時間を置くごとに濃厚になっていく感じがしました。
ここからはデザートの時間です。
最初にアヴァン・デセールが提供されました。
パイナップルはやわらかいゼリーやコンポート、ピュレなどいろんな食感が楽しめます。
ライムのシャーベットも添えられて、口の中がリセットされました。
メインのデザートです。
『 Clémentine de Corse Meringue marron glacé, sorbet Kalamansi 』
フランス中央部アルデッシュ産の栗を使っておりムース、マロン・グラッセ、テュイルや栗粉のスポンジ生地に展開しています。
栗と合わせるクレモンティーヌはフランス南部のコルシカ島で採れたもの。
甘酸っぱい香りが強いみかんで、今日のデザートではフレッシュやコンポート、ジャムなどにして中に詰めたり、ソースにも使用されたりしていました。
カラマンシーという苦みの強い柑橘類のシャーベットもムースの下に隠れているので、いろんな味や香りが楽しめる一皿でした。
最後にお茶菓子とコーヒーです。
左からカカオのマカロン、コーヒー風味のチョコレート、ヘーゼルナッツのチョコレート、パッション風味のガナッシュの4種です。
歴史の深いお店の伝統を守りつつ、時代に合わせた料理やデザートを楽しむことができました。
今度行く機会があれば、ぜひ鴨の丸ごとローストに挑戦してみたい!
それから、本店の入り口から道を挟んだところには直営のビストロとパン屋さんがあります。
ビストロではもっと気軽に鴨料理を食べることができる他、パリやリヨンの伝統料理を楽しむことができます。
レストランで使用しているパンもこちらのお店で作られています。
バゲットはもちろん、朝食に食べるヴィエノワズリーや小麦粉にこだわって作ったパンなどたくさんの種類が並べてありました。
パリで過ごす記念日やちょっと豪華に食事をしたい時に、ぜひ足を運んでみてください。
『La Tour d'Argent』
15 Quai de la Tournelle, 75005 Paris
Tél:+33 (0)1 43 54 23 31
HP:https://tourdargent.com/
『La Rôtisserie d'Argent』
19, Quai de la Tournelle, 75005 Paris
Tél:+33 (0)1 43 54 17 47
HP:https://rotisseriedargent.com/fr/
『Le Boulanger de la Tour』
2, Rue du Cardinal Lemoine, 75005 Paris
Tél:+33 (0)1 43 54 62 53
HP:https://boulangerdelatour.com/fr/